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循環器内科

Department of Cardiology

科の特色・紹介

  • 大阪赤十字病院心臓血管センターの目指すところ ~患者さん本位の医療を~

循環器疾患の診療は、日常生活や食事の管理から薬物治療、外科的手術まで広い範囲にわたります。これらの治療は日進月歩の変化をとげており、新しい情報や薬剤、治療方法が絶えず実際の診療現場に導入されております。

しかし、循環器領域の治療には体に負担をかけたり危険性を伴ったりするものもあり、ただやみくもに技術や薬剤を振り回すことが患者さんにとって最高の医療であるとは言えません。患者さんそれぞれの病状や背景を十分に理解し、患者さんやその御家族と一緒にゴールを設定してそのゴールに向けていわば「テーラーメード様式」で治療を行うことこそが、患者さん本位の医療であり、私たちの目指すべきところであると考えております。そのためには、治療の適応やメリット、デメリットについて十分な検討を尽くすことが必要です。私たちは個々の患者さんの治療について、チームでの議論を大切にし、最終的に患者さんの満足できる医療を提供できるよう努力しております。

  • 心臓血管センターについて

当院心臓血管センターは、循環器内科、心臓血管外科の2つの診療科から成り、それぞれの専門科のスタッフが密に連携を取り合って、循環器病全般における高度先進診療を行っております。また、CCU(循環器専門集中治療室)10床を設置しており、循環器専門医が24時間待機し、重症患者受け入れ要請に柔軟に対応できるようにしています。

対象疾患

  • 虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症など)
  • 心不全 (デバイス治療を考慮すべき重症心不全、不整脈が関連した心不全を含む)
  • 不整脈
  • 洞不全症候群、房室ブロックなどの徐脈性不整脈
  • 発作性上室性頻拍、心室頻拍などの頻脈性不整脈
  • 上室性期外収縮、心室性期外収縮、心房細動、心房粗動などの不規則な不整脈
  • WPW症候群、ブルガダ症候群、QT延長症候群などの特殊な不整脈高血圧症
  • 高血圧症
  • 大動脈疾患
  • 突発性心筋症
  • 弁膜症
  • 先天性心疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 血栓性静脈炎
  • 肺塞栓症
  • 失神 神経調節性失神など

診療実績

令和3年度

  • 入院
延患者数 新入院患者数 一日平均患者数 平均在院日数
17,742人 1,619人 48.6人 9.2日

  • 外来
延患者数 新外来患者数 一日平均患者数
22,410人 1,226人 92.6人


令和2年度

  • カテーテル治療件数
PCI 276件
EVT 272件
ABL 128件

  • 諸検査
cCTA 720件
SPECT 296件
UCG 7,250件

  • Device Implatation
ILR
s-ICD 2
CRT-D 7
CRT-P 2
ICD 11
PMI 72

虚血性心疾患に必要な冠動脈造影検査は、すでに約33,000例に施行しています。従来の薬物療法に加え、カテーテルを用いた経皮的冠動脈形成術(POBA)、ステント挿入などがルーチンに行われています。ステント留置術の内、薬剤溶出性ステントはほぼ100%に使用しております。

カテーテルインターベンション(PCI)は7,000例を超え、98%以上の成功率を収めています。また、以前であれば治療不可能として冠動脈バイパス術を施行していたような高度石灰化病変や慢性完全閉塞病変などに対してもロータブレーターなどを駆使して積極的なインターベンションを加えております。

急性心筋梗塞や不安定狭心症、重症心不全、重症不整脈などはCCUに収容し、血行動態等を持続的にモニターしながら、薬物治療に加え、各種のインターベンション、大動脈バルーンパンピング(IABP)、持続的血液濾過法(CHDF)、経皮的心肺補助法(PCPS)等を用いて効果をあげています。急性冠症候群に対する再灌流療法は、24時間施行可能で、急性心筋梗塞の院内死亡率は現在約5%に減少しています。

また、末梢動脈疾患に対しても積極的に取り組んでおり、カテーテル治療による血行再建術を多数施行しております。特に重症虚血肢に関しては皮膚科・形成外科とチームを組み、血行再建術と組み合わせて、救肢率を高めています。

不整脈患者の治療に対しても不整脈専門医を中心に積極的に取り組んでおり、24時間態勢であらゆる不整脈疾患を受け入れています。心臓電気生理学的検査、永久ペースメーカー植え込み術、カテーテルアブレーション、植え込み型除細動器(ICD)の植え込み、両室ペースメーカー(CRT-P)、両室ペースメーカー付き植え込み型除細動器(CRT-D)の植え込みなど行っています。

院外心肺停止患者に対しても積極的に脳低温療法を施行し、多くの方が神経系の障害も軽く社会復帰されています。

お知らせ

特殊検査・専門外来

外来では、トレッドミルによる運動負荷心電図、ホルター24時間記録心電図、イベント記録心電計などを駆使して不整脈を検出し、心臓超音波検査(心エコー)、CT、MRI、核医学検査(RI)などでその原因となる心臓病のチェックをします。そして入院していただいて、心臓電気生理学的検査や冠動脈造影などの心臓カテーテル検査で最終的な診断を行います。不整脈発作の頻度が少ないため、症状の原因となる不整脈が特定できない時には、植え込み型心電モニター手術も行っています。

