病院実績のご案内
Hospital Performance
QI(Quality Indicator:臨床評価指標)とは、病院の様々な機能や診療行為に関する情報を数値化したものです。これらの数値を継続的に評価・分析し改善等を行うことで、医療の質の向上に努めていきます。
令和5年度 病院情報の公表
当院では、診療内容の透明化を目的とし、DPCデータから全国統一の定義と形式に基づいた指標を作成し、情報公開を進めています。DPC対象外となる精神神経科、歯科口腔外科、緩和ケア科につきましては、当院のデータベースを基にICDコード別に集計を行っています。
※DPC(Diagnosis Procedure Combination)…傷病名と治療内容を組み合わせた14ケタの診断群分類
※ICD (International Statistical Classification of Diseases)…世界保健機関が定めた国際疾病分類(疾病、外傷の分類)
※個人情報が特定できないようにするために、患者数が10未満の場合は‐(ハイフン)を表示しています。
病院指標
医療の質指標
病院指標
年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0~ | 10~ | 20~ | 30~ | 40~ | 50~ | 60~ | 70~ | 80~ | 90~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | 2,038人 | 480人 | 522人 | 713人 | 1,129人 | 2,114人 | 3,063人 | 5,590人 | 3,732人 | 490人 |
大阪赤十字病院は、赤ちゃんから90歳以上の高齢者までの幅広い年齢層の患者さんにご利用いただいています。集計対象の退院患者数は年間19,871人で、10歳未満が2,038人(全体の約10%)、60歳以上が人(全体の約65%)です。当院は、救命救急センター、地域支援病院、肝炎専門医療機関、非血縁者間骨髄採取・移植認定施設、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、大阪府アレルギー疾患医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院、大阪府難病診療連携拠点病院、小児がん連携病院、大阪府外国人患者受入れ地域拠点医療機関等の、各種法律等に基づく医療制度指定・承認病院です。疾患構成としては、10歳未満は小児科疾患、20~30歳代は産婦人科疾患、40歳~各科疾患、60歳~各臓器のがん疾患が多く見られます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
リウマチ・膠原病内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
070560xx99x00x | 全身性エリテマトーデスや多発性筋炎などで治療をおこなうもの | 118人 | 11.96日 | 14.23日 | 10.17% | 65.36歳 | |
070470xx99x0xx | 関節リウマチで治療をおこなうもの | 23人 | 12.83日 | 15.40日 | 4.35% | 72.65歳 | |
070560xx97xxxx | 全身性エリテマトーデスや多発性筋炎などで手術をおこなうもの | ─ | ─ | 34.37日 | ─ | ─ | |
110310xx99xxxx | 急性腎盂腎炎や尿路感染症などで治療をおこなうもの | ─ | ─ | 13.52日 | ─ | ─ | |
070560xx99x01x | 真菌感染症を伴う全身性エリテマトーデスや多発性筋炎などで治療をおこなうもの | ─ | ─ | 23.30日 | ─ | ─ |
膠原病性疾患で最も患者数が多いのは関節リウマチですが、近年、その治療は主に外来での薬物投与となっています。治療のために入院を必要とする関節リウマチ患者さんは、特に当院ではほとんどいません。一方、関節リウマチ以外の膠原病患者さんについては、内臓の障害(腎臓、肺、心臓、神経など)について重症度を評価し、それにあわせて副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の調整をするために入院していただいています。また、膠原病治療の合併症として入院加療が必要な感染症を発症される患者さんが一定数おられます。
腎臓内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110280xx9900xx | 慢性腎不全などで治療(教育入院を含む)をおこなうもの | 66人 | 6.30日 | 11.49日 | 6.06% | 71.06歳 | |
110280xx02x00x | 慢性腎不全などでシャント造設術等をおこなうもの | 59人 | 4.29日 | 7.57日 | 1.69% | 70.10歳 | |
110280xx9901xx | 慢性腎不全などで人工透析の導入等をおこなうもの | 32人 | 10.84日 | 13.81日 | 3.13% | 69.44歳 | |
110280xx991xxx | 慢性腎不全などで経皮的腎生検法をおこなうもの | 25人 | 5.36日 | 6.44日 | 0.00% | 42.12歳 | |
110290xx99x0xx | 急性腎不全などで治療をおこなうもの | 21人 | 12.81日 | 14.36日 | 23.81% | 76.33歳 |
当科は慢性腎臓病(CKD)の早期診断・早期治療を行い、透析を予防することを目標に活動しています。検診で血尿やタンパク尿が見つかった場合は、無症状でも原因を調べて適切な治療を受けることが大切です。慢性腎臓病の原因には糖尿病や高血圧が多いですが、原因がわからない場合は、腎生検という精密検査をお勧めする場合があります。慢性腎臓病は日頃の療養が重要な病気です。当院では、CKD検査教育入院という短期入院プログラムで、療養の仕方を学んでいただいています。また、腎機能低下が進行し透析が必要になる患者さんに、血液透析導入のためのシャント作成の手術や腹膜透析の準備の手術をする入院も短期間で行っています。それ以外にも、高度のタンパク尿や浮腫がみられるネフローゼ症候群の診断と治療や、いろいろな原因で急に腎機能が悪化する急性腎不全の救急対応も行っています。
血液内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
130030xx99x9xx | 非ホジキンリンパ腫で化学療法(アドセトリス)をおこなうもの | 122人 | 12.23日 | 12.88日 | 5.74% | 73.40歳 | |
130030xx99x4xx | 非ホジキンリンパ腫で化学療法(リツキシマブ)をおこなうもの | 92人 | 9.89日 | 9.62日 | 2.17% | 73.45歳 | |
130010xx97x2xx | 急性白血病で化学療法や輸血等をおこなうもの | 44人 | 28.77日 | 36.15日 | 2.27% | 48.68歳 | |
130030xx99x5xx | 非ホジキンリンパ腫で化学療法(リツキシマブ+フィルグラスチム)をおこなうもの | 33人 | 19.70日 | 19.61日 | 9.09% | 62.15歳 | |
130030xx99x6xx | 非ホジキンリンパ腫で化学療法(ベルケイド)をおこなうもの | 25人 | 12.52日 | 13.10日 | 0.00% | 70.00歳 |
当科では急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などいずれの血液腫瘍の治療も行なっています。急性白血病では高齢者や強力な化学療法が難しい場合には治療強度を下げたベネトクラクス、アザシチジンによる化学療法や輸血などによる保存的治療を施行しています。悪性リンパ腫では、治療効果を上げるためリツキシマブ、ポライビー、アドセトリスなどの抗体薬の併用も検討します。その他、これら造血器腫瘍に対して、適応がある症例では放射線治療、造血幹細胞移植なども積極的に行っています。また悪性リンパ腫、多発性骨髄腫では、適応がある場合は新規の治療であるCAR-T療法も検討します。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
10007xxxxxx1xx | 2型糖尿病でインスリン注射による治療(教育入院を含む)をおこなうもの | 213人 | 12.28日 | 13.99日 | 1.88% | 67.24歳 | |
10007xxxxxx0xx | 2型糖尿病で投薬や食事療法等の教育入院をおこなうもの | 42人 | 9.21日 | 10.66日 | 0.00% | 65.69歳 | |
10006xxxxxx1xx | 1型糖尿病でインスリン注射による治療(教育入院を含む)をおこなうもの | 21人 | 11.86日 | 13.31日 | 4.76% | 55.19歳 | |
100040xxxxx00x | 糖尿病性ケトアシドーシスで治療をおこなうもの | 19人 | 10.95日 | 13.15日 | 0.00% | 55.42歳 | |
100210xxxxxxxx | 低血糖症で治療をおこなうもの | 16人 | 4.13日 | 6.80日 | 0.00% | 61.69歳 |
当科の入院症例で1番多いのは2型糖尿病で、年間合計約300例となっており、科全体の入院症例の約3分の2を占めています。糖尿病では、その他に膵疾患による糖尿病やステロイド糖尿病、1型糖尿病など様々な原因の糖尿病患者さんの治療を行っております。糖尿病教育入院では、糖尿病教室や個別指導により糖尿病についての理解を深めていただき、各種検査に基づいて患者さんの状態に最も適した治療法を選択します。また、高血糖や低血糖などの糖尿病に起因する緊急の状態については、救急外来で対応し、その後入院が必要となる患者さんもおられます。データに示されていませんが、内分泌疾患についても下垂体・副腎・甲状腺などの腫瘍や機能亢進症、機能低下症など以前より多くの内分泌疾患についての診断、治療実績を有しています。
消化器内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060100xx01xxxx | 大腸ポリープなどで手術をおこなうもの | 417人 | 2.16日 | 2.61日 | 0.00% | 69.37歳 | |
060340xx03x00x | 胆管結石や胆管炎などで内視鏡的胆道結石除去術等をおこなうもの | 195人 | 6.75日 | 8.75日 | 2.05% | 75.66歳 | |
060020xx04xxxx | 胃がんで内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術をおこなうもの | 134人 | 6.48日 | 7.61日 | 0.00% | 74.64歳 | |
060050xx97x0xx | 肝がんや肝内胆管がんで血管塞栓術(選択的動脈化学塞栓術)等をおこなうもの | 109人 | 9.97日 | 10.24日 | 0.92% | 75.23歳 | |
060035xx04xxxx | 大腸がんで早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術をおこなうもの | 63人 | 5.92日 | 6.45日 | 1.59% | 71.14歳 |
本邦は人口の高齢化に伴い、がんが増加の一途をたどっています。その中でも、消化器領域のがんが多くを占めていることから、当科では、肝がん、胃がん、大腸がん、膵がん、食道がん、胆管がんをはじめとする消化器がんの診断と治療に力を注いでいます。特に、内視鏡を用いた胃がんや大腸がんの早期発見にも力を注いでおり、進行する前の早期に大腸ポリープや胃がんを診断し、身体的に負担の少ない内視鏡的な切除を精力的に行っています。また、胆石や胆管結石が原因となり胆管がつまったり、胆管に感染をおこした場合には、内視鏡を用いたドレナージ治療や結石除去を実施しています。肝がんに対しては、ラジオ波凝固療法や血管カテーテル治療を積極的に行い、外科や放射線科とも緊密な連携をしながら肝がんの集学的治療に取り組んでいます。
循環器内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050130xx9900x0 | 心不全で治療をおこなうもの | 132人 | 15.82日 | 17.38日 | 9.85% | 80.17歳 | |
050070xx01x0xx | 頻脈性不整脈で経皮的カテーテル心筋焼灼術をおこなうもの | 130人 | 3.09日 | 4.57日 | 0.00% | 67.44歳 | |
050050xx0200xx | 狭心症などで経皮的冠動脈ステント留置術等のカテーテル手術をおこなうもの | 128人 | 4.28日 | 4.26日 | 0.00% | 71.00歳 | |
