心臓血管センター 心臓血管外科

当科について

科の特色・紹介

心臓血管外科では1994年1月の開設以来、成人の心臓・血管疾患の外科治療を行ってきました。対象となる疾患は【対象疾患】の項目に示していますのでご参考にしてください。

現在当科のスタッフは主任部長の中山を含め総計4名です。主任部長の中山は2020年12月より救命救急センター長を兼任することとなり、2021年1月末で外来診療担当を外れました。水曜日、金曜日の午前外来は野中医長が引き継ぎますので、よろしくお願いいたします。今後、副院長兼主任部長 中山 正吾(昭和57年 京都大学卒)、医長 野中 道仁(平成8年 大阪医科大学卒)、医長 辻 崇(平成18年 徳島大卒)、髙崎 直(平成27年 弘前大学卒)の4名で診療にあたります。今後ともよろしくお願いいたします。

またこれまで同様、毎月第2金曜日、午前外来では関西医科大学総合医療センター 血管外科の駒井 宏好 教授に非常勤職員として末梢血管疾患専門外来を担当していただいています。最近ご紹介の患者さんが増加してきています。今後ともよろしくお願いいたします。

通常の外来はもちろん、心疾患や動脈瘤で何かご相談がある時や、セカンドオピニオンをご希望の場合などは、いつでもお気軽に患者総合支援センター、医療連携課へご連絡下さい。

当科は心臓血管センターとして循環器内科と週1回ハートカンファレンスを合同で行い緊密な連携を保って診療をおこなっております。心疾患はもとより末梢血管疾患に至るまで内科、外科の両面から治療法を検討し、患者さんにとって安全で最も侵襲の少ない効果的な治療法を選択しています。手術について悩んでおられる患者さんにはゆっくりとご説明し、しっかりしたインフォームド・コンセントをさせていただいた上で、どの治療法が一番いいのか選んでいただくようにしています。心臓血管外科の手術にはリスクの高い手術もあります。手術を受けたことによって得られるメリット、手術に伴う危険性、手術を選択しなかった際の予後や起こりうる危険についてしっかりとご理解頂いて、一緒に治療法を考えていきます。患者さんにも積極的に治療に参加していただきたいと考えています。

大阪赤十字病院はすべての診療科を有する総合病院であります。種々の合併症、併存疾患をお持ちの患者さんにとっては、総合的な治療を受けることが可能であり、心強い存在になれると確信しております。近年患者さんの高齢化とともに、心臓以外の疾患も有する患者さんが増加しつつあります。そのような時にも他科とも連携して治療にあたらせていただきますので、ご安心ください。

当科では2010年1月より日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)機構に参加し、日本全国規模での心臓手術のデータベース作成に協力しています。活動の要旨についてはこのホームページに掲載しているJACVSDの資料を参考にしてください。データベース作成のため、主として検査データ、手術術式、手術経過などのいわゆる個人情報を使用させていただいております。個人情報保護には充分配慮しておりますのでどうか活動の主旨をご理解いただき、ご協力いただけますようお願いいたします。

また、2011年1月より外科系の専門医制度と連携した症例データベース機構(National Clinical Database)もスタートいたしました。こちらの活動についてもご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

2013年7月より、京都大学医学部 心臓血管外科関連病院グループが始めました心臓血管外科手術患者さんの治療経過、予後調査活動(ADVANCE-Kyoto)に参加しました。心臓外科手術を受けられた患者さんの長期予後についても調査し、新たな知見が得られることを期待しています。ご協力をよろしくお願いいたします。また、循環器内科とも協力して他施設共同研究にも参加しています。多くの患者さんのデータを解析することにより、今後の治療方針決定に際し日本初のエビデンスが発信できればと考えています。いずれの調査活動においても個人情報の取り扱いには十分注意し、個人が特定されて患者さんにご迷惑のかかることのないよう細心の配慮をおこなっています。これらの活動について何かご質問のある方は担当医にお尋ねください。

各種調査を開始して以来、多くの患者さんにご協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後とも症例調査にご協力よろしくお願いいたします。

