各がんの解説EXPLANATION

慢性骨髄性白血病

            

慢性骨髄性白血病について

慢性骨髄性白血病は、血液細胞を作るおおもとの細胞である造血幹細胞に異常が起こり、がん化した血液細胞が増殖する疾患です。この病気の原因は、9番染色体と22番染色体の一部が入れ替わる(転座)ことによってフィラデルフィア染色体が発生し、その結果、bcr-abl融合遺伝子という異常な遺伝子が形成されることです。この融合遺伝子からbcr-abl蛋白と呼ばれるタンパク質が産生され、血液細胞が過剰に増殖します。慢性骨髄性白血病は、血液がんの中ではゆっくり進行するもので、発症から3~5年間は、ほとんど症状のない状態が続きます。この時期を慢性期と呼びます。その後、移行期を経て急性転化期に進行します。急性転化期には、急性白血病に類似した状態になります。移行期~急性転化期には血液検査の異常に加えて全身倦怠感や発熱、腹部膨満感といった全身症状が出現します。慢性骨髄性白血病の年間発症率は10万人あたり1~1.6人であり、発症年齢の中央値は55歳です。

慢性骨髄性白血病の診断について

慢性骨髄性白血病では、血液検査で白血球が増加しています。未熟な白血球から成熟した白血球まで偏りなく増えていることが特徴です。骨髄検査を実施して、フィラデルフィア染色体あるいはbcr-abl融合遺伝子が存在すれば診断が確定します。

慢性骨髄性白血病の治療について

慢性骨髄性白血病の治療の中心は分子標的薬です。bcr-abl蛋白を特異的に阻害する分子標的薬を用いて、病気の進行を抑えることが重要です。イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブといった分子標的薬を用いて治療を行います。薬剤によって内服の方法、副作用の種類が異なりますので、個々の患者さんに合わせて最適な薬剤を選択します。治療効果が十分でない場合は、上記の薬剤の中で別のものに変更したり、ポナチニブといった新しい薬剤に変更したりします。分子標的薬は、毎日確実に内服を続けることが重要です。分子標的薬に抵抗性の場合や、移行期・急性転化期の場合は、同種造血幹細胞移植による治療をご提案する場合もあります。