050050xx9910x0 | 狭心症などで心臓カテーテル法による検査をおこなうもの | 83人 | 3.33日 | 3.05日 | 0.00% | 71.64歳 | |
050170xx03000x | 下肢閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢などで四肢の血管拡張術・血栓除去術等をおこなうもの | 78人 | 3.97日 | 5.21日 | 1.28% | 73.14歳 |
心不全入院患者数は年々増加傾向にあり、患者さんの高齢化も顕著です。当院は最先端かつ、個々の病態や生活環境、ADLに合わせた柔軟な医療の提供を目指しております。狭心症などの虚血性心疾患に関する検査や治療は、FFR-CT等の最新、かつ、より低襲性なモダリティを用いることで、患者さんの利益にならないような不必要な検査・治療を行わず、必要な患者さんに必要な医療を提供することを心がけております。頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術は、3次元マッピングなどの装置を使用し、個々の患者さんに合わせた最適な治療を提供しています。下肢閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢の診療に対しては、新たに創傷・足病ケアセンターを立ち上げ、形成外科、皮膚科、認定看護師、退院支援看護師、理学療法士、栄養指導士からなる多職種チームを中心に集学的医療を実践しております。
脳神経内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010230xx99x00x | てんかんで治療をおこなうもの | 41人 | 11.20日 | 7.19日 | 14.63% | 52.93歳 | |
010060x2990401 | 脳梗塞で投薬(エダラボン)をおこなうもの | 34人 | 14.56日 | 15.70日 | 23.53% | 70.71歳 | |
010110xxxxx4xx | ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎などでガンマグロブリン投与をおこなうもの | 25人 | 21.76日 | 16.97日 | 36.00% | 57.20歳 | |
010060x2990201 | 脳梗塞でリハビリテーションをおこなうもの | 24人 | 14.08日 | 15.57日 | 25.00% | 72.25歳 | |
010080xx99x0x1 | 代謝性脳症などで治療をおこなうもの(年齢15歳以上) | 23人 | 13.00日 | 16.56日 | 4.35% | 48.83歳 |
当科には、てんかん、脳梗塞、末梢神経障害の方が多く入院されています。てんかんは、脳波、MRIおよび脳血流や脳機能を調べるSPECT等の検査のうち、個別に必要な検査を行って診断します。発作が起こった時に救急外来を受診される可能性があるため、必要があれば緊急入院して頂き、入院治療を行っています。脳梗塞はMRIで診断し、エダラボンなどの点滴治療を行いながら、早期よりリハビリに取り組んで頂いています。ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発神経炎に関しては神経伝導検査や針筋電図で神経障害の程度を評価し、血液検査、髄液検査で疾患を鑑別して診断します。末梢神経の肥厚を確認するためMRIなどの画像検査を行うこともあります。治療はガンマグロブリン投与や血漿交換などを行います。
乳腺外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
090010xx010xxx | 乳がんで乳房全切除術等をおこなうもの | 99人 | 10.54日 | 9.88日 | 1.01% | 63.26歳 | |
090010xx02xxxx | 乳がんで乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)をおこなうもの | 87人 | 6.02日 | 5.64日 | 0.00% | 63.98歳 | |
090020xx97xxxx | 乳腺腫瘍で乳腺腫瘍摘出術等をおこなうもの | 10人 | 4.20日 | 4.00日 | 0.00% | 47.90歳 |
当科では地域がん診療連携拠点病院として乳がんの手術を多く行っています。令和5年5月に「遺伝診療部門」が発足し、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝学的検査や遺伝カウンセリングに積極的に取り組んでいます。またHBOCと診断された患者さんには乳腺や卵巣の予防切除が可能です。令和5年の手術症例数は215例でした。大規模総合病院の利点を生かし、放射線診断科/治療科、形成外科、病理診断科、産婦人科、歯科口腔外科、各内科と連携協力しながら、乳房再建やHBOCの予防切除を含む乳がん手術や周術期補助療法および再発症例の治療を行っています。乳がん術後のフォローアップ期間は最低10年間と長く、乳がん以外の疾患も含めた全人的な診療が必要ですので、地域連携パスを用いた双方向型の病診連携を導入しています。
消化器外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x001xxxx | 鼠径ヘルニアで腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術等をおこなうもの(15歳以上) | 138人 | 4.50日 | 4.55日 | 0.00% | 72.15歳 | |
060035xx010x0x | 結腸がんで腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術等をおこなうもの | 105人 | 12.75日 | 15.12日 | 0.00% | 71.30歳 | |
060330xx02xxxx | 胆のう結石症などで腹腔鏡下胆嚢摘出術等をおこなうもの | 77人 | 5.25日 | 5.98日 | 0.00% | 65.30歳 | |
060040xx0200xx | 直腸肛門(直腸S状部から肛門)のがんで腹腔鏡下直腸切除術等をおこなうもの | 67人 | 16.31日 | 14.80日 | 0.00% | 66.81歳 | |
060020xx02xxxx | 胃がんで腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍手術)等をおこなうもの | 65人 | 15.95日 | 18.01日 | 1.54% | 71.95歳 |
当科では地域がん診療連携拠点病院として、悪性腫瘍の手術を多く行っています。令和5年の悪性腫瘍切除手術数は、食道がん47例、胃がん91例、大腸がん244例、肝がん45例、膵がん46例でした。また、胆嚢摘出術は待機手術・緊急手術とも多く行っています。高齢化とともに悪性疾患・腹部救急疾患での重篤な併存疾患をもつハイリスクな症例が増えてきており、他科との連携は欠かせません。大規模総合病院の利点を生かし、麻酔科・集中治療部・循環器内科・腎臓内科などと協力して術後管理を行っています。
心臓血管外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050080xx0101xx | 心臓弁膜症で弁形成術や弁置換術等をおこなうもの(中心静脈注射等をおこなう場合) | 16人 | 22.50日 | 21.52日 | 6.25% | 66.31歳 | |
050163xx02x1xx | 腹部大動脈などで大動脈瘤切除等をおこなうもの(中心静脈注射等をおこなう場合) | 11人 | 16.27日 | 19.20日 | 0.00% | 70.36歳 | |
050161xx97x1xx | 解離性大動脈瘤で大動脈瘤切除等をおこなうもの(中心静脈注射等をおこなう場合) | ─ | ─ | 28.09日 | ─ | ─ | |
050080xx0112xx | 弁膜症(連合弁膜症を含む) 弁置換術等をおこなうもの (心臓カテーテル法による諸検査 持続緩徐式血液濾過等をおこなう場合) | ─ | ─ | 52.96日 | ─ | ─ | |
050050xx0101xx | 狭心症などで大動脈バイパス移植術等をおこなうもの (中心静脈注射等をおこなう場合) | ─ | ─ | 21.38日 | ─ | ─ |
令和5年度の症例数では、1番目及び4番目が弁膜症に対する弁置換術、弁形成術となっています。新型コロナ感染症の影響が減り、症例数は前年度と比較してやや増加していますが、高齢化や重症度が増加したため、前年度と比較して術後の平均在院日数が延長されていました。積極的な術後リハビリテーションなど取り組む課題は多いものと思われました。2番目は腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術です。扱う疾患の中では重症度が低いため、平均在院日数は最も短く、転院率も0%となっておりました。3番目は急性大動脈解離に対する緊急手術を行った症例です。解離性および非解離性を含め、動脈瘤の解剖学的な形態や患者さんの全身状態を考慮し、ステントグラフトによるカテーテル治療を選択する場合もあり、循環器内科と協同して治療を行っています。
眼科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
020110xx97xxx1 | 白内障で両眼の手術をおこなうもの | 380人 | 2.92日 | 4.46日 | 0.00% | 75.22歳 | |
020110xx97xxx0 | 白内障で片眼の手術をおこなうもの | 375人 | 2.22日 | 2.54日 | 0.00% | 74.30歳 | |
020160xx97xxx0 | 網膜剥離で片眼の手術をおこなうもの | 117人 | 6.60日 | 7.81日 | 0.00% | 58.75歳 | |
020240xx97xxx0 | 硝子体の疾患で片眼の手術をおこなうもの | 94人 | 3.93日 | 4.88日 | 0.00% | 68.43歳 | |
020290xx97xxxx | 鼻涙管閉鎖症や慢性涙のう炎などで涙嚢鼻腔吻合術や涙管チューブ挿入術等をおこなうもの | 77人 | 5.51日 | 4.48日 | 0.00% | 72.43歳 |
難症例白内障、緑内障の手術を積極的に行っています。通常の白内障については、同日両眼手術も実施しています。
緊急性の高い疾患は原則即日手術を実施しています。
涙嚢鼻腔吻合術や涙管チューブ挿入術など涙道手術を数多く行っています。
産婦人科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
120070xx02xxxx | 卵巣腫瘍などで腹腔鏡下子宮附属器腫瘍摘出術等をおこなうもの | 116人 | 5.30日 | 6.00日 | 0.00% | 47.20歳 | |
120060xx02xxxx | 子宮筋腫などで腹腔鏡下(ロボット支援下も含む)腟式子宮全摘術等をおこなうもの | 87人 | 5.32日 | 5.93日 | 0.00% | 44.22歳 | |
12002xxx02x0xx | 子宮頸部高度異形成などで子宮頸部(腟部)切除術等をおこなうもの | 82人 | 3.04日 | 2.96日 | 0.00% | 41.73歳 | |
12002xxx01x0xx | 子宮頸・体部のがんで腹腔鏡下腟式子宮全摘術等をおこなうもの | 63人 | 8.63日 | 10.10日 | 0.00% | 56.78歳 | |
12002xxx99x40x | 子宮頸、体部のがんで化学療法をおこなうもの | 59人 | 3.19日 | 4.18日 | 0.00% | 60.31歳 |
当院は、産婦人科診療一般を取り扱う中核病院であり、大阪府地域周産期母子医療センター及び地域がん診療連携拠点病院としての役割も担っています。周産期では、他科や多職種と連携したハイリスク妊娠への対応が可能であり、妊娠の初期・中期・後期のすべての期間、母児の安心安全を目指した周産期医療を提供しています。婦人科については、子宮筋腫や卵巣嚢腫といった良性疾患に対して、より低侵襲かつ安全な治療方法、ライフスタイルに応じた選択肢を用意し提案するよう心がけています。子宮がんや卵巣がんといった悪性疾患についても、ロボット支援下手術を含む低侵襲手術も選択肢に、内分泌療法やIVR、化学療法、放射線療法といった集学的治療を行える環境の中で、患者様のニーズに沿った診療を提案してまいります。
皮膚科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080010xxxx0xxx | 蜂窩織炎などで治療をおこなうもの | 45人 | 9.47日 | 12.88日 | 0.00% | 62.16歳 | |
080020xxxxxxxx | 帯状疱疹で治療をおこなうもの | 42人 | 7.64日 | 9.29日 | 0.00% | 68.40歳 | |
