心臓血管センター 心臓血管外科

当科について

科の特色・紹介

心臓血管外科では平成6年1月の開設以来、成人の心臓・血管疾患の外科治療を行ってきました。対象となる疾患は【対象疾患】の項目に示していますのでご参考にしてください。

現在当科のスタッフは部長の中山を含め総計3名です。副院長兼部長 中山 正吾(昭和57年 京都大学卒)、中津 太郎(平成15年 熊本大学卒)、髙崎 直(平成27年 弘前大学卒)がスタッフです。

また、毎月第2金曜日、午前外来では関西医科大学総合医療センター 血管外科の駒井 宏好教授に非常勤職員として末梢血管疾患専門外来を担当していただいています。最近ご紹介の患者さんが増加してきています。今後ともよろしくお願いいたします。

通常の外来はもちろん、心疾患や動脈瘤で何かご相談がある時や、セカンドオピニオンをご希望の場合など、いつでもお気軽にご連絡下さい。

当科は心臓血管センターとして循環器内科、不整脈科内科とも週1回ハートカンファレンスを合同で行い緊密な連携を保って診療をおこなっております。心疾患はもとより末梢血管疾患に至るまで内科、外科の両面から治療法を検討し、患者さんにとって安全で最も侵襲の少ない治療法を選択しています。手術について悩んでおられる患者さんにはゆっくりとご説明し、しっかりしたインフォームド・コンセントをさせていただいた上で、どの治療法が一番いいのか選んでいただくようにしています。心臓血管外科の手術にはリスクの高い手術もあります。手術を受けたことによって得られるメリット、手術に伴う危険性、手術を選択しなかった際の予後、起こりうる危険についてしっかりとご理解頂いて、一緒に治療法を考えていきたいと思います。

大阪赤十字病院はすべての診療科を有する総合病院であります。種々の合併症、併存疾患をお持ちの患者さんにとっては、総合的な治療を受けることが可能であり、心強い存在になれると確信しております。近年患者さんの高齢化とともに、心臓以外の疾患も有する患者さんが増加しつつあります。そのような時にも他科とも連携して治療にあたらせていただきますので、ご安心ください。

当科では2010年1月より日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)機構に参加し、日本全国規模での心臓手術のデータベース作成に協力しています。活動の要旨についてはこのホームページに掲載しているJACVSDの資料を参考にしてください。データベース作成のため、主として検査データ、手術術式、手術経過などのいわゆる個人情報を使用させていただいております。個人情報保護には充分配慮しておりますのでどうか活動の主旨をご理解いただき、ご協力いただけますようお願いいたします。

また、2011年1月より外科系の専門医制度と連携した症例データベース機構(National Clinical Database)もスタートいたしました。こちらの活動についてもご協力いただけますよう、よろしくお願いいたします。

2013年7月より、京都大学医学部 心臓血管外科関連病院グループが始めました心臓血管外科手術患者さんの治療経過、予後調査活動(ADVANCE-Kyoto)に参加しました。心臓外科手術を受けられた患者さんの長期予後についても調査し、新たな知見が得られることを期待しています。ご協力をよろしくお願いいたします。いずれの調査活動においても個人情報の取り扱いには十分注意し、個人が特定されて患者さんにご迷惑のかかることのないよう細心の配慮をおこなっています。これらの活動について何かご質問のある方は担当医にお尋ねください。

各種調査を開始して以来、多くの患者さんにご協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後とも症例調査にご協力よろしくお願いいたします。

