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耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Department of Otorhinolaryngology(ENT)・Head and Neck Surgery

科の特色・紹介

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、みみ、はな、のどの疾患だけではなく、頭側は「脳を支える頭蓋底の骨」、尾側は「鎖骨やその下の上縦隔」まで幅広い疾患を扱います。この領域は、聴覚、嗅覚、味覚、平衡機能、そしゃく・嚥下、発声、呼吸など「人が生きていく」・「社会生活を営む」うえで大切な機能が集中しており、この部位に障害が起きると直接QOL(生活の質)に影響を与えます。

当科は、耳科領域・鼻科領域・頭頸部領域における豊富な手術経験をいかし、地域への貢献と、患者さん一人一人に寄り添った医療を目指します。

耳科領域

中耳には、音を伝える骨、「耳小骨」が3つあります。この骨は、人体最小の骨で、音の振動を鼓膜から内耳へ伝える役目があります。また、中耳の周りには顔をうごかす「顔面神経」、きこえやバランスを担う「内耳」、脳をつつむ「硬膜」などの重要な器官があります。これらの器官は、過度な外力に弱く、わずかな容積の中を複雑に位置します。そのため、中耳手術は、精密で高度な技術を要します。

当科では中耳手術の低侵襲化に努めており、近年は内視鏡を用いた手術を導入しております。経外耳道的内視鏡下耳科手術(trans endoscopic ear surgeryTEES(ティース))という手術方法で、ほとんどすべての操作を外耳道から行います。

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従来から行っている中耳手術では、耳の後ろを約68 cm切開し、耳介・外耳道・鼓膜を順に持ち上げて、顕微鏡下に手術を行いますが、TEESでは外耳道の中に約1 cmの切開と、側頭筋膜や耳介軟骨を採取する場合には、耳の後ろに約2 cmの切開で手術を行います。TEESは、顕微鏡下手術よりも切開創が小さく、低侵襲な手術方法と考えます。当科で行うTEESは、早期の社会復帰を目指しており、術前の剃(てい)毛(もう)は原則不要、手術翌日から洗髪ができます。

当科におけるTEESの適応は、鼓室に限局した病変としており、進行例では従来から行っている顕微鏡下手術を行っています。顕微鏡下手術では、側頭骨をドリルで削り病変を摘出する術式、乳突削開術を併用することがあります。乳突削開術には、外耳道の骨壁を温存する方法(Canal wall up法)と外耳道の骨壁を削る方法(Canal wall down法)がありますが、当科では、Canal wall up法を第一選択としており、できるだけ生理的な外耳道を温存するように努めています。

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今までの中耳手術は、重症度によらず手術方法の選択肢は限られていましたが、TEESの導入により、重症度に応じて低侵襲な術式の選択が可能となりました。

私たちの中耳手術は、30年以上の歴史があり、豊富な手術実績があります。現在も新たな知見や技術を取り入れながら、数々の情報を発信し続けております。
学会発表・学術論文等

【当科で実施可能な術式】

経外耳道的内視鏡下鼓室形成術、鼓室形成術、乳突削開術、鼓膜形成術、鼓膜閉鎖術(鼓膜再生療法)、アブミ骨手術、外耳道腫瘍摘出術(外耳道真珠腫を含む)、外耳道悪性腫瘍に対する側頭骨外側切除術、中耳根本術、錐体部手術、顔面神経減圧術、内耳窓閉鎖術、内リンパ嚢開放術など

鼻科領域

2018年に当院は大阪府アレルギー疾患医療拠点病院に選定され、当科も含め6つの診療科からなるアレルギーセンターが設立されました。私たちのアレルギー診療は、アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎に対する手術治療を中心に取り組んでいます。

アレルギー性鼻炎の主な症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりですが、他にも、睡眠障害・ストレス・集中力低下・勉学や仕事の生産性の低下などに関与することがあり、QOL(生活の質)に大きな影響を与えてしまいます。アレルギー性鼻炎の治療は、薬物療法などの保存的治療が第1選択ですが、鼻中隔の彎曲・下鼻甲介の肥厚など鼻腔形態に異常があり、薬物療法でも症状が改善しない重症例には手術の適応となります。当科では、アレルギー性鼻炎の手術として、鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術を行っております。手術療法は、アレルギー自体を治癒するものではありませんが、症状の改善が期待できます。