080006xx01x0xx | 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)で皮膚悪性腫瘍切除術等をおこなうもの | 13人 | 7.54日 | 7.22日 | 7.69% | 75.54歳 | |
080007xx010xxx | 皮膚の良性新生物で皮膚、皮下腫瘍摘出術等をおこなうもの | 10人 | 2.80日 | 3.93日 | 0.00% | 62.80歳 | |
080100xxxx0x0x | 薬疹などで治療をおこなうもの | 10人 | 8.30日 | 10.61日 | 10.00% | 53.50歳 |
うっ滞性皮膚炎や外傷から皮膚の感染を生じた蜂窩織炎が最も多く、続いてウイルス感染による疾患である帯状疱疹、悪性黒色腫や扁平上皮がんなどの悪性腫瘍の治療を目的とした入院患者さんが多くなっています。術後など、化学療法を導入する患者さんは初回導入時基本的に入院いただいております。
泌尿器科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
110080xx991xxx | 前立腺がんで前立腺針生検法をおこなうもの | 191人 | 2.07日 | 2.44日 | 0.00% | 70.45歳 | |
110070xx03x0xx | 膀胱がんで経尿道的膀胱悪性腫瘍手術をおこなうもの | 111人 | 5.77日 | 6.85日 | 0.00% | 74.43歳 | |
110200xx02xxxx | 前立腺肥大症で経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術をおこなうもの | 71人 | 7.01日 | 7.75日 | 0.00% | 71.68歳 | |
11012xxx02xx0x | 上部尿路疾患で経尿道的尿路結石除去術等をおこなうもの | 65人 | 5.45日 | 5.22日 | 0.00% | 62.17歳 | |
11001xxx01x0xx | 腎がんで腎(尿管)悪性腫瘍手術等をおこなうもの | 57人 | 8.91日 | 10.08日 | 3.51% | 66.95歳 |
当院では、地域の医療機関より多くの前立腺がん患者が紹介され、安全性の高い経会陰的前立腺生検14~20ヶ所にて診断しています。また国の地域がん診療連携拠点病院の指定のもと、多くのがんや腎がんの手術に手術支援ロボット(ダヴィンチXiを2台)を駆使して治療するとともに、前立腺肥大症や感染性尿路結石の難手術にも多くの実績を有しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
030230xxxxxxxx | 習慣性扁桃炎で治療をおこなうもの | 84人 | 7.10日 | 7.53日 | 0.00% | 25.19歳 | |
030150xx97xxxx | 耳下腺腫瘍などで手術をおこなうもの | 69人 | 6.04日 | 6.74日 | 0.00% | 57.97歳 | |
030350xxxxxxxx | 慢性副鼻腔炎で治療をおこなうもの | 66人 | 5.52日 | 6.02日 | 0.00% | 58.08歳 | |
100020xx010xxx | 甲状腺の腫瘍で甲状腺悪性腫瘍手術等をおこなうもの | 41人 | 7.10日 | 7.94日 | 0.00% | 53.02歳 | |
030440xx01xxxx | 慢性中耳炎で鼓室形成手術等をおこなうもの | 33人 | 6.27日 | 6.76日 | 0.00% | 57.97歳 |
慢性中耳炎や中耳真珠腫で耳漏(耳だれ)が出たり、耳小骨の異常で聴力が悪い場合には鼓室形成術という手術を行います。病状に応じて顕微鏡手術と内視鏡手術を組み合わせて行っています。
耳下腺の良性腫瘍は多形腺腫という腫瘍が最も多いですが、長年放置すると悪性化することがあるので手術をお勧めしています。いわゆる扁桃腺が年に数回以上腫れて高熱が出る方、あるいは扁桃腺が全身の病気の原因である場合に扁桃腺を取る手術を行います。
副鼻腔炎は、好酸球性副鼻腔炎というアレルギーによるものが増加しています。全例で内視鏡手術を行っています。頭頸部悪性腫瘍の中では甲状腺がんの手術が最も多くなっています。進行程度によって甲状腺の半分の切除で済むもの、全部を摘出したほうが良いものがあります。また首のリンパ節に転移があるものは、その範囲に応じて頸部郭清というリンパ節組織の切除も一緒に行います。
小児科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
080270xxxx1xxx | 食物アレルギーで小児食物アレルギー負荷検査をおこなうもの | 240人 | 1.03日 | 2.12日 | 0.00% | 4.17歳 | |
040090xxxxxxxx | 急性気管支炎などで治療をおこなうもの | 236人 | 5.02日 | 5.96日 | 1.27% | 1.64歳 | |
0400801199x00x | 1歳以上15歳未満の肺炎で治療をおこなうもの | 160人 | 5.44日 | 5.62日 | 2.50% | 2.90歳 | |
030270xxxxxxxx | 上気道炎で治療をおこなうもの | 98人 | 4.30日 | 4.72日 | 0.00% | 2.41歳 | |
040070xxxxx0xx | インフルエンザやウイルス性肺炎で治療をおこなうもの | 96人 | 4.67日 | 5.86日 | 0.00% | 3.88歳 |
1番目の「食物アレルギー」は、経口食物負荷試験という検査目的の入院患者が大部分です。小児科で多い症例は、2番目、3番目、5番目の急性気管支炎、肺炎などの感染症です。6番目以下は、新生児・未熟児疾患、川崎病、尿路感染症、熱性痙攣、てんかん、リウマチ、内分泌疾患、脳症・髄膜炎、虫垂炎、紫斑病、ネフローゼ、腸重積、急性白血病、糖尿病と多岐にわたっています。当院の小児科は、一般診療(感染症等)、専門診療(アレルギー・リウマチ、血液・腫瘍、神経、新生児・未熟児、代謝・内分泌疾患、腎臓、心臓等)、救急診療(24時間365日)、障がい児・者医療等の幅広い領域に対応しています。
小児外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
060160x101xxxx | 15歳未満の鼠径ヘルニアで鼠径ヘルニア手術等をおこなうもの | 62人 | 2.00日 | 2.75日 | 0.00% | 3.95歳 | |
060170xx02xx0x | 臍ヘルニアや腹壁ヘルニアなどでヘルニア手術等を行うもの | 31人 | 2.10日 | 6.86日 | 0.00% | 1.77歳 | |
140590xx97xxxx | 停留精巣で手術をおこなうもの | 17人 | 2.00日 | 2.97日 | 0.00% | 2.00歳 | |
11022xxx01xxxx | 精巣捻転症などで精巣捻転手術等をおこなうもの | 16人 | 2.06日 | 3.69日 | 0.00% | 7.69歳 | |
060150xx03xxxx | 虫垂周囲膿瘍を伴わない虫垂炎で虫垂切除術等をおこなうもの | 11人 | 4.00日 | 5.29日 | 0.00% | 10.55歳 |
当科では予定手術として、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、停留精巣の症例数が多く、入院期間は2日間です。
緊急手術では急性虫垂炎や精巣捻転症が多いです。鼠径ヘルニア、虫垂炎の手術では腹腔鏡を使った低侵襲手術(創が小さく 痛みが少ない手術)を行っています。穿孔した虫垂炎や消化管穿孔の症例に対しては緊急手術を行います。
呼吸器内科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx99200x | 肺がんで経気管肺生検法等をおこなうもの | 230人 | 2.18日 | 2.98日 | 0.00% | 72.51歳 | |
040110xxxxx0xx | 間質性肺炎で治療をおこなうもの | 120人 | 14.74日 | 18.65日 | 5.83% | 74.49歳 | |
040040xx99040x | 肺がんで化学療法をおこなうもの | 65人 | 8.25日 | 8.33日 | 1.54% | 72.80歳 | |
040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎で内服、点滴等をおこなうもの | 46人 | 16.46日 | 20.60日 | 28.26% | 80.52歳 | |
040040xx9905xx | 肺がんで化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)をおこなうもの | 45人 | 24.00日 | 18.83日 | 0.00% | 71.93歳 |
当科で対応する最も多い疾患は肺がんです。肺がん診療の進歩は著しく、新規治療薬が増えております。呼吸器外科、放射線診断科、放射線治療科、病理部、腫瘍内科、緩和ケア科や多職種医療スタッフと互いに連携しながら、速やかな診断および治療方針の決定を行います。抗がん剤や放射線治療を要する進行肺がんには、最適な治療選択のために診断時に得た組織等により遺伝子解析を行い、患者さんに説明・同意の上、治療方針を決定していきます。次いで多いのは間質性肺炎(肺が線維化し硬くなる病気)で、難治性疾患ですが、慢性に線維化が進行するタイプの間質性肺炎に対しては、抗線維化薬の適応が広がり、治療の幅が広がってきました。診断に難渋する疾患ですが、適切な治療につなげるため、呼吸器内科・放射線科診断科・病理部が話し合いを行い、治療方針を決めています。
呼吸器外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
040040xx97x00x | 肺がんで胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術をおこなうもの | 176人 | 8.73日 | 9.89日 | 0.00% | 70.10歳 | |
040200xx01x00x | 気胸で胸腔鏡下肺切除術をおこなうもの | 41人 | 8.88日 | 9.54日 | 0.00% | 34.32歳 | |
040040xx99040x | 肺がんで化学療法をおこなうもの | 34人 | 7.85日 | 8.33日 | 0.00% | 66.53歳 | |
040010xx01x0xx | 縦隔悪性腫瘍で胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術をおこなうもの | ─ | ─ | 8.84日 | ─ | ─ | |
040020xx97xxxx | 縦隔の良性腫瘍で胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術をおこなうもの | ─ | ─ | 7.58日 | ─ | ─ |
当科は大阪府下でも有数の、外科的治療を要する胸部/呼吸器疾患を有する患者さんの診療を担っております。早期の肺の悪性腫瘍(原発性肺がんや他臓器がんの肺転移)に対しては、大半の場合は患者さんへの負担が少ない胸腔鏡下手術あるいはロボット支援手術で対処しています。一方、進行期の肺がん/胸部悪性腫瘍に対しては、呼吸器内科や放射線治療科と連携して集学的治療(手術と抗がん薬治療や放射線療法を組み合わせた治療)や、気管支・血管再建、周囲臓器の合併切除を伴う拡大手術を行っております。加えて総合病院として、心疾患や糖尿病、腎疾患など、他の疾病を持った方々でも各診療科の協力を得て、全身管理を行いながら安全な手術治療を提供しております。気胸(肺がパンクした状態)に対しては初期治療の後、再発例、難治例に対して手術を行っております。多くの場合は急性発症で早急に対処する必要があるため、初期治療から手術までを遅滞なく行っております。縦隔腫瘍(左右の肺に挟まれた部位の腫瘍)は頻度は少ないものの大半が外科的治療を要するものであり、その殆どを胸腔鏡下あるいはロボット支援手術で対応しております。
整形外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
07040xxx01xxxx | 変形性股関節症などで人工関節置換術等をおこなうもの | 121人 | 15.69日 | 19.55日 | 51.24% | 68.20歳 | |
070230xx01xxxx | 変形性膝関節症などで人工関節置換術等をおこなうもの | 107人 | 17.64日 | 21.96日 | 87.85% | 75.16歳 | |
070343xx01x0xx | 腰部脊柱管狭窄症(脊椎症を含む)などで脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術等をおこなうもの | 78人 | 16.92日 | 19.94日 | 10.26% | 69.47歳 | |
160620xx01xxxx | 半月板、十字靱帯、側副靱帯などの損傷で腱縫合術等をおこなうもの | 77人 | 12.48日 | 13.04日 | 0.00% | 30.53歳 | |
