整形外科/スポーツ整形外科
Department of Orthopedics and Sports Medicine
科の特色・紹介
- 整形外科
整形外科は、四肢と脊椎の骨、関節、筋肉、神経などの病気やけがによる損傷を治療する科です。整形外科で扱う病気は加齢によって起こる変性疾患(変形性脊椎症、変形性関節症など)、スポーツや事故による外傷疾患(骨折、腱断裂、半月板断裂など)、透析や糖尿病などに伴う感染性疾患(壊疽、化膿性脊椎炎、化膿性関節炎など)、骨・軟部腫瘍や転移性腫瘍による疾患、小児の先天性疾患、成長に伴い発生する疾患等多岐にわたります。近年では高齢者が著しく増加し、骨粗鬆症を含め運動器疾患の治療は、社会的にも重要性を増しております。
当院は急性期病院であることから、当科では保存的治療で改善しない患者さんに対して、手術を行うことを主として診療に当たっています。特徴としては、大学病院同様、欧米で普及している専門制度を採用し、各専門医が治療を行っています。当科の医師は、京都大学整形外科の伝統により、最低6年間は整形外科全般の診療に携わった後、専門性を掲げたオールラウンドプレーヤーの医師集団なので、専門分野以外の広い知識を兼ね備えた診断・治療が行われています。現在、脊椎、スポーツ整形、関節、外傷の各専門医が常勤医として在籍しており、小児においては、当院附属大手前整肢学園の小児整形外科専門医との協力体制で治療しています。非専門分野の高度な疾患については、京都大学系列のみならず、地域の専門病院を紹介することで、より良い医療を受けられるよう連携しています。また、急性期を過ぎて慢性化した患者さんは、治療を周辺のリハビリ専門病院にお願いしたり、逆に当院で専門的治療が必要とされる患者さんは、積極的に受け入れ地域医療連携に力を入れています。
- スポーツ整形外科(担当医:富 友宏ステファン、渡邉 沙織、中村 賢司)
2019年8月より、当院におきまして「スポーツ整形外科」を開設することになりました。これは、近年、老若男女を問わずスポーツに取り組む人々が増加しており、多様化するスポーツによる外傷・障害の治療や予防に対する専門的な医療のニーズの高まりに答えるためです。
当院ではこれまでも整形外科の中でスポーツ外来という専門外来を行ってきており、様々なスポーツ外傷・障害に対して肩・膝関節を中心に多数の関節鏡手術を行ってきました。今回の「スポーツ整形外科」の開設を契機に、より一層、専門的な低侵襲手術治療や予防のスポーツ整形外科診療を充実させていきます。
当院は臨床研修指定病院であるため、当院に救急搬送、外来受診された患者さんについては研修医と共に、専門医の資格をもった医師が責任を持って治療を行います。
対象疾患
脊椎外科(指導医:坂本 武志、堤 良祐、中嶋 崇貴、姜 顯炅
- 頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎後縦靭帯骨化症、上位頚椎疾患(環軸関節亜脱臼、歯突起骨、C1/2関節症、環軸椎回旋位固定など)
- 胸椎後縦靭帯骨化症、胸椎黄色靱帯骨化症、胸椎椎間板ヘルニア
- 腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎変性側弯症、腰椎辷り症、腰椎不安定症
- 骨粗鬆症性脊椎骨折、骨折後偽関節
- 成人脊柱変形、特発性側弯症
- 脊髄腫瘍(髄外腫瘍に限る)
- その他脊椎外傷、感染症(化膿性脊椎炎、脊椎カリエス)
→脊椎内視鏡手術や脊髄髄内腫瘍手術以外、頚椎から骨盤まで低侵襲前方固定法OLIF (Oblique Lateral Interbody Fusion、オーリフ)を含めた固定術および除圧術などあらゆる脊椎脊髄手術を施行
関節鏡・肩・スポーツ整形外科(指導医:富 友宏ステファン、渡邉 沙織、中村 憲司)
- 肩腱板断裂、反復性肩関節脱臼・亜脱臼、肩関節拘縮、変形性肩関節症・腱板断裂性肩関節症
→鏡視下腱板修復術、鏡視下バンカート修復術、鏡視下上方関節唇・靭帯修復術、鏡視下肩関節授動術(関節包切離術)鏡視下上方関節包再建術(大腿筋膜移植術)、人工骨頭置換術・人工肩関節置換術(リバースショルダーを含む) - 膝半月板損傷、膝前・後十字靱帯断裂、外傷性軟骨欠損症、離断性骨軟骨炎
→鏡視下半月板切除術、鏡視下半月板縫合術、鏡視下前・後十字靭帯再建術、鏡視下滑膜切除術、鏡視下関節内遊離体摘出術、鏡視下ドリリング、モザイクプラスティ、自家培養軟骨移植 - 股関節唇損傷、股関節インピンジメント(FAI)
→股関節鏡手術
股関節(指導医:末吉 達也)
- 変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ
