呼吸器外科
Department of Respiratory Surgery
科の特色・紹介
当呼吸器外科は、昭和46年(1971年)の診療科開設以来、約半世紀のの歴史をもつ診療科です。原発性肺がん、他臓器からの転移性肺腫瘍などの胸部腫瘍性疾患、縦隔(左右の肺に挟まれた領域)の各種疾患、気胸や悪性胸膜中皮腫などの胸膜疾患、胸部の感染性・炎症性疾患(肺結核、非定型抗酸菌症、膿胸など)、胸壁疾患(胸壁腫瘍など)などの外科治療を行っております。
当科では、科学的根拠と経験に裏打ちされた医療を充分な適応検討の上で安全・確実に遂行することで、患者さんが安心して質の高い医療を受けていただけるよう心がけております。
手術では、手術用ビデオカメラを使用して侵襲の少ない小さな手術創で行う胸腔鏡下の手術(VATS)を2000年代初頭より導入し、各種呼吸器手術に広く応用しています。また令和元年(2019年)よりダヴィンチXiシステムを使用したロボット支援胸腔鏡下手術を導入し、原発性肺がんや縦隔腫瘍のうちの適応となる場合に実施しております。
原発性肺がんの手術においては、胸腔鏡下あるいはロボット支援胸腔鏡下の手術を標準としております。肺葉切除術が標準ですが、早期の小型肺癌や高齢・低心肺機能の患者さんに対しては根治性を損ねることなく機能を温存する術式である胸腔鏡下区域切除や楔状肺部分切除を行い、患者さんの生活の質を落とさないように配慮しております。
また、進行肺癌などの胸部悪性腫瘍や複雑な呼吸器疾患に対してチームでの診断・治療に対処するために、令和7年(2025年)2月より当呼吸器外科と呼吸器内科、放射線治療科、腫瘍内科を中心に肺がん・胸部疾患センターを開設しました。個々の患者さんについて充分な議論を行い、難治性の症例についても取り組んでおります。その活動の一環として当科では通常の手術に加え、術前・術後の放射線治療や免疫チェックポイント阻害薬、抗がん薬を併用した集学的治療や隣接臓器の切除を含む拡大手術などを主導して行っています。術後補助化学療法で通院治療が可能な場合は腫瘍内科の協力を得て外来での治療を行っております。また呼吸器内科で行われる肺癌薬物治療(殺細胞性抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬や特異的キナーゼ阻害薬)の選択には腫瘍組織のバイオマーカー検索(遺伝子変異やタンパク質の発現)が必須となっております。内科的に腫瘍組織が採取困難な場合は胸腔鏡下リンパ節生検や胸膜生検などで呼吸器内科での治療方針決定に協力しています。さらに虚血性心疾患や肺気腫、糖尿病など種々の併存症を有する患者さんに対しては、総合病院たる当院の利点を生かし、関係各科との連携で安全に手術ができるように治療介入を行い、安全性を担保しております。
退院後も、地域開業医の先生方と連携しながら経過観察を行います。また気胸や外傷による胸部損傷など、急な病変にも随時対応しますので、遠慮なくご連絡ください。
対象疾患
- 肺疾患 原発性肺がん、転移性肺腫瘍、肺良性腫瘍、炎症性疾患(限局性の結核、非定型抗酸菌症や真菌症)、気管支拡張症 など
- 胸膜疾患 気胸、嚢胞性疾患、膿胸、胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫) など
- 縦隔疾患 縦隔腫瘍、縦隔炎 など
- 胸壁疾患 肋骨・胸骨腫瘍、カリエス、胸壁膿瘍 など
- 横隔膜疾患 横隔膜腫瘍、横隔膜ヘルニア、横隔膜弛緩症 など
- 気管・気管支の疾患 気管・気管支腫瘍、気道狭窄、気管支異物、気管支瘻 など
- 胸部外傷 外傷性気胸、血胸、肺挫傷、ヘルニア、気管・気管支損傷 など
- その他 難治性胸水、乳び胸 など
診療実績
令和7年度
入院
| 延患者数 | 新入院患者数 | 1日平均患者数 | 平均在院日数 |
|---|---|---|---|
| 2,975人 | 343人 | 8.2人 | 7.0日 |
外来
| 延患者数 | 新外来患者数 | 1日平均患者数 |
|---|---|---|
| 3,848人 | 56人 | 16.0人 |
全身麻酔下の手術件数(令和7年(2025年)1月から12月) 269件
| 疾患名 | 手術件数 |
|---|---|
| 原発性肺がん |
129件(胸腔鏡下:105件 ・ ロボット支援下:19件 ・ 開胸:5件) 病期別 ⅠA期:77件 ・ ⅠB期:24件 ・ Ⅱ期:16件 ・ Ⅲ期以上:12件 術前治療あり 化学放射線治療後:4件・免疫化学療法後:1件・放射線治療後:2例 |
| 他臓器がん肺転移 | 29件(胸腔鏡下:12件 ・ ロボット支援下:4件 ・ 開胸:2件) |
| 気胸 | 30件(胸腔鏡下:30件 ) |
| 縦隔腫瘍 | 18件(胸腔鏡下:10件 ・ ロボット支援下:6件 ・ 開胸:1件) |
| その他 | 64件(各種良性肺疾患:16件・炎症性胸部疾患:18件・その他胸部疾患、生検など:30件) |
QI(Quality Indicator)-医療の質をはかる指標-
お知らせ
地域の医療機関の先生方へ
- 令和7年度
紹介率 88.8% / 逆紹介率 246.2%
呼吸器外科の対象となる疾患を有する患者さんはご高齢の方が多く、複数の併存疾患を有していたり心肺機能に問題があったりなど、対象疾患の治療を行う上で考慮すべき要素を多数持っておられます。患者さんの希望、全身状態、疾病の状態などを充分吟味の上、内科的治療も含め最も適切と考えられる方針を選択するよう努めております。治療の可否について迷うような例も遠慮なくご紹介下さい。
気胸や外傷による胸部損傷など、急な病変にも随時対応しておりますので、ご連絡下さい。
当科は呼吸器外科専門医の育成を行う呼吸器外科専門医合同委員会の基幹施設として認定されております。
小冊子について
この度、患者さんや地域の医療機関に向けて、小冊子「Faith」を発行いたしました。
当科の活動や取組み等をまとめたものです。ぜひご覧ください。
また、小冊子内の内容を指標化し掲載しておりますので、「病院実績のご案内」もあわせてご覧ください。