160800xx01xxxx | 大腿骨頸部骨折などで人工関節置換術等をおこなうもの | 71人 | 17.89日 | 25.50日 | 69.01% | 78.73歳 |
その他の主な症例
【07034xxx01xxxx等】 腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎固定術
【07034xxx97xxxx等】 腰椎すべり症、変性側弯症に対する手術
当科は、保存的治療で改善しない患者さんに対して手術的治療を主として行っています。特徴としては大学病院同様、各分野の専門医が治療を行っています。主な疾患は、腰部脊柱管狭窄症、脊柱側弯、頚椎症などの脊椎疾患、膝半月板損傷、十字靱帯損傷、肩腱板損傷などスポーツに関与する関節内疾患、変形性関節症などの膝・股関節外科疾患です。
形成外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
050180xx02xxxx | 下肢静脈瘤で下肢静脈瘤血管内焼灼術等をおこなうもの | 32人 | 2.00日 | 2.61日 | 0.00% | 70.31歳 | |
070071xx97xxxx | 骨髄炎(上肢以外) で手術をおこなうもの | 16人 | 28.94日 | 33.66日 | 37.50% | 68.75歳 | |
090010xx05xxxx | 乳がんでゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術をおこなうもの | ─ | ─ | 7.47日 | ─ | ─ | |
160200xx02000x | 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む) で手術をおこなうもの | ─ | ─ | 4.63日 | ─ | ─ | |
020320xx97xxxx | 睫毛内反症や眼瞼内反症などで手術をおこなうもの | ─ | ─ | 3.17日 | ─ | ─ |
下肢静脈瘤に対する手術法はレーザーで静脈を焼却し、静脈の内腔を閉鎖してしまう方法に加え、接着剤を用いて静脈を閉鎖する方法も当院で行えるようになりました。高齢者では、塞栓術を主に適応しています。いずれも1泊2日の入院で行っています。糖尿病や閉塞性動脈硬化症から生じる下肢虚血を伴う足潰瘍については創傷・足病ケアセンターを設立し、循環器内科と連携し、様々な治療を行っています。循環器内科で血流を改善するための血管内治療を行った後、当科で骨を含めた壊死部分を切除する手術を行っています。乳癌で乳房全切除が行われる患者さんに対しては、自家組織もしくはインプラントによる再建を行っており、3番目に多い手術件数でした。また、顔面など、整容性に関わる部分の外傷は形成外科で対応しています。睫毛内反(逆まつげ)も同様の理由で形成外科で主に手術を行っています。
脳神経外科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
010040x099000x | 脳出血などで治療をおこなうもの(JCS10未満) | 33人 | 12.91日 | 19.09日 | 51.52% | 65.42歳 | |
160100xx99x00x | 外傷性硬膜下血腫などで治療をおこなうもの | 30人 | 4.43日 | 8.38日 | 3.33% | 60.63歳 | |
010050xx02x00x | 慢性硬膜下血腫で慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等をおこなうもの | 29人 | 9.97日 | 11.87日 | 20.69% | 79.72歳 | |
010030xx9910xx | 未破裂脳動脈瘤で動脈造影検査をおこなうもの | 25人 | 3.24日 | 2.95日 | 4.00% | 64.32歳 | |
010060x2990401 | 脳梗塞で投薬(エダラボン)をおこなうもの | 17人 | 13.00日 | 15.70日 | 35.29% | 77.29歳 |
脳出血の原因としては高血圧が多く、血圧を下げる治療を行います。脳が強く圧迫されるような症例では内視鏡や手術用顕微鏡を用いた手術を行うこともあります。また、外傷により頭蓋内に出血を起こすこともあります。急性に生じる硬膜下血腫の手術は緊急開頭術を必要とします。また、頭部外傷後数週間以上の経過でゆっくり硬膜下に血腫が溜まる慢性硬膜下血腫は局所麻酔の手術により大きな効果が期待でき、早期自宅退院を目指す体制を取っています。脳動脈瘤の治療は、頭を切る手術とカテーテルを用いた脳血管内手術があります。それぞれの治療法には一長一短があり、病気のことや患者さんの背景も考慮に入れて、手術方法を決定しています。超急性期脳梗塞に対する脳血栓溶解術、経皮的脳血栓回収術や経皮的脳動脈形成術は、脳神経内科と協力して治療に当たっています。当院には脳血管のカテーテル治療専門医が複数在籍しており、24時間体制で対応します。
救急科
DPCコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
161070xxxxx00x | 薬物などによる中毒で胃洗浄、点滴などの治療をおこなうもの | 26人 | 2.12日 | 3.62日 | 7.69% | 48.15歳 | |
161060xx99x0xx | 有害食物(卵、牛乳、小麦など)反応によるアナフィラキシーショックで治療をおこなうもの | 14人 | 1.71日 | 2.86日 | 0.00% | 35.86歳 | |
030400xx99xxxx | 末梢性めまいで治療をおこなうもの | 12人 | 2.08日 | 4.73日 | 8.33% | 65.42歳 | |
180040xx99x0xx | 適正に投与された正しい薬物及び薬剤(造影剤など)の有害作用によるアナフィラキシーショックで治療をおこなうもの | ─ | ─ | 9.78日 | ─ | ─ | |
160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) で治療をおこなうもの | ─ | ─ | 19.34日 | ─ | ─ |
救急科は原則として入院診療を行なっておりません。アナフィラキシーや薬物中毒、熱中症など特定の特殊病態の管理、obserevation unitとして1日経過観察し翌日に退院及び転院いただく患者のみが対象です。
精神神経科
ICDコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
F20 | 統合失調症で治療をおこなうもの | 85人 | 40.40日 | ─ | 14.12% | 54.00歳 | |
F32 | うつ病で治療をおこなうもの | 50人 | 47.20日 | ─ | 6.00% | 70.30歳 | |
F31 | 双極性感情障害や躁うつ病で治療をおこなうもの | 21人 | 34.30日 | ─ | 4.76% | 59.40歳 | |
F25 | 統合失調感情障害で治療をおこなうもの | 14人 | 39.70日 | ─ | 0.00% | 45.90歳 | |
F22 | 持続性妄想性障害で治療をおこなうもの | 13人 | 27.80日 | ─ | 7.69% | 64.20歳 |
当診療科の特色は、総合病院でありながら42床からなる閉鎖病棟で入院治療を行なっているという点です。上記の疾患で特に入院を必要とする状態では、治療中に、さまざまな合併症が出現する可能性があります。なかには、肺梗塞や低ナトリウム血症のように最悪の場合、命に関わるようなものもあります。当診療科は総合病院の中にありますので、日進月歩の医学の知見を用いて、こうした合併症に対応しながら治療にあたることができます。また、麻酔科と協力しての修正型電気けいれん療法や、内科と連携しながらクロザリルを投与することを積極的に行なっています。また最新の画像診断を用いることで、脳の病変について詳細に調べることもできます。このことは認知症の診断や治療に極めて有効です。当院の精神科では、高度な医療設備を治療や診断に積極的に用いるという点で、単科精神科病院とは大きな違いがあります。このような強みを活かして、最も先進的で良質な医療を提供していきたいと考えております。
歯科口腔外科
ICDコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K07 | 埋伏智歯(親知らず)などで抜歯をおこなうもの | 25人 | 5.90日 | ─ | 0.00% | 35.00歳 | |
K01 | 埋伏歯(親知らず以外)などで抜歯をおこなうもの | 18人 | 4.70日 | ─ | 0.00% | 27.30歳 | |
K09 | 顎骨のう胞などで手術等をおこなうもの | 16人 | 6.40日 | ─ | 0.00% | 50.60歳 | |
K10 | 顎骨骨髄炎などで手術等をおこなうもの | 16人 | 16.20日 | ─ | 0.00% | 66.60歳 | |
S02 | 頭蓋骨及び顔面骨の骨折で治療をおこなうもの | 13人 | 13.70日 | ─ | 0.00% | 40.90歳 |
当科で多い手術症例は、抜歯術と顎骨腫嚢胞摘出手術になります。病変の大きさ、部位に応じて全身麻酔や静脈内鎮静で手術を施行します。入院は基本的には前日入院となります。月曜日手術の場合は日曜日入院も可能な場合があります。手術後は全身状態に問題がなければ早期の退院となります。抜歯は数日で退院する症例が多いです。また、今年度4月からは顎変形症手術にも積極的に取り組んでいます。約10日間の入院で顎矯正手術を行っています。悪性腫瘍手術(切除)の場合は、抜糸、摘出物の病理結果報告まで入院されることが多く、入院期間は平均で約13日です。食事は基本的には経口摂取ですが、症例に応じて鼻管栄養も行います。その他、顎骨骨折、炎症(顎骨骨髄炎)など2週間以上の入院が必要な症例もあります。
緩和ケア科
ICDコード | 名称 | 患者数 | 平均 在院日数 (自院) |
平均 在院日数 (全国) |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
C34 | 肺がんで緩和ケア診療(疼痛コントロールなど)をおこなうもの | 52人 | 26.80日 | ─ | 1.92% | 74.50歳 | |
C25 | 膵がんで緩和ケア診療(疼痛コントロールなど)をおこなうもの | 31人 | 27.10日 | ─ | 6.45% | 75.50歳 | |
C16 | 胃がんで緩和ケア診療(疼痛コントロールなど)をおこなうもの | 21人 | 29.40日 | ─ | 14.29% | 74.00歳 | |
C18 | 結腸がんで緩和ケア診療(疼痛コントロールなど)をおこなうもの | 18人 | 19.30日 | ─ | 5.56% | 75.90歳 | |
C20 | 直腸がんで緩和ケア診療(疼痛コントロールなど)をおこなうもの | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
緩和ケア外来、緩和ケアチーム及び緩和ケア病棟を中心に緩和ケア診療を行っています。緩和ケア外来および緩和ケアチームは、それぞれ外来および一般病棟入院中の患者さん・ご家族に対して、がんと診断された直後の気持ちのつらさへの対応、がん治療がなるべく予定通り受けられるように症状緩和を行っています。治療中止前後の患者さん・ご家族の気持ちのつらさや、苦痛症状の緩和、療養場所・療養環境の調整にも各がん治療科と連携しつつ、シームレスに対応しています。緩和ケア病棟は、終末期の看取りの場所としてだけでなく、自宅療養を行っておられる患者さんの入院の受け皿としてご利用頂き、専従医師が地域の医療者と定期的に情報交換を行う事で必要時に速やかな入院受け入れを行える体制をとっています。あらゆる場面で担当する看護師・薬剤師・栄養士・臨床心理士・理学療法士などのスタッフとも常に情報を共有し、全人的な苦痛への対応に努めています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
初発 | 再発 | 病期分類基準(※) | 版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Stage I | Stage II | Stage III | Stage IV | 不明 | ||||
胃癌 | 172 | 19 | 15 | 52 | 32 | 22 | 1 | 8 |
大腸癌 | 81 | 39 | 138 | 131 | 94 | 58 | 1 | 8 |
乳癌 | 80 | 62 | 12 | ─ | 11 | ─ | 1 | 8 |
肺癌 | 110 | 59 | 92 | 203 | 57 | 90 | 1 | 8,7 |
肝癌 | 17 | 29 | 31 | 16 | ─ | 166 | 1 | 8 |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【胃癌】