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好酸球性副鼻腔炎は、好酸球が浸潤した鼻茸が両鼻に多発し、高度の鼻閉や嗅覚障害をきたす、治療抵抗性の慢性副鼻腔炎で、2015年に国の指定難病となりました。気管支喘息を合併することが多く、他にもNSAIDアレルギー・アスピリン不耐症・好酸球性中耳炎を合併することがあります。気管支喘息を合併している場合には、呼吸器内科と協力し治療を行います。当科では、好酸球性副鼻腔炎の治療として、内視鏡下鼻・副鼻腔手術(endoscopic sinus surgeryESS)を積極的に取り組んでいます。近年、好酸球性副鼻腔炎はType2炎症とよばれる病態の関与が指摘されております。2019年にType2炎症をターゲットとした抗体治療薬が保険適用となり、一定の基準を満たすことで投与が可能です。

私たちは、アレルギー性鼻疾患以外にも、幅広い鼻副鼻腔疾患に対してESSを行っています。内視鏡によるアプローチが困難な場合は、歯齦や皮膚の切開を伴う拡大的な鼻・副鼻腔手術も行っています。豊富な手術実績と他科との連携体制が当科における鼻科診療の強みです。

頭頸部腫瘍・頭頸部がん(悪性腫瘍)

「頭頸部領域」とは、頭側は「脳を支える頭蓋底の骨」、尾側は「鎖骨やその下の上縦隔」までの範囲であり、ここにできる腫瘍・がんが、頭頸部腫瘍・頭頸部がんです。

頭頸部領域は、「人が生きる」・「社会生活を営む」上で重要な機能が集中しています。その機能とは、食事(咀嚼、嚥下)、発声、呼吸などであり、この部位に障害が起きると直接QOL(生活の質)に影響を与えます。故に、この領域の治療は、根治性と機能温存のバランスを熟慮する必要があります。また、顔面の形態維持や表情の形成を要するのも頭頸部領域であり、整容的な配慮も欠かせません。

当科では、渡邉医長を中心にあらゆる頭頸部領域の治療に対応しており、適切な術前評価のもとで、最適な治療を提案させていただきます。われわれ頭頸部外科のみではなく、必要に応じて、形成外科、消化器外科、脳神経外科などとも協力してベストと思われる外科的治療を行います。

特に「早期の咽喉頭がん」に関しては、低侵襲、かつ術後音声・嚥下機能の温存と根治を両立し得る「鏡視下経口的咽喉頭手術」を積極的に行っており、できるだけ手術のみで根治を目指すことを信条としております。当科の頭頸部外科のトップである渡邉医長は、2010年に前任地で開発した先端可動型硬性内視鏡を用いた術式「先端可動型硬性内視鏡下経口的咽喉頭手術(E-TOS)」を行っており、優れた治療成績と機能温存成績を修め、国内外にその手法と成績を発信しております(論文集)。さらに、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会主催の専門医・専攻医講習会(令和4年度秋季大会)では、鏡視下経口的咽喉頭手術のトレーニングインストラクターに選任され技術指導をされました(感謝状

※ 5年疾患特異的生存率:92.3%(95%信頼区間:83.6-98.2)

※ 5年局所制御率:92.5%(95%信頼区間:86.1-96.0)

※ 5年喉頭温存率:85.7%(95%信頼区間:78.4-90.7)

※ 主観的(V-RQOL)音声機能温存率:98.0%

※ 客観的(MPT/MFR)音声機能温存率:91.4%/100.0%

※ 主観的(FOSS)嚥下機能温存率:95.9%

※ 客観的(兵頭法)嚥下機能温存率:100.0%

今後はさらに、後述する手術支援ロボットを用いた鏡視下経口的咽喉頭手術である「経口的ロボット支援手術(TORS)を開始する予定です。

早期咽喉頭がんのなかでも主な部位や広がりによっては、E-TOSで完全に切除できない進行期に近い状態もあります。年齢、全身状態や併存症で吟味し、喉頭温存のための咽喉頭再建を含む手術も提案させていただきます。

手術以外の手段としては、(化学)放射線治療を行う場合もありますが、昨今では晩期有害事象(放射線性誘発がんの可能性、がんは治ったが誤嚥性肺炎を繰り返し起こす、唾液が出にくい、頸部が硬化するなど)に伴う将来への影響も懸念されるため慎重に適応を相談していければと考えています。

進行した病変に対しては、遊離組織移植を伴う再建手術を含めた拡大根治手術±術後(化学)放射線治療を積極的に行っています。

頭頸部がんの中で、最も悪性度の高い口腔がんに対しても、機能温存と根治の両立を図っております。術後合併症を抑える創傷被覆も工夫しており、術後の苦痛軽減に努めています。