対象疾患・診療実績

対象疾患

次のような疾患に対して手術治療をおこなっています。

(ア)
虚血性心疾患:狭心症、心筋梗塞、急性心筋梗塞に伴う合併症(心室中隔穿孔、心破裂、急性僧帽弁閉鎖不全)、虚血性僧帽弁閉鎖不全症、左室瘤
 冠動脈バイパス手術では人工心肺装置を用いない心拍動下冠動脈バイパス手術(OPCAB)を第一選択としています。
(イ)
弁膜症:各種弁の狭窄症、閉鎖不全症、感染性心内膜炎
 僧帽弁閉鎖不全症に対しては弁形成術を第一選択としています。また弁膜症に伴う心房細動には積極的に不整脈手術(メイズ手術)をおこなっています。若年者の大動脈弁閉鎖不全症に対しては、今後は積極的に形成術をおこないたいと考えています。
(ウ)
大動脈疾患:急性大動脈解離、胸部および腹部大動脈瘤、大動脈炎症候群
 平成23年1月より胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療を開始いたしました。今後は患者さんの状態に応じて外科手術、カテーテル治療の適応を判断し、治療をおこないます。
(エ)
先天性心疾患:体重30 kg以上の成人型先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、エプスタイン病、動脈管開存症など)
(オ)
末梢血管疾患:閉塞性動脈硬化症、末梢動脈瘤など
 当院では静脈瘤は形成外科で対応させていただいています。また深部静脈血栓症、肺梗塞につきましては薬物療法が中心となりますので循環器内科に御相談下さい。
 閉塞性動脈硬化症に対しては、循環器内科とも協力し、外科的バイパス治療、内科的カテーテル治療の両面で検討させて頂いています。
 近年の重症下肢虚血の患者さんの増加に対応するべく、関西医科大学滝井病院 末梢血管外科の駒井宏好先生をお招きし、平成26年2月より、月に1回第2金曜日の午前中に末梢血管疾患専門外来を開設しました。末梢血管疾患専門外来ですが、重症下肢虚血症に限らず、広く下肢の血流障害でお困りの患者さんに受診して頂ければ幸いです。詳しくは患者総合支援センター窓口にお問い合わせください。
診療成績報告

昨今、医療の現場において情報公開の重要性が取り上げられています。私たちもホームページ上でお知らせしていますように、日本成人心臓血管外科手術データベース(JACVSD)機構と外科系の専門医制度と連携した症例データベース機構(National Clinical Database )に参加し、正確な医療情報の構築、情報開示に努めています。患者さんに正確な情報をお伝えするのも、われわれ医師の仕事と考えており、以前よりホームページ上で当科の診療実績を定期的(6ヶ月毎に改訂)に報告しています。

今回の報告では平成30年1月より12月末までの一年間の手術成績についてお知らせします。また、疾患別診療成績表には平成18年10月以降の全症例の手術成績も掲示しています。従来、疾患別診療成績表には手術死亡と入院死亡の両方を記載していました。手術死亡は術後30日以内のすべての死亡、入院死亡は手術死亡に加え、術後入院中のすべての死亡(術後日数にかかわらず)を表していました。ご覧になった方が少しわかりにくいので、現在は日本胸部外科学会の症例調査でも用いられているように術後30日死亡(手術後30日以内の全死亡。入院中、退院後を問わず)で統一して表記します。

〈 平成30年1月から12月末までの診療実績 〉

平成30年1月から12月末までの1年間の心臓・大血管手術症例数(腹部大動脈瘤を含む)は、当科でのこれまでの歴史の中で最も多く155件でした。昨年1年間で111件でしたので大きな増加です。循環器内科、心臓血管外科へのご紹介患者さんが増加し、新入院患者数が増えたこと、麻酔科医の増員により4月から手術枠が増加したことなどが要因として考えられます。今後も皆様の期待にお答えできるよう、より一層努力したいと考えています。今後ともご紹介をよろしくお願いいたします。

症例の内訳は虚血性心疾患が29例、弁膜症が46例、胸部大動脈瘤が50例、腹部大動脈瘤が27例、成人先天性心疾患が1例、心臓腫瘍2例でした。そのほか末梢血管疾患に対する手術が18件ありました。この分類では患者さんの重複はありません。