日本胃癌学会による「胃癌治療ガイドライン」に従い、消化器内科と外科がしっかりと連携して診断と治療を行っています。消化器内科では内視鏡検査を用いた胃がんの早期発見と早期治療に取り組んでおり、早期発見された胃がん病変に対しては積極的に内視鏡的粘膜下層剥離術を行い、切除した病変の正確な病理組織診断に基づき、外科と連携し治療方針を決定しています。手術については、腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術を基本とし、症例に応じて術前・術後の化学療法を組み合わせた治療を行っています。切除不能・再発がんに対しては、腫瘍内科と連携しながら、近年めざましく進歩した抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤を用いた薬物療法を進めており、良好な治療成績を得ています。また、経口摂取が不可能な通過障害に対しては、腹腔鏡下でのバイパス手術や内視鏡下ステント挿入などを行いQOLの維持に努めています。
【大腸癌】
多くの大腸がんは大腸ポリープから発生するため、大腸内視鏡検査を積極的に行い、早期に発見された大腸ポリープは内視鏡的切除を基本方針としています。早期大腸がんに対しては、消化器内科にて大腸内視鏡を用いた粘膜切除術や粘膜剥離術(内視鏡治療)を行うことで手術を回避できます。
内視鏡治療が困難な大腸がんに対しては外科治療が第一選択となり、大腸癌治療ガイドラインに則って治療方針を決定しています。当院では大腸がん切除手術の95%以上を腹腔鏡下・ロボット支援下に行っています。肝転移や肺転移に対しては、根治的に切除が可能と判断されれば肝臓外科や呼吸器外科にて切除手術を行っています。進行直腸がんに対しては、手術前に抗がん剤治療や放射線治療を行い、根治性の向上を目指しています。肛門に近い直腸がんに対しては、排便機能・排尿機能・性機能を温存したロボット支援下機能温存根治手術(永久人工肛門や一時的人工肛門を回避した究極の肛門機能温存手術)を積極的に行っています。
【乳癌】
乳がんは女性のがんで最も多く、生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人と言われています。乳がんの治療は臨床病期や乳がんの性質によって決定し、I期~III期に対しては手術や放射線治療、薬物療法を組み合わせた集学的治療を行います。特に抗がん剤の効果が期待できるトリプルネガティブ乳がんやHER2陽性乳がんに対しては術前化学療法を勧めています。乳房温存手術+センチネルリンパ節生検では、2個までのリンパ節転移であれば再発率や生存率に影響しないという研究結果に基づき腋窩郭清を省略しています。乳房再建希望の患者さんには、形成外科と共同で手術を行っています。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)のリスクが高い患者さんには遺伝学的検査及び遺伝カウンセリングを受けることをお勧めし、遺伝学的検査でHBOCと診断された場合、希望者には対側乳房や卵巣の予防切除を実施しています。遠隔臓器に転移があるIV期や再発例には薬物療法を中心とした集学的治療を行っています。
【肺癌】
当院の肺がんに対する治療は、患者さんの年齢や併存症、全身状態(Performance status:PS)などを考慮して、最新の肺がん診療ガイドラインに基づき、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線治療科など関係各科と検討し、手術(外科的切除)、放射線療法、全身化学療法(免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬等を含めた抗がん薬)の選択、またはこれらの治療を組み合わせた集学的治療を行っています。肺がんは発見時にStage III期、Ⅳ期の進行がんの割合が高く、初回治療後もしばしば再発・再燃することがあり、このような場合も次の治療を患者さんの状態に応じて検討します。肺がん患者さんは高齢の方が多いため高血圧や心臓疾患、脳神経疾患、あるいは糖尿病など、肺がんの治療と並行して、他の病気の治療が必要な場合がほとんどです。当院では全診療科が揃う総合病院の強みを活かし、他の病気を合併する患者さんに対しても、関係各科と協力し、その時の患者さんの全身状態に合わせて最適な治療を患者さんに提案した上で、患者さんが肺がん治療を選択できるよう努力しています。
【肝癌】
最新の肝癌診療ガイドラインに則り、消化器内科、消化器外科、放射線科が緊密な連携をしながら診断と集学的治療に取り組んでいます。肝がんの進行度に応じて、肝切除術、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、分子標的薬による薬物療法を選択します。腹部超音波検査やCT、MRI検査により早期に発見した肝がんに対しては、ラジオ波焼灼療法(RFA)や肝切除術による局所根治治療を積極的に行っています。肝切除術の約70%は腹腔鏡下・ロボット支援下に行っています。これらの治療の実施が難しい肝がんに対しては、血管造影検査を用いた肝動脈化学塞栓療法(TACE)を選択することにより良好な成績が得られています。また、近年、新しい経口抗がん剤である分子標的薬が肝がん治療に導入されるようになり、肝動脈化学塞栓療法(TACE)の有効性が低い肝がんや肝外転移のある進行肝がんに対する治療成績が飛躍的に向上しています。肝がんは再発しても、粘り強くいろいろな治療法を組み合わせることが大切です。当院では肝移植術は行っていませんが、その適応があれば適切な施設に紹介しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等
患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | 26人 | 12.12日 | 54.35歳 |
中等症 | 126人 | 12.55日 | 74.14歳 |
重症 | 35人 | 15.80日 | 80.91歳 |
超重症 | 13人 | 14.23日 | 84.92歳 |
不明 | ─ | ─ | ─ |
市中肺炎とは、日常の生活を送る中で発症した肺炎をいいます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎は対象に含みません。
市中肺炎は、呼吸器内科で肺がんに次いで2番目に多い症例です。重症度1または2の軽症~中等症(特に中等症)が比較的多いのですが、年齢が高くなるにつれて重症度も高くなる傾向はありますが、糖尿病や免疫不全をきたす疾患を抱えている場合、年齢に関わらず、重症化することもあります。当院では、そのような症例に対しても、集中治療医とも連携をとり、呼吸管理を行っていく体制を整えております。今後さらに高齢化が進んでいくことを考えると、市中肺炎の症例数も漸増していくことが予想され、早期発見・早期治療は勿論のことですが、予防のための肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチン等の接種の励行も、一般市民への啓蒙活動として重要なことであると考えます。
脳梗塞の患者数等
発症日から | 患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 233人 | 17.67日 | 75.54歳 | 38.46% |
その他 | 27人 | 19.93日 | 71.63歳 | 5.38% |
脳梗塞は後遺障害により介護負担が重くなりうる疾患であり、発症急性期の適切かつ迅速な治療が、後遺障害の軽減や介護を必要としない自立生活につながります。そのため、当院の脳卒中センターでは発症から4.5時間以内に投与できる組織プラスミノーゲン賦活薬(t-PA)の静注療法や脳血栓回収療法などの急性期治療に力を入れています。特に発症から数日以内は症状が変動しやすいため、脳卒中ケアユニット(SCU)で管理を行い、その後リハビリ施設への転院や退院を勧めています。
また、脳梗塞はリスク因子である生活習慣病の治療が最も大切ですが、予防していても脳梗塞を発症した場合、次に大事になるのは急性期治療です。同様にリハビリテーション、再発予防も重要です。当科では、脳梗塞発症早期からのリハビリテーションや再発予防のための投薬、生活習慣改善指導においても、患者さんの状況に合わせて行っています。当院では血栓溶解療法や血栓回収術により、少しでも早く血管を再開通させるような体制を整えています。麻痺や言語障害などの症状を自覚した場合は、1秒でも早く病院を受診してください。
診療科別主要手術別患者数等
(診療科別患者数上位5位まで)
腎臓内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K6121イ | 慢性腎不全などに対する末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) | 101人 | 3.20日 | 5.18日 | 4.95% | 69.15歳 | |
K616-41 | 透析シャント機能不全に対する経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) | 89人 | 0.47日 | 2.40日 | 1.12% | 71.74歳 | |
K616-42 | 透析シャント機能不全に対する経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回の実施後、3月以内におこなう場合) | 28人 | 0.39日 | 1.21日 | 0.00% | 71.57歳 | |
K635-3 | 慢性腎不全などに対する連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K654 | 上部消化管出血などに対する内視鏡的消化管止血術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
透析療法の種類には血液透析と腹膜透析がありますが、それぞれ開始前に準備が必要です。血液透析を受ける場合は、入院して手首あたりに動脈と静脈をつなぎ合わせる手術(内シャント手術)を受けていただきます。入院期間は3-4日です。腹膜透析を受ける場合は、入院しておなかにカテーテル(チューブ)を埋め込む手術(腹腔内カテーテル留置術)を受けていただきます。入院期間は4-5日です。手術が終わった後、引き続き透析を開始する場合と、しばらく外来で経過を見てから透析を開始する場合があります。その他、シャント血管の狭窄(せまくなる)や閉塞(つまる)などの不具合にも対応しています。バルーンカテーテルという風船付きカテーテルを使って血管のつまりを治療する透析シャント血管拡張術(シャントPTA)や、シャント血管の再手術を行います。
血液内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K6261 | 造血器疾患に対するリンパ節摘出術(長径3cm未満) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K9212ロ | 造血器疾患に対する造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K922-2 | 造血器疾患に対するCAR-T細胞投与 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K921-32 | 造血器疾患に対するT細胞採取(CAR-T細胞投与に伴うもの) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K6112 | 造血器疾患に対する抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
当科では平成15年に臍帯血バンクの認定施設、平成16年に骨髄バンクの認定施設となり、以降難治性の造血器疾患に対し、治癒や長期生存を目指して骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植のいずれの造血幹細胞移植治療も実施しております。 また悪性リンパ腫、多発性骨髄腫では適応がある場合は新規治療であるCAR-T療法を行い、令和5年度は5例行っております。また、悪性リンパ腫などの診断確定のため、リンパ節生検を生検部位に応じた当該科に依頼して行って頂いています。また、化学療法に際して血管確保が困難な症例に対しては、植込型カテーテルの設置も外科に依頼し行っています。
消化器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K7211 | 大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | 373人 | 0.21日 | 1.25日 | 0.27% | 69.69歳 | |
K688 | 胆管結石や胆管炎などに対する内視鏡的胆道ステント留置術 | 210人 | 1.39日 | 6.89日 | 2.86% | 75.96歳 | |
