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小児外科

Department of Pediatric Surgery

科の特色・紹介

小児外科とは

小児外科では、新生児から15歳(中学生)までの外科疾患の治療を行います。最近では胎児の超音波検査が発達し、生まれる前に外科疾患が診断される場合もあります。一方、こどもの頃から重篤な病気を持つ患者さんは、成人になっても治療を続けることもあり、赤ちゃんから大人まで治療の対象となります。

小児外科で治療する病気や臓器は、多岐にわたります。頚部、口腔、肺、気管、腹壁、消化管(食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門)、肝臓、胆道、膵臓、腎臓、泌尿器(精巣、卵巣、尿管、膀胱、尿道、膣)などあらゆる病気の外科治療を行います。また外傷(交通事故、転落など)、悪性の病気(神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫、横紋筋肉腫など)も治療の対象です。

このように幅広い年齢、臓器、病気の治療を行い、かつ緊急手術にも的確に対応する必要があるため、一人前の小児外科医になるには、長い修練が必要であり、豊富な経験が要求されます。現在、全国の小児外科専門医は334人、指導医は284人、小児泌尿器科認定医は180人、周産期・新生児認定外科医は122人、小児がん認定外科医は110人しかいません。また、「小児外科」を標榜して夜間や休日の緊急手術に対応できる病院は、大阪府内に数施設しかありません。こどもの泌尿器科疾患の検査や治療ができる病院はさらに少なく、非常に限られています。

当科の紹介

我々のモットーは、「こどもと家族が笑顔で帰っていただける医療」を提供することです。当科の小児外科医は、外科専門医・指導医、小児外科専門医・指導医、周産期・新生児認定外科医を取得しており、日常的な病気から、新生児の病気(食道閉鎖、腸閉鎖症、横隔膜ヘルニア、鎖肛、臍帯ヘルニアなど)、泌尿器科疾患(水腎症、膀胱尿管逆流症、包茎、停留精巣など)、緊急疾患(虫垂炎、消化管穿孔、精巣捻転症、外傷など)、悪性腫瘍まで診断と治療が可能です。

外来では日常よく見る病気である、だっちょう(脱腸:鼠径ヘルニア)、でべそ(臍ヘルニア)をはじめ、便秘、切痔(裂肛)、包茎についてご家族の不安を取り除くよう丁寧に説明しています。鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、臍ヘルニア、停留精巣などは1泊2日入院で手術を行っています。また手術だけではなく、臍ヘルニアには圧迫療法、包茎にはストレッチ療法、胸が陥凹している漏斗胸には吸引療法を取り入れ、手術をせずに良くなる方法も提供しています。

近年、こどもにも腹腔鏡や胸腔鏡を使った手術が取り入れられてきました。これら鏡視下手術は傷が小さく、術後の痛みもすくないため「低侵襲手術」と呼ばれています。当科では鼠径ヘルニアや虫垂炎をはじめ、腹腔内停留精巣、腹部腫瘤、漏斗胸手術などひろく鏡視下手術を取り入れています。

【腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(LPEC)】

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【腹腔鏡下虫垂切除術】

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当院では、心身に障害を持つこどもに専門の医療・療育サービスを提供する、大手前整肢学園を併設しています。脳性麻痺などの重い身体障害を持つ患者さんでは、食事が飲み込めない方や嘔吐が続くため、栄養障害や誤嚥性肺炎、さらには逆流性食道炎による吐血に悩まされている方も多くおられます。このような症状の患者さんに、胃食道造影検査や24時間食道pHモニター検査を行い、胃食道逆流症の有無を診断しています。そして重症度に応じて、胃瘻造設術や噴門形成術(逆流防止手術)、気管切開術、喉頭気管分離術を行います。

また尿路感染を繰り返すこどもでは、超音波検査や膀胱造影検査で膀胱尿管逆流症や水腎症の診断を行い、膀胱尿管新吻合術や、膀胱鏡下デフラックス注入療法、腎盂尿管形成術を行います。

【膀胱尿管逆流症に対する膀胱鏡下注入療法】
尿路感染のたびに発熱を繰り返している5歳のこどもに排尿時膀胱造影検査を行ったところ、膀胱から尿管、腎臓へ造影剤が逆流していました(図1)。シンチグラム検査で腎臓は白黒不均一に写り、すでに腎臓に障害が起こっていることがわかります(図2)。膀胱鏡下注入療法ではお腹を切らないため、傷跡は残らず、短期間で退院できます。

グラフィックス2.jpg(図1) グラフィックス3.jpg(図2)


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これまでに当科で行った手術の15%は、緊急手術です。重篤な病気や緊急疾患では小児科、新生児・未熟児科と連携し、「病気のこどもの最後の砦」となるよう「断らない小児科・小児外科・小児泌尿器科」を実践しています。小児外科医が超音波検査や造影検査などの画像検査を担当して迅速かつ正確な診断を心掛け、緊急の患者さんを365日、24時間受け入れています

学会施設認定:日本小児外科学会認定施設、日本小児血液・がん学会専門医研修施設
施設会員:日本小児外科内視鏡外科・手術手技研究会、日本胆道閉鎖症研究会、日本直腸肛門奇形研究会