→人工股関節置換術(THA) - 人工股関節のゆるみ、人工関節周囲感染、人工関節周囲骨折、人工股関節の反復性脱臼
→人工股関節再置換術 - 臼蓋形成不全、大腿骨頭壊死
→骨温存手術 - 変形性膝関節症、関節リウマチ
→人工膝関節置換術(TKA)
膝関節症(指導医:渡邊 慶)
- 変形性膝関節症、関節リウマチ
→人工膝関節置換術(TKA)
外傷一般
- 大腿骨頚部骨折をはじめ四肢の脱臼・骨折
神経電気生理検査
- 手根管症候群、肘部管症候群などの末梢神経障害
小児整形外科(指導医:豊島 映里(大手前整肢学園所属))
2018年4月から小児整形外科外来を開始させていただくことになりました。小児整形外科疾患の診断から治療(保存治療・手術治療)まで、お子様、御家族に寄り添った適切な治療を提供できるように努めて参ります。
診療実績
令和4年度
- 入院
延患者数 新入院患者数 1日平均患者数 平均在院日数 18,209人 1,182人 49.9人 14.4日
- 外来
延患者数 新外来患者数 1日平均患者数 20,171人 1,883人 83.0人
- 治療実績・手術実績
脊椎手術 | 248件 |
頸椎手術 | 56件 |
胸腰椎手術 | 190件 |
関節鏡視下手術 | 276件 |
肩関節鏡視下手術 | 145件 |
膝関節鏡視下手術 鏡視下半月板切除術および鏡視下半月板縫合術 鏡視下前・後十字靭帯再建術 |
131件 73件 38件 |
股関節鏡視下手術 | 0件 |
人工股関節置換術 | 104件 |
人工骨頭置換術 | 49件 |
人工膝関節置換術 | 80件 |
外傷手術(骨折など) | 265件 |
末梢神経手術 (毛根管症候群の鏡視下毛根管解放術含む) |
14件 |
お知らせ
専門外来のご案内
脊椎外来 | 坂本 部長 | (月)・(水) |
堤 副部長 | (月) | |
中嶋 医師 | (月) | |
姜 医師 | (木) | |
人工膝関節外来 | 渡邊 副部長 | (木) |
小児整形外科 | 豊島 医師 | 隔週(火)午後 (第2・4週) |
スポーツ・肩外来 | 鈴木 副部長 | (火)・(木) |
スポーツ・膝外来 | 富 副部長 | (金) |
股関節外来 | 末吉 医長 | (水)午後・(木) |
手の外科外来 | 福田 医長 | (火) |
骨粗鬆症 | 堤 副部長 | (金) |
※すべて予約制
当科を受診される患者さんへ
患者さんには、かかりつけ医師の紹介状およびX 線写真などの画像を持参して、受診していただくようお願いいたします。 当科では、主として手術的治療が必要な方々を対象に診療しています。薬物療法やリハビリテーションが必要な方は、地元の医療機関で行っていただき、時々経過を診させていただきます。 初診の受付は、午前 11時30分までですが、緊急を要する患者さんには、かかりつけ医を通してお電話をいただければ、当番医が対応させていただきます。
整形外科の「完全紹介制」の開始について
当院整形外科においては、地域の中核病院としての役割を積極的に担いつつ、より専門的で質の高い医療を提供することを目指しています。
この度、これまで以上に地域医療機関との連携を推進していくため、2018年4月1日より外来診療においては原則として他の医療機関からの紹介状または予約が必要となります。初診時は、かかりつけ医や前医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をお持ちくださいますようお願いいたします。紹介状なしで初診受付をすることができませんのでご了承ください。なお、再診予約のある患者さんの緊急受診の場合はこの限りではありません。
注:初診とは、初めて当科を受診された方だけではなく、過去に受診された方であっても当時の疾病が治癒・寛解・終診していたり、自己の都合で中断した後に再度受診した場合は初診として取り扱うこととなっています(当科で継続受診している間に、他の疾病で受診する場合は初診とはなりません)。
地域の医療機関の先生方へ
- 令和4年度
紹介率 94.8% / 逆紹介率 179.0%
当科では脊椎外科、スポーツ整形外科、関節外科を中心に関西地区でトップレベルの診療を維持するべく努力して参りました。また、2018年4月より小児整形外科専門医・豊島医師が新たに加わり、小児整形外科が戦力アップしました。各専門医が問診に時間を掛け、的確な診断を下し、高度な手術的治療を行うことで、地域の皆様に信頼される整形外科を今後も目指します。
初診患者さんの受付は午前11時30分までとなっていますが、緊急を要する患者さんの場合は、地域医療連携室までご連絡ください。特に小児の骨折においては、全ての症例で緊急対応させていただきます。