K6152 | 肝がんに対する血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) | 155人 | 1.19日 | 7.55日 | 0.65% | 75.01歳 | |
K6532 | 早期胃がんや早期十二指腸がんに対する内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) | 130人 | 1.06日 | 4.45日 | 0.00% | 74.50歳 | |
K7212 | 大腸ポリープに対する内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) | 84人 | 0.15日 | 1.12日 | 0.00% | 66.83歳 |
食事の欧米化にも関連し、大腸がんは本邦で年々、増加傾向にあります。大腸ポリープが大きくなってくると内部にがんができる頻度が高くなり、大腸がんに進行することが知られています。このため、大腸ポリープの段階で切除しておくことが大腸がんの確実な予防につながるため、当科では内視鏡を用いた大腸ポリープ切除を積極的に実施しています。小さなポリープは外来での検査時に同時に切除も行いますが、大きめのポリープや出血の危険性がある際は入院の上、内視鏡を用いた大腸ポリープ切除(粘膜切除術)を行っています。同様に、早い段階で発見された早期胃がんの内視鏡切除も精力的に実施しており、内視鏡技術の進歩に伴い比較的大きな胃がんでも切除することができるようになってきています。また、肝がんに対してはラジオ波凝固療法とともに血管カテーテル治療を積極的に行っており、膵がんや胆管がんが原因となり胆管がつまってきた場合には内視鏡を用いたドレナージ治療を行っています。
循環器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K616 | 下肢閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術 | 157人 | 2.20日 | 7.82日 | 7.01% | 75.14歳 | |
K5493 | 狭心症などに対する経皮的冠動脈ステント留置術(その他) | 118人 | 2.74日 | 2.92日 | 0.00% | 72.57歳 | |
K5951 | 頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) | 110人 | 1.00日 | 1.21日 | 0.00% | 69.28歳 | |
K5491 | 急性心筋梗塞に対する経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) | 39人 | 0.00日 | 14.15日 | 0.00% | 67.10歳 | |
K5973 | 徐脈性不整脈に対するペースメーカー移植術(リードレスペースメーカー) | 31人 | 5.77日 | 7.94日 | 6.45% | 84.68歳 |
下肢閉塞性動脈硬化症や重症虚血肢の診療に対しては、新たに創傷・足病ケアセンターを立ち上げ、形成外科、皮膚科、認定看護師、退院支援看護師、理学療法士、栄養指導士からなる多職種チームを中心に集学的医療を実践しております。血行再建の必要性についてもチームで議論し、手技に熟練した医師が中心となって多くの症例を経験しております。頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテル心筋焼灼術は、根治を目指す治療です。個々の病態について精査を行い、少しでも根治率を上げるような診療を行っております。狭心症などの虚血性心疾患に関する検査や治療は、FFR-CT等の最新かつ、より低襲性なモダリティを用いることで、患者さんの利益にならないような不必要な検査・治療を行わず、必要な患者さんに必要な医療を提供することを心がけております。また、24時間対応のホットライン体制を整備し、急性心筋梗塞や不安定狭心症に対する緊急手術も多く行っております。
脳神経内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K609-2 | 内頚動脈狭窄症に対する経皮的頸動脈ステント留置術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K178-4 | 脳梗塞や脳血栓症などに対する経皮的脳血栓回収術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K386 | パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症などに対する気管切開術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
当科では脳卒中ケアユニットを有し、急性期脳卒中に24時間対応しております。脳梗塞や脳血栓症に対する経皮的脳血栓回収術、脳血管、頸動脈狭窄例に対しては経皮的脳血管ステント留置術、経皮的頸動脈ステント留置術を脳神経外科と協力して施行しています。さらに慢性期神経変性疾患などで寝たきりの方も多く、誤嚥性肺炎や呼吸不全をきたす方もおられますので、耳鼻咽喉科と協力して気管切開術を行うこともあります。
乳腺外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K4762 | 乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 89人 | 1.09日 | 3.97日 | 0.00% | 63.88歳 | |
K4763 | 乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | 68人 | 1.19日 | 8.06日 | 0.00% | 64.07歳 | |
K4765 | 乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(胸筋切除を併施しない)) | 22人 | 1.05日 | 9.95日 | 4.55% | 65.41歳 | |
K4768 | 乳がんに対する乳腺悪性腫瘍手術(乳輪温存乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
当科は地域がん診療連携拠点病院として悪性腫瘍の手術を多く行っています。令和5年の原発性乳がんの手術数は192例でした。乳房の術式は乳癌の部位や広がり、乳房の大きさとのバランスや併存している基礎疾患などを考慮して「乳腺部分切除術」または「乳腺全切除術」を選択します。腋窩の術式は、術前検査で腋窩リンパ節に転移がなければ「センチネルリンパ節生検」、転移があれば「腋窩リンパ節郭清」を行います。乳房再建を希望される患者さんには乳房同時再建も行っています。手術前日に入院し、乳房部分切除術では術後3日目、乳房切除術では術後7日目で退院となります。(創部の状態によって入院日数は前後することがあります。)遺伝性乳がん卵巣がん症候群の患者さんに対する乳癌未発症乳房に対する乳房の予防切除も実施しています。
消化器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K672-2 | 胆嚢炎や胆のう結石症などに対する腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 160人 | 1.23日 | 4.15日 | 0.00% | 65.11歳 | |
K634 | 鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 125人 | 1.28日 | 2.40日 | 0.00% | 72.90歳 | |
K719-3 | 結腸がんに対する腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 | 117人 | 2.59日 | 11.20日 | 0.00% | 70.62歳 | |
K740-22 | 直腸がんに対する腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術) | 57人 | 2.02日 | 15.89日 | 0.00% | 66.63歳 | |
K718-21 | 虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 45人 | 0.36日 | 3.67日 | 0.00% | 43.24歳 |
当科は地域がん診療連携拠点病院として、悪性腫瘍の手術を多く行っています。令和5年の悪性腫瘍切除手術数は、食道がん47例、胃がん91例、大腸がん244例、肝がん45例、膵がん46例でした。内視鏡外科学会技術認定医を7名擁しており、食道がん・胃がん・大腸がんのほとんど全て、肝がんは5割強の手術が腹腔鏡手術ということが当科の特徴の一つだといえます。また、食道がん・胃がん・直腸がん・結腸がん・肝臓がん・膵臓がんにおいてロボット支援下手術が保険収載され、当科でも厳しい施設基準を満たし、保険診療としていわゆるダヴィンチ手術を開始して症例数が確実に増えています(令和5年のロボット支援下手術件数は205件;食道25、胃31、大腸120、肝臓16、膵臓10、ヘルニア3)。良性疾患では、鼠径ヘルニア根治術・胆嚢摘出術・虫垂切除術が多く、胆嚢摘出術・虫垂切除術でも9割以上で腹腔鏡手術を行っています。
心臓血管外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K5551 | 心臓弁膜症に対する弁置換術(1弁) | 19人 | 4.11日 | 30.47日 | 10.53% | 71.26歳 | |
K5522 | 狭心症などに対する冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) | 13人 | 7.38日 | 52.23日 | 15.38% | 68.38歳 | |
K5606 | 腹部非破裂性大動脈瘤などに対する大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) | 12人 | 2.92日 | 14.58日 | 0.00% | 70.50歳 | |
K5601ニ | 急性大動脈解離などに対する大動脈瘤切除術(上行)(その他) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K5552 | 心臓弁膜症に対する弁置換術(2弁) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
令和5年度のKコードによる手術数の1番目は心臓弁膜症に対する1弁置換術です。これは主に高齢者に対する大動脈弁置換術を示しています。2023年度からTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)も開始し、場合によっては開胸せずとも弁置換術を行えるようになりました。より一層循環器内科と協力の上、患者さんに最適な治療を提供してまいります。2番目は冠動脈疾患に対する単独冠動脈バイパス術です。近年では冠動脈疾患患者さんの重症化によって、人工心肺装置を用いた心拍動下バイパス手術が増加してきています。3番目は腹部大動脈瘤に対する開腹による人工血管置換術を示します。これまでカテーテルによるステントグラフトを優先して参りましたが、遠隔期の再発が認められるようになり、開腹可能な患者さんには開腹による人工血管置換を推奨しております。
眼科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K2821ロ | 白内障に対する水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) | 803人 | 0.35日 | 1.36日 | 0.00% | 74.37歳 | |
K2801 | 網膜剥離や硝子体の疾患などで硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) | 148人 | 0.54日 | 4.52日 | 0.00% | 63.57歳 | |
K2802 | 網膜剥離や硝子体の疾患などに対する硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) | 83人 | 0.49日 | 3.31日 | 0.00% | 68.04歳 | |
K204 | 鼻涙管閉鎖症や涙のう炎に対する涙嚢鼻腔吻合術 | 77人 | 1.00日 | 3.55日 | 0.00% | 72.23歳 | |
K2685 | 緑内障に対する緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートあり) | 46人 | 0.63日 | 5.24日 | 0.00% | 72.98歳 |
白内障手術は強膜内固定が必要となる難症例も積極的に行っています。
網膜剥離など緊急症例も初診当日または翌日に実施しています。