対象疾患

  • 頭頸部 : 耳前瘻孔、副耳、舌小帯短縮症、正中頸嚢胞、側頸瘻、梨状窩瘻、リンパ管腫、血管腫
  • 胸部 : 漏斗胸、嚢胞性肺疾患、肺分画症、気管・気管支軟化症、横隔膜ヘルニア
  • 消化管 : 異物誤嚥、胃食道逆流症、先天性食道閉鎖症、先天性食道狭窄症、食道アカラシア、食道裂孔ヘルニア、胃潰瘍、肥厚性幽門狭窄症、胃軸捻転、消化管穿孔、腸閉鎖症、腸回転異常症、腸重積症、メッケル憩室、腸管重複症、腸閉塞、ヒルシュスプルング病、急性虫垂炎、壊死性腸炎、胎便性腹膜炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、腸管ポリープ
  • 肝胆膵 : 胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症、胆石症、門脈圧亢進症、膵炎、膵嚢胞
  • 直腸・肛門 : 直腸肛門奇形(鎖肛)、肛門周囲膿瘍・乳児痔瘻、裂肛、便秘、脱肛
  • 泌尿生殖器 : 停留精巣(停留睾丸)、精巣捻転症、水腎・水尿管症、膀胱尿管逆流症、腎嚢胞、重複腎盂尿管、尿道下裂、包茎、卵巣嚢腫、陰唇癒合、膣閉鎖
  • 腹壁・体表 : 臍ヘルニア、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、臍炎・臍肉芽腫、鼠径ヘルニア、陰嚢水腫・精索水腫・ヌック水腫、白線ヘルニア
  • 腫瘍 : 神経芽腫、ウイルムス腫瘍、肝芽腫、胚細胞腫瘍(奇形腫)、横紋筋肉腫など

診療実績

令和2年度

  • 入院
延患者数 新入院患者数 1日平均患者数 平均在院日数
612人 172人 1.7人 3.0日

  • 外来
延患者数 新外来患者数 1日平均患者数
1,873人 345人 7.7人

(1) 手術総数(2005年-2021年:17年) 3,901例
    緊急手術:591例、新生児手術:90例

(2) 手術件数の年次推移

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(3)腹腔鏡・胸腔鏡手術、内視鏡手術・検査(2017年-2021年:5年)
   572例(全手術の約55%)

その他手術:横隔膜ヘルニア修復術、食道閉鎖根治術、食道狭窄症手術、十二指腸閉鎖症手術、新生児消化管穿孔手術、腸回転異常症手術、噴門形成術、胃瘻造設術、幽門筋切開術、メッケル憩室切除術、臍腸管切除術、腸軸捻転症手術、重複腸管切除術、腸管膜リンパ管腫切除術、観血的腸重積整復術、直腸脱手術、痔瘻根治術、高位・中間位・低位鎖肛根治術、ヒルシュスプルング病根治術、副腎・後腹膜神経芽腫摘出術、仙尾部奇形腫摘出術、卵巣奇形腫切除術、胆道拡張症手術(肝管空腸吻合術)、胆道閉鎖症手術(肝門部空腸吻合術:葛西手術)、脾臓摘出術、内視鏡的消化管異物摘出術、内視鏡的大腸ポリープ切除術、胸腔鏡下漏斗胸手術(Nuss法)、副乳切除術、耳前瘻孔切除術、甲状舌管嚢腫摘出術、側頚瘻切除術、舌下腺嚢胞切除術、舌小帯切離術、上唇小帯切離術、水腎症根治術、尿道形成術(尿道下裂手術)、外尿道口嚢腫切除術、尿膜管切除術、膣形成術、尿管ステント留置術、リンパ管腫硬化療法、中心静脈カテーテル挿入術

お知らせ

地域の医療機関の先生方へ

  • 令和3年度  
    紹介率 95.9% / 逆紹介率 89.4%

大阪赤十字病院は創立100年を越え、昔からこどもの外科治療を行ってきましたが、「小児外科」の診療科が標榜されて17年が経ちました。これからも地域の小児医療に根付くように、「断らない小児外科・小児泌尿器科」を目指してまいります。時間内、時間外、夜間、休日を問わず、ご紹介をお待ちしております。日常よくみる疾患から緊急疾患、さらに画像診断に至るまで、皆様の信頼を得られるように努力いたします。鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、停留精巣、便秘から急性腹症、急性陰嚢症、新生児までお気軽にご相談ください

ご紹介いただく方法

(1)初診診察予約:地域医療連携室(TEL: 06-6774-5127、FAX: 06-6774-5126)を通して予約をお願いいたします。

(2)緊急患者など当日の診察依頼
①平日9~17時:代表番号(06-6774-5111)から小児外科医をご指名ください。
②時間外(平日17~翌朝9時)および休日の診察依頼:代表番号(06-6774-5111)から、小児科救急担当医をご指名ください。

診察希望のご家族の方へ

こどもさんが「脱腸(だっちょう)じゃないか」、「睾丸が触れない」、「でべそが気になる」、「おちんちんの皮が剥けない」など小児外科の病気が疑われる場合は、かかりつけの先生を通じて地域医療連携室から診察予約をお取りください。

激しい腹痛、嘔吐など緊急の外科疾患が疑われる場合は、救命救急センターで緊急対応いたします

小児外科に興味がある医学部生、研修医の方へ

小児外科に興味があり、将来、小児外科医になりたい学生の方は、髙田斉人(naritaka19691118@gmail.com)までご連絡ください。
(病気に関するお問い合わせにはお応えできません。悪しからずご了承ください)

学会発表・論文等

学会発表

論文発表

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