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院長のご挨拶

Greeting from the Director

院長のご挨拶

  • 大阪赤十字病院院長 坂井 義治

    「変わります、大阪日赤」

    新型コロナウイルス感染症への対応を始めて2年が経過しました。図1は令和2年4月1日から令和4年3月1日までの大阪府内感染者数(赤色)と当院入院患者数(青色)の推移を示したものです。第1波から第6波まで当院が準備したベッド数も示しました。第1波では、ほとんど赤線が見えない程の感染者数にもかかわらず、入院となった患者数が多いことが分かります。初めての経験で、しかもPCR検査機器(令和2年6月設置)がない中、感染が疑われた患者も入院となったためです。これまでの陽性入院患者数はのべ7,099名(重症651名)です。

  • 大阪赤十字病院院長 坂井 義治

図2は発熱外来、救急外来の受診患者数の推移です。第6波でいかに多数の受診があったか分かります。発熱外来受診者(青色)は計3,373名、PCR提出3,057名、PCR陽性率18.6%、救急救命センターでのコロナ対応(個室/陰圧室で診察)患者(赤色)は合計10,340名、PCR提出4,799名、PCR陽性率7.0%です。

これまでも小規模な院内感染はありましたが、第6波では院内クラスターが発生し、救急をはじめ手術・一般診療を自粛せざるを得ませんでした。外来受診あるいは入院された患者さん、ご家族、ご紹介いただきました医療関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。

さて日本の人口は2005年をピークに減少に転じ、少子高齢化が加速しています。図3は大阪府の、図4は大阪市の人口推移を示したものです。大阪府は2010年に、大阪市も2020年をピークに人口減少に転じ、今後はさらに加速することが予想されています。少子高齢化に伴い疾病構造も変化します。

このような社会変化に対応するため、令和4年度からの病院中期計画の目標は以下の3つとしました。

1) スリム化

当院は医療型障害児童入所施設である大手前整肢学園(60床)を含め964床(精神科42床)の病院です(令和4年3月31日現在)。コロナ感染拡大にともない、当初は1病棟(55床)を休床にして医療スタッフをコロナ対応に集中させました。しかし、その後も繰り返す感染の波により病棟は閉鎖したままです。今後の人口減少と疾病構造の変化に対応するため、全国的に急性期病院の集約化と病床削減が始まっていますが、当院も単施設として病床削減を進めます。

2) 高機能化

当院は救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院、大阪府地域周産期母子医療センターなど多くの指定・承認をいただき高度急性期病院としての役割を果たしてきました。今後もこの役割を遂行するために高度医療機器を導入しリノベーションを進めます。今年度は以下の3点を実行します。

①新たな細胞療法の導入:白血病治療の切り札ともいえる遺伝子導入細胞療法 (CAR-T療法)の施設認定が得られ4月より治療を開始します。いずれ他の癌治療にも細胞療法が導入されることが予想されます。

②ハイブリッド手術室:心・血管疾患に対するカテーテル治療の精度向上のため手術室を整備します。

③手術支援ロボットの追加設置:令和3年のロボット支援手術件数は215件でした。令和4年4月より保険適応の拡大に伴いロボット支援手術件数が倍増することが予想されるため、新たに1台を発注しました。5月から稼働予定です。

令和4年度以降も高機能化を目指して着実にリノベーションを進めます。

3)自分や家族も入院したい病院を目指して

自分や家族が入院したいと思う病院であってこそ患者さんに選ばれる病院となるはずです。まずは職員間で「ありがとう」をはじめとした挨拶ができること、心理的安全性が確保できてこそ職域間のコミュニケーションが進み医療安全につながるものと思います。「今さら」と思われるかもしれません。恥ずかしいことに十分にできていません。どれだけ変わるか見ていただきたいと思います。

今年度から大阪赤十字病院のキャッチフレーズは「すべては患者さんの笑顔のために:All for the patient's smile」としました。この大目標に向かう私達の変化を見守っていただければ幸いです。

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