脳神経内科

当科について

科の特色・紹介

脳神経内科は平成25年4月より高橋牧郎が部長に着任して新体制となり、6年目を迎えました。これまでは神経内科を標榜しておりましたが、神経科と紛らわしい点や、脳卒中など脳に関わる器質的疾患を治療する診療科として標榜することが、より患者さんにもわかりやすいとして学会の意向により名称変更されました。常勤医は部長のほか、医員の柴田医師、雑賀医師、篠藤医師、辻医師、榊原医師、専攻医の田村医師の計7人ですが、非常勤医師として前副部長の鈴木医師、村方医師、島医師、月田医師に診療サポートしてもらっています。外来は3診体制ですが、毎日交替で脳神経内科専門医が担当しております。

初診の患者さんは、かかりつけ医からの紹介状と検査データを持参し、事前に予約を取ってからお越しください。予約は地域医療連携室において受け付けております(なお初診時の予約受付は、医療機関からのお申し込みに限ります)。また、他の病院から当院へのセカンドオピニオンの依頼にも積極的に応じております。救急で受診された場合でも当科の救急担当医師が毎日待機しておりますので、ご安心ください。

当院では脳神経外科と協力して、脳卒中集中治療室(Stroke Care Unit: SCU)を運営しており、脳卒中急性期に24時間対応しています。また脳神経外科、放射線科のスタッフと毎週脳卒中カンファレンスを行っており、外科的処置が必要な場合も対応いたします。

脳神経内科内でも独自にカンファレンスを施行しており、患者さんの病歴、問診より的確な検査、画像診断等を迅速に行い、適切な治療を行うよう努めています。標準的な治療を基準としますが、その上でさらに患者さん個々の病状に合ったきめの細かい治療を行うよう努めています。神経難病や難治性疾患など、十分な治療薬が現状では開発されていない疾患についても、臨床治験等を積極的に導入し、患者さんのご希望により治療を行っております。また、京都大学脳神経内科をはじめ、全国の研究機関、大学、基幹病院と連携し、遺伝子診断や特殊検査にも対応しています。また医学教育面では、当院脳神経内科は京都大学、徳島大学、関西医科大学の臨床教育機関にも指定されており、医学生教育にも力を入れています。

地域の医療機関の先生方へ

当院脳神経内科へは、大阪中心部、南東部をはじめ、奈良県など遠方からも患者さんがお越しになられます。難病も多いため、精密検査、治療に時間を要する場合もありますが、当院は急性期病院である性格上、基本的に病状が落ち着けば、地域の病院やかかりつけの医院にご紹介することで連携を深めています。症状が再燃したり、コントロール不良であれば、いつでも再紹介可能です。そのための地域連携の強化も研究会、講演会などを通じて力を入れています。

主な対象疾患・専門疾患

脳、脊髄、末梢神経、筋肉に至るまで神経系に関わる病気全般が対象ですが、脳神経内科は神経科(精神科)とは異なり、神経系を内科的立場より診断、治療します。統合失調症、パニック障害、不安神経症、うつなどは精神神経科、心療内科での治療となります。

脳神経内科を受診される患者さんの頻度の多い疾患としては、脳卒中(脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血など)、神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症など)、発作性疾患(頭痛、めまい、てんかんなど)、末梢神経障害(ギラン・バレ症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎など)、 神経感染症(脳炎、髄膜炎、脳膿瘍など)、脱髄性疾患(多発性硬化症、視神経脊髄炎など)、筋疾患(重症筋無力症、多発性筋炎、筋ジストロフィー、筋緊張症、ミトコンドリア脳筋症など)、代謝性疾患(肝性脳症、透析脳症、ウエルニッケ脳症など)が挙げられます。また、水頭症診断のための髄液タップテストなども行い、必要に応じて脳神経外科と協力し、治療にあたります。

診療実績

平成29年度の1日平均入院患者数は32.9人(入院患者ベッド定床数31)、平均在院日数は18.0日でした。1日平均外来患者数は84.3人でした。入院患者疾患内訳は頻度順に脳血管障害、パーキンソン病および関連疾患、髄膜炎・脳炎などの神経感染症、てんかん、正常圧水頭症、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレ症候群関連、脊髄疾患、筋疾患、代謝性疾患などでした。

