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国際救援課

International Relief Division

赤十字の国際活動の理念

  • 国際赤十字は、ジュネーブ条約及びその追加議定書に基づき、世界中の紛争、災害、難民などあらゆる困難な状況に対し、医療救援のみならず、物資の救援、捕虜訪問、不明家族の安否調査などあらゆる人道支援を行なっています。戦争や紛争関係はジュネーブに本部を置く赤十字国際委員会(ICRC)が、また災害に対しては各国赤十字社の連合体である国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)が主に担当します。赤十字の活動は、赤十字七原則に基づく理念のもとに行なわれます。

国際医療救援部では、主に医療救援の部分を担当していますが、これもいわゆる緊急医療救援から、復興支援、基礎保健事業、難民キャンプ支援など様々な事業に携わっています。また、上記の二つの団体に参加して国際救援を行なうと同時に、相手国赤十字社と日本赤十字社の二国間の協定による様々な事業にも参加しています。

赤十字七原則

  • 1.人道に基づくこと
  • 2.全てに対して公平であること
  • 3.政治的、宗教的、軍事的などあらゆる観点から中立であること
  • 4.政府機関を含む全てから独立していること
  • 5.奉仕の精神で行なうこと
  • 6.単一性がある、すなわち一国に一つの赤十字社であること
  • 7.世界性があること、すなわち赤十字とは世界的な機構である
  •  ※すべての国の赤十字社は同等の権利を持ち、相互援助の義務を持つ

どんな職種が派遣されるか

  • 地震発生などの緊急医療救援の場合は、医師(内科、外科、整形外科、小児科など)、看護師、事務職員及び技術職員(電気、通信関連など)、薬剤師が派遣されます。紛争の場合は、医師(外科医、麻酔科医、整形外科医、産婦人科医、小児科医など)、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、理学療法士などが派遣されます。
    復興支援、基礎保健支援、難民キャンプ支援では事務職員や看護師、医師、薬剤師などが派遣されます。
    つまり病院にいるほぼ全ての職種に海外で活動する機会があります。 ただし次に述べるように、国際活動をするためには、英語をある程度話せることが必須となります。
    実際の派遣内容の詳細については、「海外・国内派遣報告」のページをご覧ください。

  • 本院医師

    本院医師
    (イラク)

    本院事務職員

    本院事務職員
    (フィリピン)

    本院看護師

    本院看護師
    (レバノン)

    本院薬剤師

    本院薬剤師
    (ネパール)

海外派遣要員に登録、派遣されるまで

  • 第1ステップ 国際医療救援部一次登録

    毎年4・5月に本院の新規採用職員を対象に、国際医療救援部の説明会を開催しており、ここで国内外の医療救援活動の概要を紹介します。
    この時に、活動に参加する意志のある職員、あるいは興味のある職員に一次登録をしてもらいます。
    一次登録者には、国際医療救援部で行なっている各種のプログラムの案内を行い、参加を募ります。また、赤十字の国際活動に関する情報をメールで配信します。

  • 第2ステップ 英語力の強化

    国際医療救援では、世界各国の赤十字社から人が集まって活動するため、公用語は「英語」です。
    このため、最低限、英語で意思疎通をはかり、議論し、交渉する能力が必要です。英語は基本自力で勉強するほかありませんが、一定のレベルに達すれば、日赤の集中英語研修(2ヶ月)を受けることもできます。

  • 第3ステップ eラーニングによる学習、修了証の取得

    国際赤十字が運営するeラーニングサイトです。
    日赤職員以外の方でも、どなたでも登録・学習が可能です。
    修了すると証明書が発行されます。

    第3ステップ eラーニングによる学習、修了証の取得
    WORC (World of Red Cross and Red Crescent) 修了の目安:25時間
    Stay Safe Personal Security 修了の目安:4時間
  • 第4ステップ 登録研修の受講

    ここでようやく、海外派遣要員として登録するための研修を受講する資格を得ることができます。

    第4ステップ 登録研修の受講
    保健医療ERU研修パート1 6日間(英語)
    保健医療ERU研修パート2 2日間(日・英)
    国際救援・開発協力要員研修Ⅱ 6日間(英語)
    安全管理研修Ⅱ 3日間(日本語)
  • 第5ステップ 派遣へ

    登録された後は、その要員の職種によって、様々な派遣機会があります。地震や洪水発生などの緊急事態には、すぐに出発することもある一方、復興支援や基礎保健支援、難民キャンプ支援などでは、数ヶ月の準備期間を経て派遣となる場合もあります。
    派遣期間も様々で、緊急救援では1~3ヶ月になりますが、復興支援や開発協力、基礎保健事業などでは、6ヶ月~1年、あるいはそれ以上になる場合もあります。

    第5ステップ 派遣へ

研修・サポート体制

国際活動体験ツアー

  • 国際活動に興味を持つ日赤職員、看護学生等に、赤十字の国際活動とは実際にどのようなことをしているのかを体験していただく研修会です。緊急救援のシミュレーションを、発災から出発までの準備、出国から現地到着、被災地調査、クリニック設営、活動、撤収など、実際の行程に沿って行います。

