泌尿器科

当科について

科の特色・紹介

高度な総合病院、豊富なスタッフ

泌尿器科常勤医6名は全国的にも有数の規模です。麻酔科をはじめ、すべての診療科がトップクラスですので、超 高齢者、複雑な合併症のある方など、どんな場合でもベストの医療を提供することが可能です。

最先端の診療・手術機器

最新型手術用ロボット(Da Vinci Xi)をはじめ、3D腹腔鏡システム、ホルミウムレーザー、ハイビジョン膀胱尿道ファイ バー、対外衝撃波結石破砕装置など、最先端の医療機器を導入しています。

緊急疾患への対応

当院救命救急センター、地域の一般医の先生方と連携し、緊急の疾患へも年中無休24時間体制で対応しています。

対象疾患・診療実績

対象疾患

(1)前立腺がん

PSA検診、早期発見、早期治療が本当に必要な場合の見極めが難しいと言われています。十分な説明とご本人の希望を尊重した治療方針の決定を目標としています。最近発売された化学療法後の新規治療薬も豊富な使用経験があり、すべての製剤が使用可能です。ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を多くの症例に行っています。

(2)膀胱がん

浸潤性膀胱がんの標準治療は膀胱全摘術とされていますが、手術が不可能な場合や希望されない場合には化学療法と放射線治療を組み合わせた膀胱温存療法も行っています。また、ロボット支援膀胱全摘術の認定施設であり、多くの実績を有しています。

(3)腎がん

ロボット支援機器(ダ・ヴィンチ)を用いて難易度の高い腹腔鏡手術である腎部分切除も積極的に行っています。最近発売された分子標的薬も豊富な使用経験があり、すべての製剤が使用可能です。

(4)前立腺肥大症

平成23年6月からホルミウムレーザーによる前立腺核出術(HoLEP)を開始し、100例以上の経験があります。

(5)尿路結石

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)から腎結石に対する軟性尿管ファイバーによる内視鏡手術(fTUL)まで、すべての種類の内視鏡的砕石術が可能です。また、サンゴ状結石のような大きな腎結石に対しては経皮的腎砕石術(PNL)を行い、多くの実績を有しています。

(6)精巣腫瘍

もともと珍しい癌ですが、大学病院でも数年に1回といわれる大手術である後腹膜リンパ節廓清術を年に1例は行っています。

(7)男性不妊症

近隣の不妊クリニックとも連携し、男性不妊症の検査治療を積極的に行っています。男性側の不妊因子のチェック、精索静脈瘤手術、精管閉塞に対する顕微鏡下吻合術、体外受精のための精巣精子採取(TESE)などが可能です。

(8)腎移植

腎臓内科と協力し、腎移植センターを開設計画中。

治療実績・手術実績(平成30年度)
前立腺がん ロボット支援前立腺全摘除術 49例/年
膀胱がん 経尿道的膀胱腫瘍切除術
(TUR-Bt 表在性膀胱癌の内視鏡手術)
154例/年
膀胱全摘術、尿路変向 16例/年
腎盂尿管がん 後腹膜鏡下腎尿管摘除術 17例/年
腎がん 腎部分切除術 8例/年
腹腔鏡下腎摘除術 45例/年
開放腎摘術 2例/年
前立腺肥大症 ホルミウムレーザー前立腺核出術 70例/年
尿管結石 経尿道的尿管結石砕石術 64例/年
経皮的腎結石砕石術 14例/年

地域の医療機関の先生方へ

地域連携を通じてご紹介いただいた方は、シニアスタッフが日替わりで対応し、原則的にその日に方針を決定し、先生方にご報告するようにしています。検査、手術については迅速な対応を心がけており、検査が必要な場合は可能な限り当日行い、予定手術は原則1か月以内に行うことを目標としています。数か月、半年待ちということはあり得ません。不明な点がありましたら、当日の担当医に直接お電話いただければ対応いたします。

お知らせ・その他

限局性前立腺がんに対する腹腔鏡下前立腺全摘術について

根治(完全に治せる)の可能性がある前立腺がんに対する治療法は、従来、 開腹手術(下腹部を約10 ㎝切開して前立腺精嚢(せいのう)を一塊として摘出する方法)だけでした。最近は、「腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術」という下腹部に鉛筆程度の小さな穴を5 カ所ほど開けて、そこから内視鏡で見ながら、手は突っ込まないで細長い鉗子(道具)だけを挿入して、前立腺や精嚢を摘出する手術方法が広まってきました。この手術は技術的に難易度が高く、しかもある程度の実績を重ねて、初めて病院として保険診療が出来る施設基準を取得する必要があります。この施設基準を取得するためのハードルが高いため、まだ比較的限られた施設でのみ行われています。