対象疾患・診療実績

対象疾患

次のような疾患に対して手術治療をおこなっています。

(ア)
虚血性心疾患:狭心症、心筋梗塞、急性心筋梗塞に伴う合併症(心室中隔穿孔、心破裂、急性僧帽弁閉鎖不全)、虚血性僧帽弁閉鎖不全症、左室瘤
 冠動脈バイパス手術では人工心肺装置を用いない心拍動下冠動脈バイパス手術(OPCAB)を第一選択としていますが、患者さんの重症化、高齢化に伴い安全、確実な手術のために人工心肺装置の補助下での冠動脈バイパス手術も増加しています。
(イ)
弁膜症:各種弁の狭窄症、閉鎖不全症、感染性心内膜炎
 僧帽弁閉鎖不全症に対しては弁形成術を第一選択としています。また弁膜症に伴う心房細動には積極的に不整脈手術(メイズ手術)をおこなっています。メイズ手術を行う際には、ほぼ全例で心房内血栓予防のため左心耳切除も倂施しています。若年者の大動脈弁閉鎖不全症に対しては、今後は積極的に形成術をおこないたいと考えています。
(ウ)
大動脈疾患:急性大動脈解離、胸部および腹部大動脈瘤、大動脈炎症候群
 平成23年1月より胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療を開始いたしました。今後は患者さんの状態に応じて外科手術、カテーテル治療の適応を判断し、治療をおこないます。胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤の破裂に対して緊急ステントグラフト治療もおこなっています。
(エ)
先天性心疾患:体重30 kg以上の成人型先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、エプスタイン病、動脈管開存症など)
(オ)
末梢血管疾患:閉塞性動脈硬化症、末梢動脈瘤など
 当院では静脈瘤は形成外科で対応させていただいています。また深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症につきましては薬物療法が中心となりますので循環器内科に御相談下さい。 閉塞性動脈硬化症に対しては、循環器内科とも協力し、外科的バイパス治療、内科的カテーテル治療の両面で検討させて頂いています。
 近年の重症下肢虚血の患者さんの増加に対応するべく、関西医科大学総合医療センター 末梢血管外科の駒井 宏好 教授をお招きし、平成26年2月より、月に1回第2金曜日の午前中に末梢血管疾患専門外来を開設しています。末梢血管疾患専門外来ですが、重症下肢虚血症に限らず、広く下肢の血流障害でお困りの患者さんに受診して頂ければ幸いです。詳しくは患者総合支援センター窓口にお問い合わせください。
診療成績報告

昨今、医療の現場において情報公開の重要性が取り上げられています。私たちもホームページ上でお知らせしていますように、日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)機構と外科系の専門医制度と連携した症例データベース機構(National Clinical Database )に参加し、正確な医療情報の構築、情報開示に努めています。患者さまに正確な情報をお伝えするのも、われわれ医師の仕事と考えており、以前よりホームページ上で当科の診療実績を定期的(6ヶ月毎に改訂)に報告しています。

今回の報告では令和2年1月より令和2年12月末までの1年間の手術成績についてお知らせします。

〈 令和2年1月から12月末までの診療実績 〉

昨今、医療の現場において情報公開の重要性が取り上げられています。私たちもホームページ上でお知らせしていますように、日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)機構と外科系の専門医制度と連携した症例データベース機構(National Clinical Database )に参加し、正確な医療情報の構築、情報開示に努めています。患者さまに正確な情報をお伝えするのも、われわれ医師の仕事と考えており、以前よりホームページ上で当科の診療実績を定期的(6ヶ月毎に改訂)に報告しています。今回はコロナ禍の影響もあり、症例数が以前のレベルまで回復していませんので、手術成績の更新は2022年1月にさせていただきます。

令和2年1月から1年間の心臓・大血管手術症例数(腹部大動脈瘤を含む)は、112例でした。

症例の内訳は虚血性心疾患が20例、弁膜症が40例、胸部大動脈瘤が26例、その他の開心術が2例、腹部大動脈瘤が24例でした。そのほか末梢血管疾患に対する手術が11例ありました。この分類では患者さんの重複はありません。