各種緑内障手術、涙道手術も短い待期期間で対応しています。
産婦人科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8882 | 卵巣腫瘍などに対する子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 等 | 135人 | 1.09日 | 3.58日 | 0.00% | 46.91歳 | |
K877-2 | 子宮筋腫などに対する腹腔鏡下腟式子宮全摘術 等(ロボット支援下を含む) | 97人 | 1.15日 | 4.11日 | 0.00% | 48.20歳 | |
K867 | 子宮頸部高度異形成などに対する子宮頸部(腟部)切除術 | 82人 | 1.04日 | 1.00日 | 0.00% | 41.73歳 | |
K861 | 子宮内膜ポリープに対する子宮内膜掻爬術 | 74人 | 0.00日 | 0.05日 | 0.00% | 47.27歳 | |
K9091イ | 稽留流産に対する流産手術 | 32人 | 0.00日 | 0.03日 | 0.00% | 32.88歳 |
当院は、産婦人科診療一般を取り扱う中核病院であり、大阪府地域周産期母子医療センター及び地域がん診療連携拠点病院としての役割も担っています。ハイリスク妊娠への対応を行うほか、悪性腫瘍に対する集学的治療も他科・他職種連携のもとで行っています。良性疾患に対する手術治療については、より安全で低侵襲な治療を提案することで、入院期間や生活制限などの負担をなるべく減らし、患者様の状態やニーズに沿った治療の選択肢を提示させていただきます。
皮膚科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0072 | 皮膚の悪性腫瘍や悪性黒色腫に対する皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) | 20人 | 0.45日 | 6.85日 | 5.00% | 75.25歳 | |
K0063 | 皮膚、皮下腫瘍などに対する皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K0062 | 皮膚、皮下腫瘍などに対する皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K013-22 | 皮膚欠損などに対する全層植皮術(25c㎡以上100c㎡未満) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K616 | 下腿皮膚潰瘍や糖尿病足病変に対する四肢の血管拡張術・血栓除去術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
悪性黒色腫などの悪性腫瘍(がん)の手術では、取り残しなく完全に摘出することが大切です。また、脂漏性角化症や脂肪腫などの良性腫瘍切除を希望され受診する患者さんも多いです。その場合は整容的な手術を心掛けています。糖尿病性足病変を持った患者さんも多く、当科でも爪外来・足病変外来を開設し糖尿病患者さんのフットケアを行っています。
泌尿器科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K8036イ | 膀胱がんに対する膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | 185人 | 1.10日 | 4.48日 | 1.08% | 74.71歳 | |
K783-2 | 尿管結石症や結石性腎盂腎炎などに対する経尿道的尿管ステント留置術 | 69人 | 1.30日 | 6.16日 | 4.35% | 70.93歳 | |
K7811 | 尿管結石症などに対する経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | 59人 | 1.15日 | 3.68日 | 0.00% | 63.34歳 | |
K843-4 | 前立腺がんに対する腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) | 46人 | 1.17日 | 9.33日 | 0.00% | 68.80歳 | |
K841-21 | 前立腺肥大症に対する経尿道的レーザー前立腺切除・蒸散術(ホルミウムレーザー等使用)等 | 31人 | 1.10日 | 6.10日 | 0.00% | 71.26歳 |
当院では、国の地域がん診療連携拠点病院の指定のもと、多くの膀胱がんや前立腺がんの手術に手術支援ロボット(ダヴィンチXiを2台)を駆使して治療するとともに、前立腺肥大症の核出術や感染性尿路結石の難手術にも多くの実績を有しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K3772 | 扁桃炎や扁桃肥大に対する口蓋扁桃手術(摘出) | 92人 | 1.36日 | 4.67日 | 0.00% | 25.43歳 | |
K340-5 | 慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) | 43人 | 1.28日 | 3.40日 | 0.00% | 57.51歳 | |
K347 | 慢性副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症に対する中隔矯正術 | 39人 | 1.10日 | 3.28日 | 0.00% | 44.41歳 | |
K3932 | 咽頭腫瘍や声帯腫瘍に対する喉頭腫瘍摘出術(直達鏡) | 31人 | 1.00日 | 1.35日 | 0.00% | 65.45歳 | |
K4571 | 耳下腺腫瘍に対する耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術) | 30人 | 1.53日 | 4.00日 | 0.00% | 57.10歳 |
【口蓋扁桃手術】
いわゆる扁桃腺が年に数回以上腫れて高熱が出る方、あるいは扁桃腺が全身の病気の原因である場合に扁桃腺を取る手術を行います。また扁桃腺が大きく、睡眠時無呼吸の原因になっている場合も摘出します。
【内視鏡下鼻・副鼻腔手術】
内視鏡を用いて、鼻の中だけで手術を行います。副鼻腔炎に対する手術やアレルギー性鼻炎などによる鼻づまりを改善するために行います。
【鼻中隔矯正術】
鼻中隔湾曲症が強度で鼻づまりで日常生活に支障を来す場合、まっすぐに矯正することで鼻閉が改善します。
【喉頭腫瘍摘出術(直達鏡)】
声帯ポリープが原因で声がかすれるとき、または声帯に腫瘍があり喉頭がんが疑われるときにこの手術を行います。
【耳下腺浅葉摘出術】
耳下腺腫瘍は良性でも手術が必要なことが多いです。顔面神経より浅い部分にある場合に浅葉切除術を行います。
小児外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K634 | 鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) | 67人 | 0.97日 | 0.03日 | 0.00% | 3.87歳 | |
K6333 | 臍ヘルニアに対する臍ヘルニア手術 | 29人 | 1.00日 | 0.00日 | 0.00% | 1.86歳 | |
K836 | 停留精巣に対する停留精巣固定術 | 14人 | 1.00日 | 0.00日 | 0.00% | 3.14歳 | |
K718-21 | 虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | 11人 | 0.55日 | 2.45日 | 0.00% | 10.55歳 | |
K8282 | 包茎手術(環状切除術) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
当科では予定手術として、鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、停留精巣の症例数が多く、入院期間は2日間です。
緊急手術では急性虫垂炎や精巣捻転症が多いです。鼠径ヘルニア、虫垂炎の手術では腹腔鏡を使った低侵襲手術(創が小さく 痛みが少ない手術)を行っています。穿孔した虫垂炎や消化管穿孔の症例に対しては緊急手術を行います。
呼吸器内科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K496-5 | 膿胸に対する経皮的膿胸ドレナージ術 | 20人 | 1.90日 | 25.85日 | 15.00% | 69.80歳 | |
K508-3 | 気管支喘息に対する気管支熱形成術 | 17人 | 0.82日 | 2.06日 | 0.00% | 50.18歳 | |
K6151 | 喀血や胸腔内出血に対する血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
膿胸とは、細菌などの病原微生物が、肺の周りの胸腔(きょうくう)という空間に強い炎症を起こし、膿(うみ)を作る病気のことです。糖尿病や歯の病気(歯周病や歯槽膿漏など)がある人に多くみられ、当院でも多くの症例を経験しております。原因菌に有効な抗菌薬を点滴する必要がありますが、これだけで治癒することはまれであり、膿を排出するためのチューブを胸腔内に留置します。これで改善しない場合は呼吸器外科とも相談し、外科手術によって膿を掻き出したりする必要があり、当院では呼吸器外科とも連携し、迅速な治療を行っています。
呼吸器外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K514-23 | 肺がんに対する胸腔鏡下(ロボット支援下を含む)肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 等 | 84人 | 1.74日 | 6.87日 | 0.00% | 69.93歳 | |
K5131 | 気胸に対する胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) | 38人 | 5.11日 | 3.24日 | 0.00% | 33.74歳 | |
K514-22 | 肺がんに対する胸腔鏡下(ロボット支援下を含む)肺悪性腫瘍手術(区域切除) | 32人 | 2.06日 | 7.28日 | 0.00% | 70.66歳 | |
K514-21 | 肺がんに対する胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) | 32人 | 1.94日 | 6.06日 | 0.00% | 73.75歳 | |
K5132 | 肺がんの疑いに対する胸腔鏡下肺切除術(部分切除) | 12人 | 2.08日 | 4.17日 | 0.00% | 61.83歳 |
当院呼吸器外科では、肺がんや気胸、縦隔腫瘍など、広く呼吸器外科疾患を扱っています。肺悪性腫瘍(肺がんや他臓器がんの肺転移)のうち、早期例の大半は傷が小さく患者さんの負担が少ない胸腔鏡手術や手術用ロボット da Vinci を用いたロボット支援手術を施行しております。肺がん手術は肺葉切除を標準術式としていますが、早期小型肺がんや高齢や呼吸器疾患の合併などで体力的、呼吸機能的に余裕のない患者さんへは、根治性を大きく損ねることなく呼吸機能を温存する手術である区域切除や部分切除を行っています。一方、当院では局所進行肺がんの患者さんも比較的多く、総合病院の強みを活かして、呼吸器内科、放射線治療科と連携して集学的治療(手術、抗がん薬治療、放射線治療を組み合わせた治療)や拡大手術など開胸を要する手術も積極的に行っています。気胸などの急性発症の呼吸器外科疾患に対しては、救急外来等からの入院・初期治療の後、適応例には遅滞なく手術を行うように体制を整えています。
整形外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K0821 | 変形性関節症などに対する人工関節置換術(肩・股・膝) | 226人 | 1.35日 | 14.18日 | 69.47% | 71.14歳 | |
K1423 | 腰部脊柱管狭窄症などに対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) | 79人 | 2.01日 | 14.87日 | 13.92% | 68.51歳 | |
K1426 | 腰部脊柱管狭窄症などに対する脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) | 78人 | 1.62日 | 13.41日 | 23.08% | 72.21歳 | |
K0462 | 前腕骨の骨折に対する観血的手術(前腕) 等 | 74人 | 1.95日 | 6.11日 | 16.22% | 58.09歳 | |
K0461 | 大腿骨の骨折に対する骨折観血的手術(大腿) 等 | 53人 | 1.75日 | 10.49日 | 47.17% | 67.34歳 |
その他の主な手術
