血液内科

当科について

診療科の特徴

白血病、悪性リンパ腫等の難病が多いですが、治癒をめざした医療を行なっています。

急性白血病など緊急を要する症例は、随時、受け入れています。

造血器腫瘍に対して分子遺伝学的レベルの解析を行うことにより、抗癌剤治療、分子標的療法、放射免疫療法、移植治療といったさまざまな選択肢からの適切な治療法選択と、Quality of Lifeを保った治療成績の向上を目指しています。

新規治療薬の治験を行っています。
当院血液内科では平成30年5月現在、11件(急性骨髄性白血病2件、多発性骨髄腫9件)の治験を実施しており、うちGlobal治験は6件行っています。

対象疾患・診療実績

代表的診療対象疾患

悪性リンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病、成人T細胞白血病、再生不良性貧血、慢性骨髄性白血病、特発性血小板減少性紫斑病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、凝固異常症などを対象としています。

主要疾患の入院患者数(平成29年)

  延べ入院患者 (人) 新規入院患者(人)
非ホジキンリンパ腫 448 120
急性骨髄性白血病 275 51
骨髄異形成症候群 156 31
多発性骨髄腫 130 23
急性リンパ性白血病 53 9
成人T細胞白血病リンパ腫 28 4
ホジキンリンパ腫 22 5
慢性骨髄性白血病 19 10
再生不良性貧血 14 8
特発性血小板減少性紫斑病 29 17
慢性リンパ性白血病 7 0
造血幹細胞移植ドナー 10 9
骨髄増殖性疾患 8 3
その他の疾患 70 53
総計 1269 343

(Table1)


お知らせ・その他

診療体制と実績

常勤血液内科医12名、(うち日本血液学会認定血液専門医7名、同指導医5名)、病床数67床、無菌室18床と、近畿圏で最大規模の血液内科で、日本血液学会認定施設です。

○外来診療

あらゆる造血器疾患を対象としています。悪性リンパ腫に対する標準的な化学療法は、感染の危険性が高度でなければ当院の通院治療センターにおいて外来で施行しています。他の疾患においても患者さんのQOL(生活の質)を重視し、できるだけ入院期間は短縮して、外来における抗癌剤治療を取り入れています。

○入院診療

医師、薬剤師、看護師、歯科衛生士、栄養士によるチーム診療を行っています。

地域の先生方へ

いつも患者さんをご紹介いただき、大変ありがとうございます。急性白血病など緊急を要する患者さんは、随時、受け入れています。当初の治療が終わり、病状がある程度安定した患者さんにつきましては、病診連携の観点から先生方に経過観察をお願い申し上げることがあると思います。その際は、どうぞ宜しくお願いします。

診療内容の特徴

入院患者さんの大部分は悪性リンパ腫(37.0%)、急性白血病(25.8%)、多発性骨髄腫(12.3%)、骨髄異形成症候群(10.2%)といった造血器腫瘍であり(Table1)、治癒をめざして抗癌剤治療、放射線治療、造血幹細胞移植等の積極的な治療を行っています。平成15年に臍帯血バンクの認定施設、平成16年に骨髄バンクの認定施設となっており、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植、HLA半合致移植のいずれの移植も施行可能です。
 また、高齢者にも安全に移植治療ができるように、抗癌剤による前処置を軽減した「ミニ移植」も行っています。平成29年度の当科における造血幹細胞移植数は38で、内訳は骨髄移植数11、臍帯血移植数5、同種末梢血幹細胞移植数9、自家移植数13です。平成15年から29年までに当科で施行した同種移植数を以下にお示しします。
造血幹細胞移植数の推移

当院における治療成績の解析と今後の治療成績向上にむけて

治療成績向上のために当科では疾患ごとに詳細な治療成績の解析を毎年行っています。平成16年1月以降に当科で初回入院治療を行った65歳以下の治療成績をFig.1~5に示します。

悪性リンパ腫の大多数を占める病型のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では5年生存率(5生率)は86.4%であり、次いで多い濾胞性リンパ腫の5生率は93.1%といずれも良好な治療成績を認めています(Fig.1)。

Fig1

(Fig.1)

多発性骨髄腫は治癒困難な疾患であるものの、サリドマイド、ボルテゾミブ、レナリドミド、ポマリドミド、パノビノスタット、エロツズマブ、カーフィルゾミブ、イキサゾミブ、ダラツムマブといった新規薬剤の使用により、5生率は69.5%(Fig.2)と治療成績は向上しています。今後さらに、ベネトクラクス、イサツキシマブといった有望な新規薬剤が本邦でも使用できるようになると期待されています。

Fig2

(Fig.2)

PML-RARα陽性急性前骨髄球性白血病(AML M3)はかつて予後不良でしたが、All-trans Retinoic Acidや亜ヒ酸の投与により5生率は87.2%と改善しています。しかし異形成を伴う急性骨髄性白血病の5生率は36.6%と予後が悪く、移植を含めた治療成績の向上やさらに有効な新規薬剤の開発が望まれます。AML M3と異形成を伴う急性骨髄性白血病以外の急性骨髄性白血病の5生率は59.8%です(Fig.3)。

Fig3

(Fig.3)

Ph陰性急性リンパ性白血病の5生率は70.4%、Ph陽性急性リンパ性白血病の5生率は71.2%です(Fig.4)。Ph陽性群は陰性群と比較して予後が悪いとされていましたが、近年Ph陽性急性リンパ性白血病に対して使用され始めたダサチニブ、ポナチニブといった分子標的薬によりPh陽性急性リンパ性白血病の予後は改善しています。
Fig4

(Fig.4)

また病勢の強い成人T細胞白血病リンパ腫(aggressive ATLL)は非常に難治で通常の化学療法では3年生存率は13~24%と報告されていますが、当科では同種移植治療を積極的に行うことにより、5年生存率は44.7%と改善しております(Fig.5)。モガムリズマブ、レナリドミドといった薬剤が新たに使用できるようになったこともあり、今後のさらなる治療成績向上が期待されます。

Fig5

(Fig.5)