以下、疾患別に報告していきます。

虚血性心疾患ですが、同期間の単独冠動脈バイパス手術は20例でした。冠動脈バイパス手術は全国的にも減少傾向にあり、この傾向はPCIと言われるカテーテルインターベンションでも同様です。降圧剤、スタチン、抗血小板剤の普及による予防医学の進歩、薬剤溶出ステントなどのデバイスの進化による再狭窄の低下が大きな要因と思われます。うち、オフポンプCABGが3例、人工心肺装置補助下でのCABGが17例です。患者さんの病状、冠動脈の性状により手術術式を使い分けています。この20例中3例の方が術後30日以内に亡くなられました。今後も手術成績を改善するよう努力してまいります。

弁膜症を主体とする手術は、40例でした。このほかにも胸部大動脈瘤手術と同時におこなった弁手術が3例ありました。

40例の中で手術手技別にみると、大動脈弁置換術は25例(生体弁22例、機械弁3例)、僧帽弁置換術は生体弁7例、機械弁7例でした。僧帽弁形成術は7例、三尖弁輪形成術は5例おこないました。慢性および発作性心房細動に対するメイズ手術と同時にデバイスを用いた左心耳閉鎖を行った症例は13例でした。左心耳閉鎖による脳梗塞の予防効果については今後も経過観察を予定しています。また、同時に冠動脈バイパス手術を施行した方は13例でした。この40例中2名の方が術後30日以内に亡くなられています。

社会の高齢化に伴い高齢者の大動脈弁硬化症、大動脈狭窄症が増加しています。人工心肺装置を用いた大動脈弁置換術がGold standardですが、外科的手術のハイリスク例には経カテーテル大動脈弁置換術(TVAR)という選択肢もでてきました。外科医としては安全に安心して手術を受けていただけるよう、技術の研鑽に努めていきたいと思います。

胸部大動脈瘤手術は、人工血管置換術が23例、胸部ステントグラフト治療が3例の計26例でした。

疾患別に見ると急性A型大動脈解離に対する人工血管置換術が12例あり、いずれも緊急手術でした。このうち2名の方を救命できませんでした。真性動脈瘤に対する上行大動脈置換術、弓部大動脈置換術は11例でした。

腹部大動脈瘤に対する治療は24例でした。開腹人工血管置換術は5例で、19例はステントグラフト留置術で治療しました。腹部大動脈瘤破裂の緊急手術は3例あり、1例は開腹で、2例はステントグラフトで治療しました。ステントグラフトで治療した方が1名亡くなられています。

以上、令和2年1月から12月末までの主な疾患の治療成績を報告しました。今後も治療成績報告は6ヶ月毎に更新していきます。さらに成績向上を目指しスタッフ一同努力いたしますので、よろしくお願いいたします。

年次別手術数集計表

お知らせ・その他

地域医療連携の各先生方へ

当院は平成15年には、心臓血管外科専門医機構から基幹病院に認定されました。また平成23年1月より腹部ステントグラフト留置術、胸部ステントグラフト留置術の実施施設の認定も受けております。平成30年4月より新専門医制度が始まりました。当院は外科専門医研修の基幹施設として研修プログラムを整備しています。既に何人かの専攻医が研修を開始しています。心臓血管外科専門医はサブスペシャル分野として、これからプログラムが認定されるところです。

当科では循環器内科と合同で、地域医療の先生方を対象として定期的に勉強会も開催しております。今はコロナ禍で開催が難しい状況となっていますが、いずれ機会がありましたらご参加ください。また、今後とも病病連携、病診連携を大切にしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

外来診療の水曜日、金曜日午前中は初診・紹介患者さん外来としております。手術適応、治療法、セカンドオピニオンなどで何かお困りの症例がありましたら、直接または患者総合支援センターを通じご相談下さい。また末梢血管疾患専門外来を月1回、第2金曜日の午前中に開設しています。下肢虚血、浮腫、静脈瘤でお困りの症例があればご相談ください。