予後不良である口腔がんは「医科」として、われわれ「頭頸部外科」の専門医が治療従事すべきものと考えております。現在、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、この認識を全国民にも認知してもらうべく、啓蒙活動を全国展開する予定です。そのさきがけとして、大阪府耳鼻咽喉科地方部会を中心として「大阪府における2022年度頭頸部外科月間キャンペーン 市民公開講座と口腔がん無料検診」が実施されました。当科も本事業に強く賛同し、渡邉医長を中心に「口腔がん無料検診」に協力し実施しました(感謝状)。本事業・活動が、健常者を対象にした「がん」の早期発見、「がん」による死亡率低下に繋がることを期待し継続していきたいと思っております。

鼻腔・副鼻腔のがんに対しては、内視鏡を併用し、できる限り顔面への皮膚切開を避けつつ、確実な切除を心がけています。病状によって、より最適な手段を相談させていただきます。

今後の新たな取り組みとして、2022年4月に保険収載された新たな鏡視下経口的咽喉頭手術である「経口的ロボット支援手術(TORS)を開始します。本術式を行う術者は、厳しい資格基準が設けられておりますが、当科の渡邉医長は「大阪初」でこの資格を取得し、施設認定も受けております。適応の場合、提案させていただきます。

現在、頭頸部がん専門医2名(渡邉、草野)、頭頸部がん指導医1名(渡邉)、内分泌外科(甲状腺外科)専門医・指導医1名(渡邉)、がん治療認定医(1名が指導責任者資格:渡邉)3名を中心に治療を担当しています。豊富な経験と実績に基づき、頭頸部がん指定研修施設、内分泌・甲状腺外科認定施設にも認定されています。

「Certificate of da Vinci System Training」

「Certificate of da Vinci System Training」

「Certificate of Da Vinci Advanced Course」

「Certificate of Da Vinci Advanced Course」

「Certificate of Robotic Surgery Observationship」

「Certificate of Robotic Surgery Observationship」

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「ロボット支援手術実施施設認定証」

「感謝状(鏡視下経口的咽喉頭手術
トレーニングインストラクター)」

「感謝状(月間キャンペーン 口腔がん無料検診)」

対象疾患

(ア)主として耳鼻科咽喉科で扱う疾患

耳疾患
慢性中耳炎、中耳真珠腫、鼓膜穿孔、耳硬化症、顔面神経麻痺

・鼻副鼻腔疾患
慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔湾曲症

・咽喉頭疾患
声帯ポリープ、反回神経麻痺、喉頭気管狭窄

(イ)主として頭頸部外科で扱う疾患

・良性腫瘍
甲状腺腫瘍、唾液腺腫瘍、先天性頸部嚢胞、鼻副鼻腔乳頭腫、喉頭白板症、喉頭乳頭腫

・悪性腫瘍
外耳道がん、上顎がん、副鼻腔がん、舌がん、口腔がん、上咽頭がん、扁桃がん、舌根がん、下咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がん、唾液腺がん、頭頸部悪性黒色腫、頭頸部肉腫

診療実績

令和3年度

  • 入院
延患者数 新入院患者数 一日平均患者数 平均在院日数
6,897人 682人 18.9人 8.8日

  • 外来
延患者数 新外来患者数 一日平均患者数
15,104人 1,283人 62.4人

  • 手術件数 1,014件
    [内訳]
    鼓室形成術 74件
    アブミ骨手術 0件
    内視鏡的鼻副鼻腔手術 62件
    鼻中隔矯正・下甲介手術 149件
    口蓋扁桃摘出術・アデノイド手術 110件
    喉頭微細手術 63件
    音声改善手術 0件
    甲状腺手術 63件
    耳下腺などの唾液腺手術 21件
    咽頭がん・下咽頭がんなどの悪性腫瘍手術総数 101件
    頚部郭清術 85件

お知らせ

地域の医療機関の先生方へ

  • 令和3年度
    紹介率 96.3% / 逆紹介率 121.7%       

紹介患者さんの診察予約枠がこみあっており、大変ご迷惑をおかけしています。診察予約枠がいっぱいの状態でも、医療連携課へ事前にご紹介いただくことにより、診察当日の紹介患者さんの待ち時間が幾分短縮されますので、事前紹介にご協力お願いいたします。

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