以下、疾患別に報告していきます。

虚血性心疾患ですが、同期間の単独冠動脈バイパス手術は26例でした。うち、オフポンプCABGが11例、人工心肺装置補助下でのCABGが15例です。患者さんの病状、冠動脈の性状により手術術式を使い分けています。虚血性心筋症に合併した機能的僧帽弁閉鎖不全症に対しCABGと僧帽弁置換術を施行した症例が1例、急性心筋梗塞に伴う乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁置換術、CABGの症例を1例、急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔を1例経験しました、残念ながら乳頭筋断裂の症例と、心室中隔穿孔の症例は救命することができませんでした。

その他、弁膜症手術、胸部大動脈瘤手術など他の心臓手術と同時にCABGを施行した症例が13例ありました。

弁膜症を主体とする手術は、46例でした。そのほかにも胸部大動脈瘤手術と同時に弁手術を行った方が15例ありました。幸いなことに弁膜症手術の46例の中には手術死亡はありませんでした。

46例の中で手術手技別にみると、大動脈弁置換術は25例(生体弁23例、機械弁2例)、僧帽弁置換術は生体弁9例、機械弁1例でした。僧帽弁形成術は13例、三尖弁輪形成術10例、三尖弁置換術を2例におこないました。本年より心房細動に対するメイズ手術と同時にデバイスを用いた左心耳閉鎖を行っています。本年は15例でメイズ手術をおこないました。また、同時に冠動脈バイパス手術を施行した方は7例ありました。

胸部大動脈瘤手術は昨年と比べ倍増しており、人工血管置換術が33例、胸部ステントグラフト治療が含17例ありました。人工血管置換術の合併手術としては大動脈弁置換術が13例、僧帽弁置換術が1例、僧帽弁形成術が1例、メイズ手術が1例、CABGが6例でした。

疾患別に見ると急性A型大動脈解離に対する人工血管置換術が8例、急性B型大動脈解離に対する手術が1例あり、いずれも緊急手術でした。うち急性A型解離の症例で心肺蘇生後に手術を行った方1名を救命できませんでした。また、慢性A型大動脈解離に対する手術も1例行いました。

真性動脈瘤では大動脈基部の手術が3例、上行大動脈人工血管置換術が4例、弓部大動脈人工血管置換術が16例(うち8例はFrozen Elephant Trunk使用)の計23例ありました。大動脈弓部瘤の破裂で緊急手術を施行した方お一人を救命できませんでした。

腹部大動脈瘤に対する治療は27例で、6例が開腹人工血管置換術で、21例はステントグラフト留置術で治療しました。このうち腹部大動脈瘤破裂のため緊急開腹手術をした高齢の患者さんを救命できませんでした。

以上総括すると平成30年1年間での155例の心臓・大血管手術の中で、手術後30日以内の手術死亡は5例、3.2%で、いずれも緊急手術でした。

以上平成30年1月から12月までの主な疾患の治療成績を報告しました。今後も治療成績報告は6ヶ月毎に更新していきます。さらに成績向上を目指しスタッフ一同努力いたしますので、よろしくお願いいたします。

年次別手術数集計表

お知らせ・その他

地域医療連携の各先生方へ

当院は平成15年には、心臓血管外科専門医機構から基幹病院に認定されました。また平成23年1月より腹部ステントグラフト留置術、胸部ステントグラフト留置術の実施施設の認定も受けております。平成30年4月より新専門医制度が始まりました。当院は外科専門医研修の基幹施設として研修プログラムを整備しています。既に何人かの専攻医が研修を開始しています。心臓血管外科専門医はサブスペシャル分野として、これからプログラムが認定されるところです。

当科では循環器内科、不整脈内科と合同で、地域医療の先生方を対象として定期的に勉強会も開催しております。機会がありましたらご参加ください。また、今後とも病病連携、病診連携を大切にしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

外来診療の水曜日、金曜日午前中は初診・紹介患者さん外来として部長の中山が担当しております。手術適応、治療法、セカンドオピニオンなどで何かお困りの症例がありましたら、直接または患者総合支援センターを通じご相談下さい。また平成26年2月より末梢血管疾患専門外来を月1回、第2金曜日の午前中に開設いたしました。下肢虚血、浮腫、静脈瘤でお困りの症例があればご相談ください。