K080-4 関節鏡下肩腱板断裂手術
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成術(十字靱帯)
※関節鏡下靱帯断裂形成手術・半月板縫合術の合併手術
腰部脊柱管狭窄症に対しては棘突起縦割式開窓術・椎弓切除術、不安定性を伴ったすべり症、変性側弯症および脊柱変形には矯正・固定術(成人脊柱変形手術)を積極的に行っています。頚椎症性脊髄症には椎弓形成術を主として行いますが、ナビゲーション下の固定手術も必要な場合追加します。人工膝関節置換術や人工股関節置換術の一番の目的は、関節の痛みの軽減です。手術後には、ほとんど歩けなかった方が歩けるようになったり旅行ができるようになったりと、生活の質(QOL)を大きく改善させることを目的として専門医が手術を施行しています。尚、当科では、最新の関節鏡手術器具・設備を整え、あまり一般的には行われていない肩関節の関節鏡視下手術(鏡視下腱板修復術、鏡視下バンカート修復術など)を含め、膝関節の半月板縫合や前十字靭帯再建の関節鏡視下手術を関節鏡の専門医が行っています。
形成外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K617-4 | 下肢静脈瘤に対する下肢静脈瘤血管内焼灼術 | 22人 | 0.00日 | 1.00日 | 0.00% | 67.23歳 | |
K0503 | 骨髄炎などに対する腐骨摘出術(足その他) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K476-4 | 乳がんに対するゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K617-6 | 下肢静脈瘤に対する下肢静脈瘤血管内塞栓術 | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
K0052 | 皮膚、皮下腫瘍などに対する皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
下肢静脈瘤に対する手術法はレーザーで静脈を焼却し、静脈の内腔を閉鎖してしまう方法に加え、接着剤を用いて静脈を閉鎖する方法も当院で行えるようになりました。高齢者では、塞栓術を主に適応しています。いずれも1泊2日の入院で行っています。糖尿病や閉塞性動脈硬化症から生じる下肢虚血を伴う足潰瘍については創傷・足病ケアセンターを設立し、循環器内科と連携し、様々な治療を行っています。循環器内科で血流を改善するための血管内治療を行った後、当科で骨を含めた壊死部分を切除する手術を行っています。乳癌で乳房全切除が行われる患者さんに対しては、自家組織もしくはインプラントによる再建を行っており、3番目に多い手術件数でした。皮膚皮下腫瘍はよく見られる疾患で、大きい腫瘍については良性であっても全身麻酔で手術を行っており、約3,4日の入院が必要です。
脳神経外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
K164-2 | 慢性硬膜下血腫に対する慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 | 34人 | 0.94日 | 10.50日 | 23.53% | 79.38歳 | |
K1781 | 脳動脈瘤やその破裂などに対する脳血管内手術(1箇所) | 14人 | 0.64日 | 12.21日 | 14.29% | 61.14歳 | |
K178-4 | 脳梗塞や脳血栓症などに対する経皮的脳血栓回収術 | 13人 | 0.85日 | 14.62日 | 76.92% | 80.38歳 | |
K1692 | 脳腫瘍や下垂体腫瘍などに対する頭蓋内腫瘍摘出術(その他) | 12人 | 2.42日 | 25.33日 | 25.00% | 54.42歳 | |
K1742 | 水頭症に対する水頭症手術(シャント手術) | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
慢性硬膜下血腫や水頭症は歩行障害や認知症症状で発見されることが多く、脳神経外科の中では比較的小さな手術により効果が出やすい疾患でもあり、早期自宅退院を目指す体制を取っています。脳動脈瘤の治療は、頭を切る手術とカテーテルを用いた脳血管内手術があります。それぞれの治療法には一長一短があり、病気のことや患者さんの背景も考慮に入れて、手術方法を決定しています。超急性期脳梗塞に対する脳血栓溶解術、経皮的脳血栓回収術や経皮的脳動脈形成術は、脳神経内科と協力して治療に当たっています。当院には脳血管のカテーテル治療専門医が複数在籍しており、24時間体制で対応します。脳腫瘍には神経膠腫、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫などの原発性脳腫瘍と、肺がん、乳がんなどからの転移性脳腫瘍があります。治療は主に手術、放射線治療、化学療法ですが、慎重な経過観察も選択肢の一つです。個々の患者さんに合わせた治療を行います。高齢者で認知症、歩行障害を主訴とする方々の中に正常圧水頭症の方が一定数含まれています。手術により改善が期待できる疾患であるため、積極的に診療に当たっています。
歯科口腔外科
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 | 患者用パス |
---|---|---|---|---|---|---|---|
J0004 | 埋伏智歯(親知らず)などで抜歯手術をおこなうもの | 56人 | 1.20日 | 2.50日 | 0.00% | 28.80歳 | |
J0431 | 顎骨のう胞などで顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く)長径3cm未満をおこなうもの | 31人 | 1.39日 | 3.60日 | 0.00% | 50.00歳 | |
J0003 | 臼歯などで抜歯手術をおこなうもの | 17人 | 1.71日 | 4.10日 | 0.00% | 71.50歳 | |
J0752 | 顎変形症などで下顎骨形成術(短縮)をおこなうもの | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ | |
J0181 | 舌がんに対して手術をおこなうもの | ─ | ─ | ─ | ─ | ─ |
当科で多い手術症例は、抜歯術と顎骨腫嚢胞摘出手術になります。病変の大きさ、部位に応じて全身麻酔や静脈内鎮静で手術を施行します。入院は基本的には前日入院となります。月曜日手術の場合は日曜日入院も可能な場合があります。手術後は全身状態に問題がなければ早期の退院となります。抜歯は数日で退院する症例が多いです。また、今年度4月からは顎変形症手術にも積極的に取り組んでいます。約10日間の入院で顎矯正手術を行っています。悪性腫瘍手術(切除)の場合は、抜糸、摘出物の病理結果報告まで入院されることが多く、入院期間は平均で約13日です。食事は基本的には経口摂取ですが、症例に応じて鼻管栄養も行います。その他、顎骨骨折、炎症(顎骨骨髄炎)など2週間以上の入院が必要な症例もあります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および
手術・術後の合併症の発生率)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群 | 同一 | ─ | ─ |
異なる | 24 | 0.12% | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | 53 | 0.27% |
異なる | 97 | 0.49% | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | ─ | ─ |
異なる | ─ | ─ | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | 146 | 0.73% |
異なる | ─ | ─ |
上記の表は臨床診療上、一定の割合で発症し完全に防止することができませんが、少しでも改善すべき重篤な疾患の対象となる「播種性血管内凝固症候群(DIC)」「敗血症」「その他の真菌感染症」「手術・術後の合併症」の発生数と発生率を挙げています。「入院契機が同一」とは入院時診断病名と退院時病名が同じ経過をたどった症例であり、「入院契機と異なる」とは入院時診断と退院時診断が、その治療経過の中で変わったものを表します。
「手術・処置等の合併症」は防止策をつくしても、一定の確率で発生する病態で、いわゆる医療ミス(医療過誤)とは異なります。術後出血、術後創部感染、ステント留置後再狭窄、透析シャント閉塞などが「手術・処置等の合併症」に挙げられます。これらの合併症については手術・処置を受ける前に主治医から説明がありますのでよくご理解ください。
医療の質指標
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが 「中」以上の手術を施行した退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の 肺血栓塞栓症の予防対策の実施率 |
---|---|---|
2764 | 2457 | 88.9% |
肺血栓塞栓症とは、肺の血管に血栓(血のかたまり)が詰まって、突然、呼吸困難や胸痛、動悸などを起こす病気です。入院後、ベッドの上で足を動かさないでいると、足の血の流れが悪くなり、足の血管内に血栓ができやすくなります。その血栓が何らかのきっかけで肺まで流れて起こります。
手術後や寝たきりの方に発症することが多く、リスク評価を行い、医師の指示のもと、弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置を用いて予防対策を行っています。
血液培養2セット実施率
血液培養オーダー日数(分母) | 血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数(分子) | 血液培養2セット実施率 |
---|---|---|
8551 | 6349 | 74.2% |
広域抗菌薬を使用する際、投与開始前に血液培養検査を行うことは、必要不可欠です。また、血液培養は 1セットのみの場合の偽陽性による過剰治療を防ぐため、2セット以上行うことが推奨されています。
当院では、分離率 (菌検出率) を高め、汚染菌の混入の有無を識別し、適切な抗菌薬治療を行うため、血液培養採取時は2セット以上採取を行っております。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
広域スペクトルの抗菌薬が処方された 退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に 細菌培養同定検査が実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率 |
---|---|---|
2129 | 1924 | 90.4% |
近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や、幅広い菌種に効果を有するカルバペネム系抗菌薬に耐性のある腸内細菌科細菌など、新たな抗菌薬耐性菌(以下、耐性菌)が出現し、難治症例が増加していることが世界的な問題となっています。不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、各医療機関において抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)を組織するなど、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。
更新履歴
- 2016年9月30日
平成27年度 大阪赤十字病院 病院指標 作成 - 2017年9月29日
平成28年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2018年9月
平成29年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2019年9月
平成30年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2020年9月
令和元年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2021年9月
令和2年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2022年9月
令和3年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2023年9月
令和4年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新 - 2024年9月
令和5年度 大阪赤十字病院 病院指標 更新