  • 国際活動体験ツアー

海外スタディツアー

  • 国際活動に興味を持つ、若手医療職、非医療職(赤十字施設以外も可)を対象に、日赤の海外事業地を訪問し、実際に現地での活動を体験することで異文化に触れ、そこで求められるものを知ることが目的のツアーです。2015年から毎年1回秋に行っています。参加者募集は、本ホームページのイベント情報や、大阪赤十字病院国際医療救援部公式フェイスブックなどで、5月から6月ごろにご案内します。

  • 海外スタディツアー

ERU管理要員研修

  • 日赤の基礎保健ERUに管理要員として登録している要員が対象です。実際の救援活動で管理要員に必要とされる知識や技術を学び、即戦力となる管理要員を養成するための研修です。

  • ERU管理要員研修

月例勉強会

  • 緊急時に使用される薬剤、戦傷外科、救援物資輸送の知識など、国際活動の現場で必要とされるさまざまなテーマを取り上げて、月例勉強会を開催しています。

    当院だけではなく、近隣の赤十字病院等からも国際活動に興味をもつ職員が集まり、貴重な意見交換の場ともなっています。

    オンラインでも参加いただけますので、ご興味のある方は、当院国際医療救援部のFacebookでご案内しておりますのでご覧ください。

  • 月例勉強会

各種国内外の研修への派遣

  • 国際赤十字や日本赤十字社は、災害医療、熱帯医学、戦傷外科など、色々な研修や訓練を国内外で開催しています。必要な経験と知識を得るために要員(あるいは要員候補者)に積極的にこれらを受講する機会を与えています。

  • 各種国内外の研修への派遣

参考書籍等

  • 災害、紛争、赤十字に関するものなど、国内外の救援活動に関連のある書籍を約500冊、その他資料も救援部にそろえ、当院職員を対象に貸し出しをしています。

  • 参考書籍等

派遣に関するサポート

  • 登録された海外派遣要員に関しては、世界中の地域に急に派遣される場合もあるために、黄熱病、狂犬病など日本にはほとんどない病気のワクチンを打っておく必要があります。このため、個人用のワクチン接種計画を作成し、計画的にワクチン接種を行います。要員は派遣時にワクチンカードを携帯し、帰国するとこのカードは薬剤部で保管されます。薬剤部では担当の薬剤師が要員のワクチンスケジュールの管理をしており、期限が切れる前にワクチンを接種するようになっています。

    派遣が決まると、航空チケットやホテルの手配、準備金などの手配を救援部で行います。また緊急出動時に、荷物をあらかじめ全て梱包したスーツケースを10個常備しています。

    派遣中は、長期にわたる場合は、種々の書類関係の代行(例えば年末にかかる派遣の場合は年末調整など)を行いますし、不足物資の調達、配送も行います。

    ミッションが終了し帰国後は、臨床心理士が担当となり、カウンセリングを行います。このカウンセリングは、要員が派遣時のストレスや帰国時の逆適応障害等、特にカウンセリングの必要を感じていなくとも全員が受けることになっています。

    また、派遣要員のためのウェブサイト、一般職員も利用できるプラットフォームもあります。

  • 派遣に関するサポート

海外支援事業管理

パレスチナ赤新月社医療支援事業(レバノン・ガザ地区)

  • 中東は、パレスチナ問題やシリア危機など多くの人道危機に直面している地域です。日本赤十字社では、2015年から中東を重点的に支援する地区のひとつとして、水と衛生の支援や、医療物資支援、公衆衛生的な支援事業などを8か国で行ってきましたが、これらに加えて2018年4月より、パレスチナ赤新月社の病院支援が始まりました。具体的には、レバノン国内の5つと、ガザ地区の2つ、計7つのパレスチナ赤新月社病院支援のために、継続的に医師、看護師を派遣し、医療の質の向上を目指します。

    この事業は、日赤本社国際部と、本院国際医療救援部が国内デスクとしてバックアップし、事業を推進しています。

    第二次大戦後、70年にわたって難民状態にあるパレスチナの人々の支援は容易ではありません。また、これまで我々が医療支援を行ってきたアフリカや南アジア等と異なり、中東はいわゆる「途上国」ではありません。現地の文化や慣習に配慮しつつ、また我々自身の安全面にも留意しながら、息の長い支援で「からだ」と「こころ」の両面からパレスチナの人々の支援ができればと考えています。

    新型コロナウイルスの世界的流行により、Web等を用いたリモート支援を継続しています。

  • 地図

    地図

  • ハイファ病院正面玄関

    ハイファ病院正面玄関

  • ハイファ病院幹部と支援内容の打ち合わせ

    ハイファ病院幹部と支援内容の打ち合わせ

「みらいぶらりぃ」プロジェクト(レバノン)