お知らせ・その他

各医師の専門について

当科では専門外来を特に設けていませんが、各分野に専門家を有し、診療にあたっています。部長はこれまで認知症、パーキンソン病、脳卒中、神経免疫疾患、てんかんなどの基礎研究、臨床研究を行ってきましたので、科学的エビデンスに基づいた適切な診断、治療を心がけています。また、脳神経内科をはじめ内科学会、老年学会、脳卒中学会、頭痛学会の専門医・指導医ですので、幅広い疾患に対応しています。
 柴田医師は末梢神経障害、雑賀医師は多発性硬化症、神経免疫疾患、篠藤医師は脳卒中、筋疾患、パーキンソン病、辻医師は脳卒中全般、神経感染症、榊原医師はてんかん、脳卒中により専門性を有します。田村医師は脳神経内科全般に対応できます。
 電気生理学的検査(神経伝導検査、筋電図、誘発電位、脳波など)は医師も直接検査にあたっています。

脳卒中について

脳神経外科とともにSCUを運営し、適応があれば超急性期血栓溶解療法(t-PA)を行っています。また、脳大血管、頸動脈の狭窄があれば、脳神経外科にてステント術や頚動脈内膜剥離術、バイパス術など予防的治療をお願いしています。心原性脳塞栓症については抗凝固薬の使用につき、循環器内科、不整脈科とも連携しています。急性期治療後は、再発予防治療やリハビリを行い、脳卒中危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、脱水、感染症など)を評価・治療しています。退院後は近くのリハビリ病院もしくは療養型病院、かかりつけ医への紹介、在宅医療へとスムーズな連携を取っています。

パーキンソン病について

経過の長い病気ですが、適切な薬剤を早期から使用することにより進行を遅らせ、症状を緩和できますので、必要に応じて検査入院を行い、薬物調整を行います。神経内科の専門性が必要とされる病気ですので、外来での長期フォローが必要となります。診断困難な症例であっても、MRI, 脳血流シンチ、MIBG心筋シンチ、ドパミントランスポーターシンチ(DAT-SPECT)などを行い、診断精度を高めています。症状の変動が激しく内服コントロールが不良の場合は、消化器内科と協力して内視鏡的に胃瘻を造設し、経皮的レボドパ・カルビドパ持続注入療法(LCIG, デュオドーパ;®)も行っており、良好な経過が得られています。

認知症について

根治はできませんが、高次脳機能検査やCT, MRI, 脳血流シンチなどの画像検査を行い、早期診断を行います。また、認知障害・精神行動障害(BPSD)に対する適切な薬物治療を心がけ、ご家族への日常生活上の指導や、介護支援体制の整備、デイサービスやグループホームの利用などをすすめています。

頭痛・てんかんについて

「たかが頭痛、されど頭痛」と言われるように、頭痛、特に慢性頭痛は著しく患者さんのADLを阻害し、片頭痛など難治性であっても周囲の理解が得られにくい疾患です。また、頭蓋内の器質的疾患が潜んでいる場合もあります。当院では頭痛専門医を中心に的確な診断、治療に努めています。てんかんについても脳波、MRI、脳血流シンチ等の検査を行い、急性期から発作型に応じた適切な薬物治療を行っています。

各種神経感染症について

発熱、頭痛、嘔吐、項部硬直、意識障害など多彩な症状がある場合、髄膜炎、脳炎が疑われます。当科では速やかな診察、髄液検査等を行い、必要に応じた抗生剤、抗ウイルス剤による治療を開始し、良好な成果を得ています。

各種免疫性神経疾患について

ギラン・バレ症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、重症筋無力症をはじめ、各種免疫性神経疾患に対して、大量免疫グロブリン療法や血漿交換、ステロイド、免疫抑制剤による治療を行い、良好な成績を得ています。重症筋無力症については、全身型または胸腺腫を合併していれば呼吸器外科と協力して拡大胸腺摘出術を施行します。

多発性硬化症について

再発予防にインターフェロン治療やグラチラマー酢酸塩(コパキソン®)皮下注射を行い、内服薬であるフィンゴリモド(イムセラ®)やフマル酸ジメチル(テクフィデラ®)、難治性の患者さんにはナタリズマブ(タイサブリ®)も導入しています。視神経脊髄炎に対しては急性期ステロイドパルス、血漿交換を行い、免疫抑制剤による治療も導入しています。

末梢神経、筋疾患について

神経伝導検査や筋電図などを行い、形成外科と協力して必要に応じて筋生検、神経生検を行い、正確かつ迅速な診断・治療に努めています。

脳神経内科は急性期から慢性期まで、脳、脊髄、末梢神経、筋肉に至る幅広い疾患を扱っています。我々は神経難病の患者さん、ご家族を心身両面で支えて行けるような医療を目指しています。