手術支援ロボット da Vinci(ダヴィンチ)の最新鋭機Xiが
平成28年9月より稼働しています!

はじめに

平成28年、大阪赤十字病院に手術支援ロボット da Vinci (ダヴィンチ)Xiが導入されました。従来の腹腔鏡手術にこのダヴィンチを用いることで、これまでの腹腔鏡手術ではできなかった、より繊細で複雑な鉗子(手術用のハサミなどの道具)の動きが可能になります。従来の開腹や腹腔鏡下での手術にくらべ、手術後の回復が早い、手術中の出血量が少ないなどの利点があります。なおこのシステムは現在、前立腺がん、腎がんに対する腹腔鏡下腎部分切除に保険診療が認められています。

また、恐らく来年度には外科領域では胃がん、婦人科領域では子宮がんに保険適応となる可能性が高く、当院でも胃がんに関しては、大学でのダヴィンチ手術の経験豊富な消化器外科の金谷部長を中心に、保険外診療として開始します(費用など詳細に関しては外科担当医にお尋ねください)。子宮がんに関しても、近々開始する予定です。直腸がんに関しては、大学でのダヴィンチ手術の経験豊富な消化器外科の野村副部長を中心に、保険外診療として開始しました(費用など詳細に関しては、外科担当医にお尋ねください)。

da Vinci Xi の構成

ロボット支援手術は、人間は必要なく、ロボットが勝手に手術をするわけではありません。あくまでロボットは手術を支援する機械であり、人間がロボットを動かしてより繊細に行う手術を言います。(日本の漫画の世界では、有名なロボットが二つあります。鉄腕アトムと鉄人28号です。鉄腕アトムは、自分で考えて自分で行動するいわゆるAI:人工知能のロボットで、鉄人28号は操縦機を使って動かすロボットです。ダヴィンチは、後者に当たります。)

執刀医が操作するサージョンコンソール(飛行機で言うコックピット)、それに連動して手術操作を行うロボットアーム(ロボットの腕)が装着されているペイシェントカート(患者さんに直接触れて手術する部分)、モニターや手術用機器を統合するビジョンカートの3つの部分から構成されています(図1)。サージョンコンソールは患者さんから離れたところ、4本の腕を持つペイシェントカートは患者さんの傍に配置されます。外科医が指令部分であるコンソールに座り、操作レバーを操作すると、その動きはコンピューターに伝わり、さらにコンピューターは実際に手術を行うロボットの腕を動かし手術が進行していきます。

da Vinciに搭載されたテクノロジー

3Dカメラによる立体視

執刀医はコンソールのメガネの部分を覗き込むことで、3D映像を体感します。最大10倍の高倍率であり、細かい血管なども明瞭に認識できます。

ロボットアーム技術

鉗子の先端の関節自由度が大きく、人間の関節以上に自在に動き、従来の腹腔鏡手術では不可能であった微細な動きが体の中で実現できます。また、執刀医の手の震え(カメラで言う手ぶれ)が取り除かれてロボットアームに伝達されます(図2)。これにより、繊細かつ正確な手術操作が可能となります。 まさに執刀医は、あたかも患者さんの体内に入り込んでいるかのような錯覚を受けます。

最新鋭器da Vinci Xi の長所;従来の機器との比較

Xiはda Vinciシリーズの4世代目の機種で、最新のバージョンアップが施されています。

まずはじめに、前世代の機種(Si)よりもロボットアーム部分が細くて長くなりました。これにより腹腔鏡ポート(手術用の道具を挿入する穴)の位置の制限が減り、後腹膜アプローチ(腹膜を切開しない方法。従来は腹膜を切開する経腹膜アプローチでした。)も可能となります。経腹膜アプローチでは手術中の体位は、頭を大きく下げ足を高く上げる必要がありましたが、後腹膜アプローチではこれを軽減することができるので、より患者さんの身体に対する負担が少なく、緑内障や呼吸機能に問題がある患者さんへの適応も広がります。次に、音声ガイダンス機能とレーザー位置決め機能が付加され、安全面も充実しました。さらに、アームの首振り機能により、機械(ペイシェントカート)の配置の制限が少なくなり、これらの機能の充実でより安全で迅速なセットアップが実現でき、手術時間の短縮が見込まれます。

大阪赤十字病院泌尿器科では、京都大学でダヴィンチ手術の経験豊富な医師を中心に泌尿器科医師全員、麻酔科医、看護師、臨床工学技士を含めたダヴィンチチームを結成し、豚を使った手術トレーニングや大学での手術見学、da Vinci Xiを使ったシミュレーショントレーニングを何度も行い万全の準備の上、平成28年9月中旬より実際の患者さんに対する手術を開始しました。既に13人の患者さん(平成29年1月末現在)に施行し、良好な成績を得ています。先に述べました後腹膜アプローチも、症例を選んで安全に行っています。

da Vinciを用いた手術の実際

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(RALP)では、これまで当院で行ってきた従来の腹腔鏡下前立腺全摘術と比べて手術時間の短縮、断端陽性率(僅かながんを取り残す率)や術後早期尿禁制(尿失禁しないこと)の改善が期待されます。また、勃起神経温存が行いやすくなり、より積極的に性機能の保持に取り組むことができます。

Q&A

Q1)どのような症例が前立腺全摘の対象になりますか?

転移のない前立腺がん(限局性前立腺がん)で原則的には75歳以下、重篤な合併症のない方が最も適しています。PSAでいうと10ないし20以下が目安です。前立腺がんの状態や、ほかの合併疾患の状態によっては、ロボット支援手術以外の治療法がふさわしい場合もあります。詳しくは、担当医とよくご相談ください。

Q2)前立腺がん以外の手術も可能ですか?

平成28年4月から腎がんに対する腎部分切除もロボット支援手術の保険適応となりました。Xiでは側方からのドッキングが可能なので、従来のSi機種よりも腎部分切除が容易になります。

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