各がんの解説EXPLANATION

慢性リンパ性白血病

  

慢性リンパ性白血病について

慢性リンパ性白血病は、免疫に関わる血液の細胞の一つであるBリンパ球が異常に増える病気です。原因は不明で、50歳以上の方に多く、欧米では白血病全体の20−30%を占めますが日本では1−2%です。多くの場合病気の進行は遅く、発症してもしばらくの間は症状が出ず、検診などの血液検査で異常を指摘されて初めてわかることがあります。病気が進行するにつれて体の怠さや食欲不振、体重減少、発熱、リンパ節腫脹、貧血、出血傾向などを伴ってきます。

慢性リンパ性白血病の診断について

血液検査ではリンパ球数が5,000/μl以上の状態が3ヶ月以上続き、増加しているリンパ球は小型で細胞質の乏しい円形~類円形の核を持つ成熟リンパ球で、Bリンパ球の表面マーカーであるCD19,20,23とともにCD5が陽性となることが特徴とされています。骨髄検査でもこれらの特徴が認められ、マントル細胞リンパ腫や有毛細胞白血病といった類縁疾患が除外された場合に診断に至ります。リンパ節腫張や肝脾腫の評価のためCTなどの画像検査も行われます。病期分類にはリンパ節腫張、肝脾腫の有無や貧血、血小板減少の程度を組み合わせて分類した改訂Rai分類やBinet分類が用いられます。

慢性リンパ性白血病の治療について

慢性リンパ性白血病は化学療法で治癒を得ることが困難で、癌化したB細胞を減らし病状をコントロールし病気と仲良く付き合っていくことが目標になります。症状の乏しい病初期に治療を開始することの有用性は示されていないため病初期はまず経過観察を行います。
治療開始のタイミングは、症状が出てきたり、病気の進行が速くなってきた場合になります。具体的には①著明な体重減少、倦怠感、盗汗や発熱などを来した時 ②重症の貧血や血小板減少を併発した時 ③2ヶ月で50%を超える速度でリンパ球数が増加する時 などに治療開始を考慮します。抗がん剤を用いた化学治療になり、FCR療法(フルダラビン、シクロフォスファミド、リツキシマブを併用)が標準治療とされています。しかし毒性も強いため、合併症や年齢を考慮して治療強度を弱めたBR療法(ベンダムスチン、リツキシマブ)が行われることが多くなっています。その他フルダラビン単独療法やFC療法(フルダラビン、シクロフォスファミドを併用)、新規薬剤を選択する場合もあります。 造血幹細胞移植治療は治癒が望める可能性がありますが、体へ負担が大きいリスクの高い治療であり、予後不良の特徴である染色体17p欠失やTP53異常(変異と欠失)を認める患者さんやフルダラビンが効かない患者さん、あるいは治療後1年以内に再発した患者さんなど限られた状況でのみ、その実施が考慮されます。
新規薬剤はここ数年で次々と出てきており、以前に比べ治療の選択肢が広がりつつあり、各種新規薬剤の使用のタイミングなど含めより効果的な治療戦略の確立が待たれます。
<慢性リンパ性白血病に用いられる新規薬剤> ※( )内は製品名
イブルチニブ(イムブルビカ):ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害薬
ベネトクラクス(ベネクレクスタ):アポトーシス抑制蛋白質であるB細胞性リンパ腫−2 (BCL-2)の阻害薬
アカラブルチニブ(カルケンス):ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK )の阻害薬
オファツムマブ(アーゼラ):CD20を標的とする分子標的薬
アレムツズマブ(マブキャンパス): CD52を標的とする分子標的薬
イブルチニブは初発時から選択可能ですが、ベネトクラクス、アカラブルチニブ、オファツムマブ、アレムツズマブはいずれも再発難治性の場合に検討されています。