当院は、平成23 年9 月に「腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術」の施設基準を取得し、すでに100 例以上の患者さんに手術させていただき、良好な成績を収めています。この手術は、気腹といって、おなかの中に炭酸ガスを注入しておなかを膨らませて、手術するスペースを確保して行います。そのため、手術中のおなかの中の圧力は10 気圧近くになります。開腹の前立腺がんの手術では出血し、輸血が必要となる場合が多いですが、この気腹の操作により、静脈の出血が少なくなり、輸血を必要としないことが多くなりました。また開腹手術に比べて創が小さいため、術後の患者さんの痛みは、開腹手術に比べてかなり少なく、回復も早いのがメリットです。

欠点としては、手術時間が少し長くなること、手術中の術者が苦しい姿勢で長時間行うため、医者にとってはきつい面もあります。また、この手術がすべての面で従来の開腹手術に勝っているわけではありません。若い方で勃起機能を温存する希望の方には、私たちは開腹手術で4 倍のルーペ(拡大鏡)で見ながら慎重に勃起神経を残す方法も行っています。現時点では、左右ともその方法で勃起神経を残した場合の成功率は70%以上を誇っていますが(ただし、バイアグラなどの薬剤の併用が必要である場合が多いです)、腹腔鏡手術ではまだそこまでの成績を挙げることは出来ていません。また、開腹手術でも痩せた身体の方では、10 ㎝以下の切開でも行うことが出来ます(6~7 ㎝)。

手術方法は、患者さんのがんの状態や、体型、ご希望などを相談して決めさせていただいています。前立腺がんで手術をお考えの方は、どうぞ私たちにご相談ください。

前立腺肥大症に対する新しい、身体に優しい手術方法が導入されました
~ホルミウム・ヤグレーザーによる前立腺核出術(HoLEP)~

ホルミウム・ヤグレーザーによる前立腺核出術(HoLEP)は、レーザー光を使用して、前立腺の肥大した組織を内視鏡下に摘出する治療法です。当院では、平成25年3月からこの手術を導入しましたのでご紹介します。

Q1:どんな手術ですか?

A1:この手術は、まず内視鏡を尿道から挿入し、ホルミウム・ヤグレーザーという種類のレーザー光を、前立腺の内腺(前立腺肥大組織)と前立腺外腺(外科的被膜)の間に照射してその境界をはがしていきます。ちょうど、みかんの皮をむくような操作です。はがれた前立腺肥大組織は、やがて外腺からはずれます。このことを「核出」といいます。きれいに核出された組織は、「モルセレーター」という装置を用いて、細かく裁断して吸引除去します。

Q2:これまでの手術と比べてどのような点が優れているのですか?

A2:従来は、「経尿道的前立腺切除術(TURP)」という手術が標準手術でした。これは、内視鏡下に前立腺肥大組織を電気メスで少しずつ削りとり、その切片を洗い出す手術です。この方法では、大きな前立腺肥大症では出血が多くなり、また、術中に使う潅流液が体内に吸収され、低ナトリウム血症(軽症では嘔気や頭痛、重症では意識障害、呼吸不全)を来たすなどの副作用がありました。前立腺の大きさが大きいとその副作用の危険性が高まるため、大きな前立腺肥大症では施行しにくいという問題がありました。

HoLEPでは、これらの危険性が大幅に減少し、前立腺肥大が大きいために開腹が必要であったケースでも、この手術で出来るようになります。また、切除面が無理なくはがれる面であることから、術後の疼痛やカテーテル留置期間が短くてすむといわれています。

Q3:注意点は?

A3:手術時間がやや長くかかるため、全身麻酔が必要になる場合があります。手術後に尿道カテーテルを抜去した後の一時的な尿もれや、また非常に稀ですが、組織を裁断吸引する装置(モルセレーター)による特殊な合併症として、膀胱損傷などもあります。詳しくは、泌尿器科外来でご相談ください。