泌尿器科
Department of Urology
科の特色・紹介
特色
当院は平成18年4月に国指定「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受け、泌尿器科領域の腎細胞がん、腎盂・尿管がん、膀胱癌、前立腺がん、精巣がんをはじめとした悪性腫瘍の治療を、安全性、根治性、機能性を重視して、多くの臨床経験とガイドラインを参考にしながら精力的に行なっています。また検診等にて疑われた段階からの精査、診断から治療方針の決定、疾患の説明と治療、手術および術後のフォローアップなどに対し、責任をもって原則として複数の担当医が行います。さらに当科ではがん治療のみならず、地域医療の拠点病院として緊急を要する感染性尿路疾患、尿路結石などの重症例に対する治療に積極的に対応するとともに、前立腺肥大症などの手術についても多くの経験を有しています。
最先端の診療・手術機器
2台の最新型手術用ロボット(Da Vinci Xi)をはじめ、3D腹腔鏡システム、ホルミウムレーザー、バイポーラTURシステム、ハイビジョン膀胱尿道ファイバースコープ、腎盂尿管ファイバースコープ、細径腎盂鏡、対外衝撃波結石破砕装置など、最先端の医療機器を導入しています。
緊急疾患への対応
当院救命救急センター、地域の一般医の先生方と連携し、緊急の疾患へも年中無休24時間体制で対応しています。
対象疾患
- 前立腺がん
PSA検診などを契機に受診された前立腺がんの疑いの方に、安全性に細心の注意を払い手術室にて経会陰的生検(14~20か所)を行っています。病理診断が確定後は、ステージングを行い、十分な説明とご本人の希望を尊重した治療方針の決定を目標としています。根治術が可能な方には、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術RARPを多くの症例に行っています(令和6年7月で342例)。最近発売された内分泌療法後の新規治療薬も豊富な使用経験があり、すべての製剤が使用可能です。
- 膀胱がん
浸潤性膀胱がんの標準治療は膀胱全摘術とされていますが、手術が不可能な場合や希望されない場合には化学療法と放射線治療を組み合わせた膀胱温存療法も行っています。また、ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘術RARCの認定施設であり、多くの実績(令和6年7月で72例)を有しています。
- 腎がん
小径の腎細胞がんに対しては、ロボット支援機器(ダ・ヴィンチ)を用いて難易度の高い腹腔鏡手術である腎部分切除RAPNも積極的に行っています(令和6年7月で118例)。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も豊富な使用経験があり、すべての製剤が使用可能です。
- 腎盂・尿管がん
膀胱がんと同様のがんが腎盂や尿管に発生した疾患です。従来の手術では腹腔鏡にて腎・尿管上部を、尿管下部は下腹部切開にて行っていましたが、現在はロボット支援腎・尿管全摘除術RANU(令和6年7月で24例)を導入しています。
- 前立腺肥大症
平成23年6月からホルミウムレーザーによる経尿道的前立腺核出術(HoLEP)を開始し、令和3年よりTUEBも行っています。これらを合わせて令和6年7月時点で500例以上の経験があります。
- 尿路結石
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)から腎結石に対する軟性尿管ファイバーによる内視鏡手術(fTUL)まで、すべての種類の内視鏡的砕石術が可能です。また、サンゴ状結石のような大きな腎結石に対しては、あらたに導入したECIRSという従来の経皮的腎砕石術(PNL)と経尿道的尿路結石除去術(TUL)を同時に行なうことで、安全に効率よく結石の除去が可能となっています。令和6年7月時点で67例と多くの実績を有しています。
- 腎盂尿管移行部狭窄症
尿管の上部で血管やリンパ管と交差することにより屈曲や狭窄を起こす疾患で、水腎症による腎機能低下を起こします。当科では従来の腹腔鏡下手術に変えてロボット支援腎盂形成術を積極的に行っています。(令和6年7月で22例)
- 精巣がん
若年男性にみられる稀な悪性疾患ですが、抗がん剤や後腹膜リンパ節郭清術などで根治の可能性が高く、綿密な治療プランが必要です。これまで多くの経験を有しています。
診療実績
令和5年度
入院
延患者数 | 新入院患者数 | 一日平均患者数 | 平均在院日数 |
---|---|---|---|
9,762人 | 1,234人 | 26.7人 | 7.8日 |
外来
延患者数 | 新外来患者数 | 一日平均患者数 |
---|---|---|
14,992人 | 1,012人 | 62.0人 |
治療実績・手術実績
前立腺がん | ロボット支援前立腺全摘除術 RARP | 45例/年 |
膀胱がん | 経尿道的膀胱腫瘍切除術 TURBT (表在性膀胱がんの内視鏡手術) |
186例/年 |
ロボット支援膀胱全摘術RARC | 10例/年 | |
腎盂尿管がん | 後腹膜鏡下腎尿管摘除術 | 3例/年 |
ロボット支援腎尿管全摘除術RANU | 10例/年 | |
腎がん | ロボット支援腎部分切除術RAPN | 29例/年 |
ロボット支援腎摘除術 | 12例/年 | |
腹腔鏡下腎摘除術 | 22例/年 | |
開放腎摘術 | 3例/年 | |
前立腺肥大症 | ホルミウムレーザー前立腺切除術 | 31例/年 |
経尿道的前立腺核出術TUEB | 28例/年 | |
尿管結石 | 経尿道的尿管結石砕石術TUL | 70例/年 |
経皮・経尿道的腎尿路結石砕石術ECIRS | 25例/年 |
お知らせ
地域の医療機関の先生方へ
- 令和5年度
紹介率 92.6% / 逆紹介率 141.9%
地域連携を通じてご紹介いただいた方は、シニアスタッフが日替わりで対応し、原則的にその日に方針を決定し、先生方にご報告するようにしています。検査、手術については迅速な対応を心がけており、検査が必要な場合は可能な限り当日行い、予定手術は原則1か月以内に行うことを目標としています。ご不明な点がありましたら、当日の担当医に直接お電話いただければ対応いたします。