2011年のシリア危機以降、150万人と言われるシリア難民がレバノンに逃れており、これらの難民の子どもたちには、教育を受ける機会がなかったために、ユニセフ等が中心になり、レバノン国内のいつくかの学校を二部制とし、午前にレバノンの子どもたちに授業を、午後にシリア難民の子どもたちに授業をするという形で教育を提供しています。しかしながらこれらの学校の多くは、資金不足や内戦の影響で施設や設備が充分ではありません。

当院国際医療救援部は、国際ソロプチミスト日本・中央リジョン様の30周年記念事業として頂いたご寄附を元に、これらの学校の改修・整備を行うこととしました。具体的には1年に3校ずつ3年間で合計9校の整備を行う計画です。

  • 改修前

    改修前

  • 改修後

    改修後

ウガンダ共和国北部地区病院支援事業

  • 大阪赤十字病院国際医療救援部は、この戦後復興事業の担当デスクとして、2010年から2016年までウガンダ赤十字社と業務レベルでの調整や後方支援などを担当してきました。

  • ウガンダ北部アチョリ地区
  • 医療支援を行っているカロンゴ病院

    医療支援を行っている
    カロンゴ病院

アフリカ東部に位置するウガンダ共和国では、北部地域で20年にわたる内戦が続いていました。内戦は2008年に終息し、多くの国内避難民がもとの地域へ帰還しつつありますが、同国北部のアチョリ地区では、教育・医療をはじめとする社会基盤の整備は不十分で、いまだ復興途上の状態にあります。

  • ウガンダ北部アチョリ地区

    ウガンダ北部アチョリ地区

カロンゴ病院はこの地区のうち、パデル・アガゴの2県で唯一の病院で、約80万人の医療をカバーしていますが、これまで外科専門医がいませんでした。日本赤十字社は、ウガンダ赤十字社を通じてこの病院の外科支援を本事業を通して実施した手術は6990件、指導した現地医師は30名、外科入院患者数は10,537名にのぼります。僻地で満足な設備や医療機器がないにも関わらず、カロンゴ病院の外科部門はウガンダで三本の指に入ると言われるほどになりました。

また2014年2月からは看護師・薬剤師の派遣も開始し、外科部門、手術室全体の質の向上に取り組みました。

  • 当院医師と地元の子供たち

    当院医師と地元の子供たち

  • 現地研修医の指導

    現地研修医の指導

この事業は、2015年にNHKスペシャルで取り上げられ、ドキュメンタリーとして放映されました。

  • 番組に出演された女優の石原さとみさん(中央)と当院看護師

    番組に出演された女優の石原さとみさん(中央)と当院看護師

海外用フィールドホスピタル

当院が保有している国内災害用のフィールドホスピタルとは別に、日赤では海外用フィールドホスピタル(Emergency Hospital)1基を保有しています。これは海外で大災害が起こったときにテントで立てる野外病院で、手術室、ICU、病棟などはもちろん、入院患者さんに食事を提供するためのキッチンやランドリーなど、最大100名程度の入院患者さんに対応できるほどの設備を持っています。要員の宿泊施設なども別にあります。この資機材の大部分を大阪で維持、管理しています。

全景

  • 外来

  • 手術室

  • 滅菌室

  • ICU

  • 病棟

  • 分娩室

  • 薬局

  • レントゲン室

  • キッチン

  • ランドリー

シニアインターン募集

募集人数:
1名
業務:
3Dスキャナー、3Dプリンターを使った国内外の人道支援に必要な資材、研究試作品、研修材料の製作
3Dモデリング用資機材
・XYZダヴィンチSuper
・XYZダヴィンチカラー
・EinScan-Pro HD
・マウスノートPC 15.6型 G-Tune H5-3DPR
場所:
自宅からのリモートおよび大阪赤十字病院国際医療救援部オフィス/ロジスティクスセンター
期間:
2022年9月~2023年3月(開始時期含めて期間は相談に応ず)
応募資格:
1. 基本的なCADの知識があり、CADでの多少の設計経験があること(高度な知識は求めていません)
2. 3Dスキャナー、3Dプリンターの使用経験があることが望ましい
2. 半日/週程度(平日)当オフィスに通えること(曜日と時間帯はフレキシブルに対応可)
3. 年齢18歳以上
待遇:
無給/ 交通費は実費支給(上限2,000円/日)
応募方法:
履歴書と自己紹介文(形式を問わず)を下記まで郵送してください。
543-8555 大阪市天王寺区筆ヶ崎町5-30
大阪赤十字病院 国際医療救援部
応募の締め切り:
8月15日必着
お問い合わせ:
imr@osaka-med.jrc.or.jp
大阪赤十字病院国際医療救援部 TEL: 06-6774-5030

国際医療救援部から一言:
わたしたちの国内外の人道支援活動を楽しく手伝ってもらえる方を募集します。ある程度リモート環境でもできますし、当部署の資機材を使って自分のペースで業務をしてください。人道支援活動について私たちの業務を通じていろいろなことを知ることができます。年齢の上限はありません。ご応募お待ちしております。

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