ペースメーカー、植え込み型除細動器、両室ペースメーカーなどの器械のチェックは、毎週月曜日の午後に専門外来で行っています。

心房細動に対するカテーテル・アブレーション

心房細動は最近増えてきている不整脈の一つで、脈が速くなったり乱れたりするために、動悸などの強い自覚症状が出現したり、心不全を引き起こすことがあり、また心臓のなかに血栓ができて、脳梗塞の原因になったりします。現在では、カテーテルによって治療する方法が一般的になり、当院でも適応があれば積極的に行っています。不整脈を抑えるお薬の効果が不十分な方や、心房細動が持続するようになってから数年以内の方は、カテーテル治療がよい対象になる可能性が高いので、ご相談ください。

1)治療の流れ
事前に、3次元CT検査や血液検査などを必要に応じて行い、通常、入院翌日に治療を行います。カテーテル治療室では、苦痛を和らげるために点滴の鎮静薬を使用して休んでいただき、そけい部や右頚部からカテーテルを挿入し、心臓内エコーを用いて、安全に左心房にカテーテルを進めます。当院では、カルトシステムやエンサイトシステムという3次元マッピングシステムを導入しており、事前に撮影した3次元CTを用いて、正確に左右の肺静脈周囲の左心房の構造を把握し、高周波、冷凍バルーン、ホットバルーンのうちから最適な方法を症例ごとに選択して治療を行っています。

また、症例によって心房に線状や自由壁への焼灼を追加することもあります。手術時間は約2-3時間で、病室に戻ってからは止血のために数時間安静にしていただき、問題がなければ、翌日、退院可能です。

2)治療の効果
術後は、一時的に血栓や不整脈が起こりやすくなることがあり、数か月は抗血栓薬と抗不整脈薬を内服していただきます。効果は背景因子によって異なりますが、1回の治療で発作性心房細動では70-90%、慢性心房細動では60-70%で発作のコントロールが可能になります。治療後も発作が起こる場合には2回目の追加治療を行い、これにより9割以上で発作のコントロールが可能です。

3)合併症
カテーテル挿入部に内出血のため、あざやしこりができたりすることがありますが、時間とともに消失します。重篤なものとして、脳梗塞や一過性脳虚血発作、心タンポナーデ、肺静脈塞栓、胃蠕動障害、横隔神経麻痺、左房食道瘻などがあります。

臨床研究について

診療の現場から生まれる疑問や発想を、臨床研究という形で更に深く追求し、将来の医療への懸け橋を築くことは、我々の大きな責務であると考えております。

当センターでは、これまで多くの臨床研究を行い、天王寺から世界に向けて発信してきました。その内容は、急性冠症候群におけるバイオマーカー、糖尿病治療薬と心血管機能の関係、重症心不全における心筋組織の構造変化、下肢閉塞性動脈硬化症における脈管病態学など、循環器領域全般にわたります。

最近では、京都大学をはじめとする研究機関と密に連携をとり、培養細胞や実験動物レベルの基礎研究成果を臨床の現場で確認・応用する探索研究(トランスレーショナルリサーチ)でも新しい成果が得られつつあります。また、我々のチームに新たに加わる若手医師達には、それぞれに合った独立した研究テーマを設定し、早い段階から研究活動をサポートし、国際学会や論文での発表を通じて医師としての可能性を広げることに、チーム一丸となって力を注いでいます。

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臨床研究プロジェクト

  • 心血管病態生理の解明とその臨床応用(新規モダリティの導入)
  • 心不全バイオマーカーの探索的プロジェクト
  • 病的心臓における構造変化、分子発現解析
  • 薬剤溶出性ステント留置後の内膜増殖に対する薬理作用
  • 糖尿病治療薬と心血管機能の関係
  • カテーテルインターベンション施行後の動脈合併症に関する解析

他施設共同臨床研究

Current AS 2、KCHF registryCurrent ASOAC aloneSTOP DAPTCAPITALReACT、KPAF、J-RhythmSIRKASREAL CADPROSPECTNEXTRESETCREDO-KYOTO、J-Cypher 研究など

地域の医療機関の先生方へ

  • 令和3年度
    紹介率 92.4% / 逆紹介率 225.6%

稲田部長は各種の学会評議員や研究班員として、積極的な学術活動を続けています。京都大学とも共同研究を行い、成果を国際誌に発表しています。さらに、病診連携に関しても、心臓血管外科ともども研究会やフォーラムを随時企画し、前向きでオープンになるよう努めています。とりわけ、定期の会として平成5年より毎年春秋の2回、診療所の先生方との交流の場として、また循環器領域の最新の話題提供や症例検討の場として、上本町心臓フォーラムを開催しております。先生方のご参加をお待ちしております。

牧田副部長は約30年にわたり不整脈の研究・診療を行ってきた専門家で、学会評議員として積極的な学術活動を行っています。特にアブレーションについては心房細動を含めたすべての頻脈性不整脈に対応し、高い成功率を維持しています。また不整脈治療のもう一つの要であるディバイスについてもいち早く認定施設となり、植え込み型除細動器(ICD)、両室ペースメーカ(CRT)の植え込みを行っています。さらに最近軽視されがちな抗不整脈薬を含めた薬物療法にも力を入れており、トータルな不整脈管理をめざしています。不整脈について何かお困りのことがございましたら、どんなことでも結構ですので当科にご紹介ください。必ずご満足のいく検査・治療を行ったうえでお返しできると自負しております。

平成26年度より、循環器ホットライン(06-6774-5300)を開設し、常時担当医が携行し、緊急患者から相談症例まで対応しておりますのでご利用ください。

平成18年度より、重症患者搬送用にモービルCCUを運行しております。重症患者の転院、搬送に際して、お迎えを希望される場合はご一報ください。

学会発表・論文等 

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